過ぎ去ったと思っていた嵐に
追いつくように飛行機は加速していった。
しばらくすると機体が揺れ始め、
カナダへ着くまで、その揺れがおさまる事はなかった。
初めての海外一人旅で、
飛行機の恐怖の洗練をうけるとは
思ってもみなかった。
その揺れは、死を意識するほど強いもので
安定したかと思えばまた揺れはじめのくりかえし。
船酔いならぬ、飛行機酔いがずっと続いた。
しかも、カナダへ着く10時間ほどの間。
そこでの唯一の楽しみは
やはり食事だった。
酔いの状態が続いていたので
映画を見る余裕もなく、
つねに乗り物酔いにきくツボをおしては
深呼吸しての繰り返しで
異様に体力を消耗していった。
そいうえば機内で何を食べたか覚えていない。
隣の席のおじさんが
「プロメテウス」を見ていて
イヤホンからの音漏れがうるさく、
ムカついていた事はよく覚えている。
そんなこんなで一睡もできなかった。
現地に着いたのは2時間遅れ…。