自分がもともと好きなジャンルなので、過去に見た作品も多いわけですが、再会も嬉しいし関連書籍で知っていても初めて実物を見る作品もあり、
今回初めて見た作家や作品もあり、見逃せない作品ばかりなので、出品目録を見ながら歩いて、やや!これ見逃したか?と戻りかけたら「後期」とあり、
前期でこれで後期、どんだけメガなんだと。
しかも9割くらいは撮影OKでした。
(いちばんすきな、何回も見てまだまだ見足りない松園の「焔」は撮影禁止でむしろホッとしたり)
展示のスタートを飾るのは安本亀八 白瀧姫。現在桐生歴史文化資料館所蔵ですが、永く神社の御神体だったそうです。
私の子ども時代、江戸川乱歩の少年探偵シリーズに繰り返し出てくる菊人形や蝋人形のイメージと相俟って妖しい気持ちになります。動き出したらどうしようという怖い気持ち。
今回、松園の「焔」とダブルエース(菅原の素直な気持ちです)の感じで展示されている甲斐庄楠音の「横櫛」。京都国立近代美術館所蔵です。
すごく好きな作品で、また見ることができてうれしい。しかも撮影OKって。
今回初めて見た甲斐庄楠音の「畜生塚」。
畜生塚とは、豊臣秀吉が養子秀次を乱行のかどで自刃させ、妻妾子三十余人を斬罪 (ざんざい) に処したのを弔った塚。京都市中京区の瑞泉寺内にある、というのも今回初めて知りましたが、
図録にキャプションが漏れなくついてくるだろうと思っていたら甘かった…撮影OKなのでキャプションも撮ればよかったー。
キャプションも読んでいて楽しかったです。
松園の時代、三園と称された島成園の異色作。
第2章は 表面的な「美」への抵抗
というタイトルが効いています。
狂気を孕んだ表現では、この甲斐庄の絵と松園の「花がたみ」の指の異常なくねりを比較してみたかった。
「花がたみ」は後期出品です。抜かりなしの鉄壁の布陣!
北野恒富「道行」(部分)。
2曲1双の屏風絵で、「三千世界の烏を殺して 主と朝寝がしてみたい」という高杉晋作の都々逸が展示コーナーに効果的にプリントされていました。
もう1隻には2羽の鴉が描かれています。
谷崎純一郎の「人魚の嘆き」の挿絵。
人魚や水妖がモチーフの作品は多く、この「人魚の嘆き」がコアになっている気がしました。
まさかの青木繁「黄泉比良坂」。黄泉比良坂なんだけど、水妖の溟い水底から明るい光の地上へ逃げ出すイザナギに見えちゃう。黄泉醜女たちが人魚の姫みたいなうねる黒髪なんですもん。
美人画で西の松園東の清方と並び称された鏑木清方の「妖魚」。
松園の「焔」とともに撮影禁止ですが、絵の前にどれだけでも立っていられる、好きな作品です。
このうち5点だけでも展覧会ができそう、というくらい主役級の作品ばかりこんなに見させてくれてありがとう、そんな気持ちです。前期ですでに笑。
図録も造本、用紙、解説、図版、すべてが素晴らしいです。造本でいわゆる「遊び」と呼ばれる部分ですでにこの妖しさ。誰にでもおすすめする展覧会ではないかもしれませんが、こういう世界が好きな人は絶対見逃せない展覧会だと思います。














