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「第7回久慈市民おらほーる劇場 闘牛王の憂鬱」

平成25年11月24日昼の部14:00~

夜の部18:00~ 上演時間約2時間(15分間の休憩はさむ)


舞台は闘牛の場面からはじまります。

若くて鼻息の荒い「グレートガタゴン」と若造を鼻であしらう「サイクロン霜畑」。

闘牛を操る勢子たち。


伝統の闘牛大会を見守る人々。

とっぽいアナウンサーと闘牛に詳しい解説のおじさん。


二回目にみたら、この最初の場面にキャストが全員出ていたのですね。


闘牛を演じているのはもちろん、人間ですが、

衣装と布を巻きつけた大きな角と、歌舞伎の隈取り!

この隈取りが闘牛たち一頭ずつにぴったりで。

また、闘牛を人間が演じているのですが、がっぷり組んだ姿は真剣で、格闘技というより、武道のようでした。

余談ですが、このおらほーるの近くに三船十段記念館があって、気になったので帰ってから調べたら、



「柔道の神様といわれた三船久蔵柔道十段の生誕の地であり、柔道が盛んである。このため「柔道のまち」をキャッチフレーズに、岩手国体柔道競技の開催、久慈市立三船記念館(昭和33年開館・その後移転)を開設し、かつては久慈市が、三船十段杯国際柔道大会を開催したほか、東北地区レベルの柔道大会や強化合宿の招致を積極的に行っている。特に毎年9月に行われる三船十段杯争奪柔道大会は50年以上の歴史を持ち、東北地区から優秀な選手が久慈に集まってくる。また三船記念館柔道スポーツ少年団は東北でもトップレベルで全国的にも上位に進出している。」

あの闘牛たち(を演じた役者さんたち)、みんな引き締まったいい体をしていたんですよー。山形村時代の村民劇からつづく久慈市民劇場ということで、演じたいひとはみな舞台にあげる、が基本みたいですが、

柔道や野球が盛んという土地柄も役者さんたちに反映していたのかなあ。

もし闘牛たちが演技力はあっても、説得力のない体型だったら、成立しない物語ですもん。

ガタゴンは自分を小馬鹿にするようなサイクロンに飛びかかり、

あと少しのところで引き離されてしまう。ヒラニワ高原の闘牛は雌雄を決しない伝統だからだ。

納得のいかないガタゴンを抑えようとして勢子が怪我を負い、暗転。


この一場目はスピーディで物語の中へぐいぐい引き込まれました。

暗転後の場面は打って変わってのんびりおっとりした、ヒラニワ高原の南部闘牛観光振興協議会の会議室。


メンバーは歩いてすぐのところに住んでいる会長、メガネの若い書記、髪をカールさせておしゃれも意識してはいるけど垢抜けないおばさん(のちに商工会議所の代表と判明)、作業着に短髪の青年(JAらしい)。

会長はやる気があるらしいが、あとの議員たちは旅費がもらえるから来ているだけ、というやる気のなさ。

予算の元の税金を払っている町民がみたら怒るわ!という感じですが、きょうは今までのようにはいかん!と近所すぎて旅費のもらえない会長が切り出し、

議員たちもやる気を出して会議会議。


そしてやがて、闘牛観光にテコ入れすべく、敏腕プロデューサーのNHKならぬ江根知圭なる、いかにも軽い男がやってきて、

南部闘牛をショーアップし、観光収入大倍増作戦を議会に夢見させるのだった。


一方ガタゴンに怪我を負わせられた勢子の家では、妹の勢子(せいこ)がガタゴンを他の人には任せられない、と、女だてらに土俵にあげてもらえないか、

南部闘牛会会長の栗木さんに談判。

私がいちばんすきだったキャラクターがこの栗木さんです。

とにかく渋い!立ち姿が決まってる!セリフはもちろん作家が書いたものですが、そこを超えて、栗木さんが言っているとしか思えない(何を言っているんだ私は)。

70代くらいだと思うんですが、威厳がありながら飄々とした雰囲気もあり、

演技というより、ご本人の素のキャラクターが栗木さんなんじゃないかと。


勢子ちゃんは女性初の勢子になりますが、そこには、この子は私じゃないと!というガタゴンへの愛があります。

でも残念ながら勢子ちゃんの女性初の勢子、それほど印象に残らなかったんですね。


チラシを見たときは、女性初の勢子や地元アイドルユニットモーレツ娘。がこのお芝居のウリかな、と思っていたんですが、

じつは「ロッキー」とかアリスの「チャンピオン」とか、「あしたのジョー」とか、「デビルマン」とか!

そっちだった!むしろいい!


一頭を除いて、闘牛たちのかっこいモノローグ場面があるのですが、

ガタゴン、

どうみてもその隈、「デビルマン」でしょ、と思っていたらやってくれましたね、天を仰いで両腕をこう拡げて下にやって、ウォーーーーって(笑)。


残念ながら、うちの息子には通じなかったです(笑)。