田辺聖子さんの『週末の鬱金香』(中公文庫)は、綺麗な当て字のコレクションさながらの短篇集。
冬の音匣(おるごおる)
夜の香雪蘭(フリージア)
卯月鳥(ほととぎす)のゆくえ
篝火草(シクラメン)の窓
雨の草珊瑚(くささんご)
田辺聖子さんの戦時中の少女時代を描いた『欲しがりません勝つまでは』にも登場する、吉屋信子の『花物語』(ほぼ短篇集と中篇が入っています)のタイトルを連想させます。こちらも好きな人にはたまらん世界ですが、よかったらどぞ。
漢字ブームの世の中ですが、こういう嗜好性の強い漢字を手紙やメールにも、ふんだんに遣いたいものです。
だってお洒落、じゃないですか? チューリップより鬱金香の方が。
花の名をカタカナで書いてある小説を読むと、えらくガッカリするくらいなもので、いま思い出したのが三島由紀夫の初期の短篇。
ズラズラと野の植物が列記されている部分があるんだけど、なんでも植物図鑑を丸写しにしたそうです。季節無視。いいのかミシマ。漢字で書いて欲しかったな。
赤江瀑の小説にも、あんだけ漢字にコダワリのある人が!とボー然としたんだが、そういう部分がありました。なぜだ。
花の名前は漢字で読み書きしたいなあ~。
だめ?
