角川文庫

『ウクライナにいたら戦争が始まった』

松岡 圭祐

 

 これまでのテレビにニュースやワイドショーの報道が、いかに生温いかがよく分かる。

 軍事評論家の肩書を持った連中の能天気さがよく分る。

 ただ、自分たちの軍事オタクぶりを披露したかっただけじゃないか。

 そんな思いに駆られてしまう。

 まるで、戦争の本質を伝える気が無かったかのようではないか。

 改めて思う。

 戦争は起こしちゃ駄目なんだ。

 始まった際の為なんてのは愚の愚。

 始まらないようにする為にどうするか。

 国がやらねばならないのは、それに尽きる。

 戦争はある日突然始まる。

 もちろん、その前兆はあるだろう。

 でも、それを懐疑的に見つめている内に、始まってしまうのが戦争である。

 今の日本は、そんな立ち位置にある。

 実は、ウクライナもパレスチナも他人事ではないのだ。

 明日の日本かも知れない。

 もちろん、明日の日本にしてはならない。

 それを深く胸に刻むとともに、戦争の終結を願いたい。

 結局、市井の民が犠牲の上に成り立つのが戦争なのだから。