その子を、見送る日
こっちで、知らない人が
泣いていた。
あちらでも、知らない人が
泣いていた…
母親の知らない、その子の時間。
兄弟の知らない、その子の時間。
こちらの友だちの知らない
その子の時間。
あちらの友だちの知らない
その子の時間。
私の知らない、その子の時間。
だけど
その時、その子と一緒にいた
誰かが必ず
その子の時間を知っている。
今日来てるみんなに
その子との時間が
刻まれているんだ。
ご家族は、若くして亡くなった
その子に対し
無念
…とは、言わなかった。
人生を
全うした…と言った。
きっと
みんなの心が
軽くなった瞬間…