最後のお弁当に
「フツーのお弁当を
いつもきれいに食べてくれて、ありがとう。
お疲れさまでした。」と
カードを添えた。
ロマンチックなところ
皆無なあの人は
持って帰ったお弁当のカラを
水につけようとして
カードまで沈めた
「ありゃー」と言いながらも
「いつも、お弁当、ありがとう」…の言葉は
なかった。
私は
「長い間、お疲れさまでした。」と言った。
あの人は、照れていた。
けど…
私への労いの言葉は
なかった。
見返りは、求めたくない。
けど、そのくらいの
言葉は、ほしい。
寝る時、踏ん張って
揉んであげた。
不意をつかれ、うれしかったのか
「ありがてぇ、ありがてぇ」と言った。
我慢できなくて
「お弁当、おいしかった?」
「おいしかったよ」
「私には、ありがとうがないんやな~」
「もう、おかちゃんったら
(いつも、これでごまかされる)
「私は、支えになった?」
「なったよ」
ほんとに、それ以上はなかった。
誕生日占いの「1」の人で
「いつでも、王様でいたい人」…だから
もう、それ以上のことは
望むまい…
これが、あの人の
精一杯の表現…