入学式の翌日、リクは嫌がることもなく登校しました。
途中まで電車が私と同じ経路なので、いっしょに行き途中で乗り換えるところで別れました。
私はリクの乗る電車を見送ってほっとしたのを覚えています。
二日目、その日は雨が降っていました。
リクはなんとなく、前日より元気がない様子でした。
朝出かける前に、リクが「朝、授業が始まる前の時間に読む本を持ってこいって言われた。」と言いました。
「本ってどういう本?」と聞くと、小説でもなんでもいいらしいとのこと。
そうは言っても、手元にあったのは、私が少し前に読んでいた司馬遼太郎の文庫本くらいでした。
リクは、好みじゃないだろうなと思いましたが、何か持っていかなければ、リクが気まずい思いをするかもしれないと、とりあえずそれを渡しました。
リクの高校は、校内でスマホを出してはダメとか、学校近くでの買い食いもダメとか、評判を気にしているからなのか校則が厳しそうでした。
そういうこともあり、どこまで許されるのか手探りだったので、言われたことは守らなければと私も少し気を使っていました。
夕飯の時に、リクは、「今日、宿題出した。」と私に言ってきました。
その日に提出した宿題とは、入学説明会の時に出された宿題で、大量にあったうちの一部で、主に中学校の復習の問題集のようでした。
「おお、がんばったじゃない!」と言うと、
「まだ半分だけ、残りが全然できてない。」と言っていました。
その日提出した宿題をがんばったからか、その翌日、入学式から数えて3日目にリクはお休みしてしまいました。
休んだ日は土曜日でした。
中学校の時は、土曜日はお休みでしたが、リクの高校は土曜日も授業がありました。
