本件事業年度の損金の額に算入した過年度棚卸資産廃棄損は、本件事業年度前の仮装経理における棚卸資産過大計上額であって、本件事業年度において生じた損失ではないから、本件事業年度の損金の額には算入されないとした事例
請求人(納税者)は、本件事業年度において、民事再生法に基づく再生手続開始の申立てを行い、同法に基づく財産価額の評定の準備を始めていたのであるから、評価損として計上した過年度棚卸資産廃棄損の額を本件事業年度の損金の額に算入すべきである旨主張する。
国税不服審判所は、過年度棚卸資産廃棄損の額は、請求人が本件事業年度前の各事業年度の棚卸資産に係る粉飾額を計上したものにすぎず、その全額が本件事業年度において生じたものでないことが明らかであるから、過年度棚卸資産廃棄損の額を本件事業年度の損金の額に算入することはできない。