少年ジャンプなどの漫画が好きで全くのド素人から同人誌を作ることに成功し多くのファンに読んでもらえる方法 -3ページ目

少年ジャンプなどの漫画が好きで全くのド素人から同人誌を作ることに成功し多くのファンに読んでもらえる方法

二次創作した作品や作り方、作品研究についてを
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蔵馬「貴方の美しさを根本的に自覚するとしたら、 君はどうする…?」
飛影「お前はお前らしくあっても、お前らしくあってはいけない、そういうことだ」




6.紫の策略


霊界、審判の門にて。


コホン、コホン、コホン…

コホン、コホン…

コホン、コホン、コホン…


「あれー? 風邪でも引きましたか、コエンマ様」

咳込みながらも書類に目を通していたコエンマのところへ、通りかかったぼたんが顔を出した。

「…う、ウム…。下界で今流行りの…インフルエンザとかいうヤツでももらってきたかな…」

コエンマを瞼をこすり、むぅと眉間に皺を寄せた。

「…はぁ。仕事に差し支えるんでしたら、休まれた方がいいかと。仕事にミスが出るようだと、困りますからね」

ぼたんがそう言うや否や、コエンマは椅子を降りた。

「そうだな。仕事にミスが出るようだと困るよな。…ってな訳で、ワシはこれから部屋に戻って休養を取るわい」

コエンマの軽い足取りに、ぼたんは首を傾げながらも、それを見送ることしかできなかった。



***


「よーし、ぼたんのヤツをうまく騙してやったぞ~。これで、ぼたんがワシのことを証言してくれるだろう」

フンフンと鼻歌が出そうなところを堪えながらも、上機嫌なコエンマの独り言は止まらない。

「今日という今日は…、待ちに待ったオークションの日じゃわい。あー…、楽しみだなー、楽しみだなー」

ナハハハ、と笑いながらコエンマは着替え、出掛ける準備をし始めた。


***


霊界とは、下界(人間界・魔界)の死者が裁かれる『審判の門』が印象的であるが、裏を返せば物質を介さない次元全般がこの世界でもある。

だが、例え霊界でオークションにかけられた金品であれど、妖怪や人間の手に回ることもある。

それは下界に降ろされた時点で、金品の類が物質を帯びるという特殊な性質を帯びるためだ。



「今日は、どんな商品が出るのかな~~。あーーー、楽しみだーーー」

四方八方から様々な品が寄せられてくる、イベントというのは霊界でも存在する。

それが定期的に決まっていれば、立て込んでいる仕事のスケジュールでも計画的に休みを取ることはできるのだが、不規則にそれも突然にして決まるのだからタチが悪い。

しかし、イベントに参列しそこに並ぶ品々はどれも逸品で、裏切られたことはない。

それでこそ、仕事をサボってでも参加する価値があるというものだ。

この前の、十四色に輝く宝石は本当に素晴らしかった。
なんと命名されていたのかは忘れたが、基本的にはグラデーションで七色に見えるのだが、それを逆方向から見ると、また別の七色が出現するのだ。

人間界にあるガラス製フルートのような横笛を美しく奏でる薄桃色の鳥を見たときは、その鳥と笛をセットで購入し生涯ペットにしたいという気持ちに掻き立てられた。

また、大海原を思わせる深海の青を刻んだ砂が、海面のあの日光に照らし出された目映い輝きを映し出すような光を弾き出してはさらさらと優雅にこぼれ落ちていく砂時計も、その目を奪う美しさにオブジェとして喉から手が出るほどの欲望に駆られた。

しかし、どれもこれも競りにかけられた当初からいい値段に設定されているだけに、流石のコエンマでさえ躊躇うのであった。
勿論一品ものでしか存在せず、それだけ希少な価値があるということだが、それが競りにかけられるため、当然値は時間を追うごとに跳ね上がる。

今回は宝石が2点、オブジェ3点、霊界獣2匹、剣が4本出品される予定である。

だが闇ルートと言うべきか、情報にお金をかければ何が出品されるかまで出向かなくても事前に分かる。
だが、その情報料を支払うということは、オークションで実感するあの躍動感が半減してしまうということだ。

それではつまらない。

それは単なる言い訳かもしれないが、実際に情報料は年間を通して馬鹿にならないほど高いという実状もある。

うぅ…、ワシは霊界でも親父の息子なのに…。

入会手数料と更新費と、何故こんなにするのか分からない。無料会員を馬鹿にし過ぎている。

だが親父によると、このオークションを成り立たせている主催者側や、出品する側への寄付によるものが大いに関係しているらしいということであった。


その場で購入を決断しなければいけないプレッシャーと、情報の欠如により順不同でどのような商品が出されるか分からないため、結局買わず仕舞いとなるのが毎度お馴染みのパターンだ。

購入すればどの商品も半年以上はタダ働きになってしまうことも分かっているが…。

今回ばかりは…、今回ばかりは絶対に何か買ってやる!!

コエンマは額から冷や汗が滲むのを感じた。

親父は…、あのクソ親父は情報料も支払っているのだろう。
セキュリティーが厳しいため、本当に一名様分の情報しかよこさないところが憎いところだ。

ワシだって…、情報くらい自由に見たいが…。

また更には、今コエンマが出席しているこのオークションは、霊界でも比較的一般的であり、間口は広いのである。
下界の分かり易い例で言えば、公共施設の誰でも利用できるようなイメージだ。

だが、親父はさすがに官公庁の中でも官僚のトップクラスしか行き来できないオークションに参加できるような資格を持ってるも同然なのである。

何故そのような差が生じたのかというと、更新費用は毎年跳ね上がっていく。
勿論、二段階あって一定の更新費用しか支払わないということも可能であるが、年を追うごとに跳ね上がっていく更新費用を負担し続けることで、オークションの階級でも更に上級、更に上級へとグレードが上がっていくのだという。

勿論、親父が公共施設を利用することはたまにならあるかもしれないが、ほとんど参加することもないため、仕事をサボってまで参加しているコエンマとは鉢合わせする可能性は低い。
それに関してはコエンマも安心していたが、閻魔大王も息子を例え見かけることになったとしても同罪と見なし、特に責め立てられることもないだろう。

(ガキのお前がカネの遣い方を間違えると困る…)

閻魔大王の低い声が頭の上に降り注いだのが、まるで今あった出来事のように鮮明に思い出される。

ずっと霊界で仕事をこなしているというのに…、ワシは仕事をするだけのマシーンではないぞ。

この仕事に追い込まれたときのストレス発散のためにパーッと遣うのだ。

そうとは言え…。

コエンマはまたむぅと眉間に皺を寄せた。

ワシは親父とは違うのだし、下界に行くこともあるし交際費などは本当によく発生する…。
親父は権力にもの言わせてるだけのくだらないヤツだ。

そこはきちんと境界線をつけないといけない…。

はっと顔を上げたとき、既に二品ほどオークションは終わっていた。

あー…、考えごとしてたなー…。
いかん、いかん。これでは、何のために仕事をサボってまでここに来たのか分からんわい。

コエンマはふぅー、と溜め息をついた。

脳内で自動的に今までぼんやりと見ていたものが回想される。
そう言えば、隣のどこぞとも知れぬオヤジが何か競りに熱くなっていなかったか…。

確か…、そうだ。
一品目は、霊界獣だったと思った。
ユニコーンのような優雅を極めた美しい角としなやかな体つき。

だが、霊界獣は特に興味なかったため、そのまま思考に耽っていたのだ。

二品目は…、確かオブジェだった。
液体と個体の中間でできたようなものが幾何学的な建造物を作り、それも時間の経過と共に穏やかに変化していく、というものだ。
だが、積み木やジグソーパズルのように少し規則的な変化ではなかったか。3Dのように立体的で難しいオブジェであったが、見る者が見れば魅力的に見えるのだろう。

よぉ~し、今度こそ。

コエンマは腕まくりをし、深呼吸をした。

「では、本日のオークション、3品目はぁぁー」

マイクを通して張り裂け叫ばれる声と、ステージの奥で待機している蝶ネクタイの集団が、それに合わせて無駄でしかないドラムロールが叩かれる。

ベル帽を被った鬼が大きなシンバルを叩くと、その間に用意された黒い布に包まれたものがステージの中央に寄せられ、スポットライトを当てられる瞬間、オークションの主催者がまた叫ぶ。

「このオークションでも目玉中の目玉!! 実は、これは予め皆様にお送りした通知の中には一切記載していません!!! 急遽この日の為にと、とある方から準備させて頂いた逸品が突如として参入したとでも言いましょうかー!!!!!」

マイクから大声量で発せられる熱意がステージと場を盛り上げ、更に客席からも歓声やら拍手やらが巻き起こる。

興奮のど真ん中にいる司会は、まだ黒い布に包まっている長方形のケースと思ほしき物体を指先まで力が入っている手で大きく指し示した。
 
「ご覧ください!!! これぞ、あの名高い『勇者の棺』!!! 下界のニュアンスからすれば不気味なネーミングですが、棺とはこの霊界においては生誕、と同意義であり、非常にめでたい、祝福に値する、という意味を込められたものです!! 勇者への賛美歌を、この美しい音色に安らぎを感じることでしょう!!!」

黒い布がここぞとばかりに剥ぎ取られる。
毎度毎度の演出もあろうが、客席は常に踊らされどよめきが巻き起こる。

それも慣れているが…。

コエンマは細目でその品を眺めた。

ガラスのような透明なショーケースの中で、砂鉄のようなものが確かな輝きを刻み、柔らかな渦が巻き上がっている。

その長方形のショーケースの蓋がゆっくりをスライドされ開けられると、ブワーッと意志を持ったように飛び出した砂は可憐に舞い、よく耳を澄ませると音を奏でている。
それまでの勇者の巧歴を労うように、愛でるように、救いが持たされるように耳に心地よく優しいものだ。

目の錯覚であろうか、砂鉄が原型を留めない性質を有するためなのか、情熱を示す薔薇の花びらがその穏やかな風の流れに乗って出現し、コエンマの頭上に降り注いだ。

「さあ皆様、今確かにご覧になりましたでしょうかー??? どのようにお感じになられましたでしょうか? 繰り返しますが本日の目玉の商品です。これは見ての通り場所を取らず、皆様が住まわれる場所のどこかに蓋をオープンしてそっと置くだけです。勿論、非常に優秀なので出ていったりはしませんよ。ただし、条件があるのです」

司会者は、マイクを持ち変えると続けた。

「この棺が『勇者』と見なした場合にのみ、その者の前に現れ、このような楽曲を奏でたり、パフォーマンスをするのです。この棺と気の合う方は毎日のようについて回るそうです。仕事に精を出している方の前にあるとき突然にして現れることもあります。今、皆様が感じられたように、どんなに気苦労でいっぱいになっていたとしても、この棺がその疲れを一気に吹き飛ばしてくれるものです。この棺は蓋を閉じれば、その閉じられる瞬間にこの中に全てが納められるます。毎晩見ても見飽きない、貴方だけの宴、貴方だけの祝福のためにこちらの品はいかがでしょうーーーー???」


「おぉー…」

どよめきや歓声が上がる中、コエンマも無意識に感嘆の声を漏らした。
と、そこからの展開は一瞬であった。

「1億っっっ!!!!!!」

コエンマは瞬きをするのも忘れ、我先とばかりに立ち上がり競りの声を上げた。

そのコエンマの一喝に辺りは一度、不気味なほど静まり返る。

…求めていたのは、コレじゃ…。

コエンマのみに降り注がれる、会場の視線。
今、この注目の的となっている。
この快感といったらない。

「い…、一億千!!!!」

負けじと次の声が斜め前方から上がる。

その声と争うこと数回…。

「一億5千!!!!!」

そのコエンマの声が最後に終止符を打つ形となり、このオークションは締め切った。


***

「いい買い物をしたわい♪」

コエンマはスキップをせんばかりにうきうきとした軽い足取りで通常の道を蛇行するかのように、普段よりも余計に歩いて、審判の門前に帰ってきた。

浮かれ過ぎてはいるが、コエンマはそそくさと隠れるように誰にも見つからないように気を配って、真っ直ぐに私室へと向かった。

私室へ腰を落ち着け、棺の外観を穴が空くほど見つめる。
ドキドキしながらも蓋をスライドさせると、何か軽い感じのものがふわーっと空気中に出ていくのを感じた。

あのときと同じ目映いばかりに輝く夜空の星のような光景が頭上に広がる。

美しい…。

コエンマがそれに見入っていると、何か奥の方で何か声がする。
いつもならそんなに気にならないのだが、コエンマは棺の蓋を閉じると、私室を出ていった。

その声は、霊界案内人の間からであった。
廊下を歩きながら、二人で歩いて通過していく。

「あれが売れたそうよ」

コエンマは見つからないように、そっと聞き耳だけを壁に押しつけた。

「ああ、あの資料室に保管していた棺ですか? 誰も関心がなかったら、お売りすると聞いていたものですよね」

な、ナニ…???

コエンマはまさか、と思い、その場で固まった。

「えぇ~、でもいくらで売れたんですか?」

「それが結構高値で取引されたそうよ…。えっと、確か1億5千万…」

「えぇ~!!! すごーい。私たちの給料にいずれ跳ね返ってきたって、おかしくないですね。ここ最近、ずっと不況だって聞いていたから…」

「そうよね。私もそれを聞いてからは、もう本当に嬉しくて。給料倍とかになったらあと1年頑張って、もう辞めようかな~」

明るい笑い声が遠くへと消えていく。
コエンマはその場に崩れそうになった。

先ほどまでの、あの清々しさがまるで夢であったかのように、足取りが急に重くなった。

そ、そんな…。
まさか、身内から出た品をワシが買い取ったなんてことが…!!!

コエンマの顔は青ざめた。

おそるおそる仕事場に戻ると…、そこには明らかに怒りを露わにしているぼたんがいた。
コエンマが入ってくるのを見るなり、ぼたんは爆発した。


***

仮病は勿論バレるし、審判の門として『勇者の棺』に関する収支はゼロになったということで、散々な思いをしたコエンマであった…。

蔵馬「貴方の美しさを根本的に自覚するとしたら、 君はどうする…?」
飛影「お前はお前らしくあっても、お前らしくあってはいけない、そういうことだ」