前々節、アーセナルと引き分け、前節のカップ戦ではトッテナムに1-1のPK敗退、と悪くはない流れの中にいたフラムですが、今節はシティに5-1と大敗してしまいました。
結果論かもしれませんが、個人的にはチームとしての守備がハマっていなかったように思えました。
目次
・フラム布陣
・シティ布陣
・シティ得点シーン
・後半の修正
・シティ得点シーン②
・考察
・フラム布陣 4-3-2-1(4-3-3)でハメにいく守備
フラム布陣です。
フラムはシティ相手にディフェンスライン4枚で挑む選択をしました。
シティは攻撃時、最前線に5枚と人数をかけた立ち位置をとりますから、フラムはその5枚に対して数的不利になろうとも、中盤、前線に人数をかける選択をしました。
特徴的なのは2列目、中盤の守備の形です。まず3トップの中央、ヒメネスと、両脇のウィルソンとリードがシティDMFのパスコースを消しながらCBにプレッシャーをかけていきます。
そして中盤3枚のペレイラとリード、ケアニーは、自分の背中にいるシティ中央3枚のパスコースを消すために中央寄りになります。
そうなると、フラムは4-3-2-1(クリスマスツリーと呼ばれた形状)のような形になります。全体が中央に寄っていますので、縦のパスコース、中央へのパスコースを断ちやすくなります。
しかし、① 中盤3枚脇のハーフスペースを、スライドが間に合わないため空けてしまうリスク、
スライドが間に合わないと使われてしまう
② ディフェンスラインが4枚のため、CB間、CB-SB間のスペースを空けてしまうリスクがあります。
外をケアしすぎすると中央を空けてしまう
フラムはそのリスクを負ってでも、パスの出どころであるDMFにプレッシャーをかけ中央を塞ぐというチョイスをしました。
シティは前節スタートだったグバルディオルに代わり、アケが入っています。
前半は攻撃時、ウォーカーがやや中に絞り、ディアス、アケと共に3枚で数的優位を確保し、3-2-5の形をとります。アカンジは中央MFの位置の高さを取り、ロドリと共にDMFの役割を果たしていました。
攻撃陣3-2-5の形をとるシティ
・シティ得点シーン ハーフスペースの活用
前半20分間ほどフラムの守備を攻略するのに手こずっていた印象ですが、横幅を使いながら徐々にフラムゴールに迫っていきます。
得点が生まれたのは前半30分、右サイドから手薄な左サイドにボールを展開、右サイドにフラム守備陣を集めていたことによりコバチッチがハーフスペース高い位置で前を向くことができました。
ハーフスペースの高い位置で前を向く
そして、フラム右サイドバックのテテがドクにつられて、空けたくないスペースを空けてしまい、コバチッチがSBとCBの間をスルーパスでハーランドにつなぎます。折り返しをアルバレスが冷静に流し込みました。
CB-SB間のスペースを使う
ここで、フラムが抱えていたリスクである、①ハーフスペース、②ディフェンスライン間 を見事にシティに利用されるという現象が起きてしまいました。
前節のシェフィールド戦でもこのコバチッチ
、ハーランド間でほぼ同じ形を作っていましたので、フラムとしては最も警戒すべきだった形での失点となってしまいました。
このようなシーンを見てしまうと、やはりシティ相手に4バックで戦うことの大きなリスクを感じずにはいられません。
その後は、両者セットプレーで1点ずつ取り、1-2で前半を折り返します。(フラムにとっては不運でした。)
・後半の修正
後半、シティはウォーカーが幅を取り、フォーデンが中央に入ってくる、かつコバチッチを一列下げる修正をしました。そのため、アカンジ、ディアス、アケの3枚で後方のビルドアップを組み立てます。コバチッチ、ロドリが低めの位置を取ることによって、フラム守備陣を食いつかせ、スペースを作り出します。
・シティ得点シーン 斜めのパスの活用
フラムは自陣に押し込まれたときは4-5-1、4-4-2のブロックを形成しますが、先述したように、前からプレッシャーをかけにいきますので4-3-2-1となったときは段差により様々なスペースを作ってしまいます。
このスペースをプレスの強度と運動量でカバーできれば良いのですが、プレスをかけてもシティにいなされてしまいますので、時間が経つにつれ、至る所にほころびができてしまいました。
後半13分、横パスで出来たパスコースを見逃さずに、ロドリがアルバレスへ斜めのパスを射し込みます。CB間で動き出したハーランドにダイレクトで出したパスが通り得点。横パスを重ねながら、相手が消しきれなかったスペースをしっかりと活かした得点でした。
・考察
立ち上がりはシティがフラム守備陣に手こずっていた印象がありますが、全体を通してみれば、結果も内容も今回はフラムの完敗だったと、個人的には感じています。
そう思う理由としては、前線を3トップ気味の3枚でプレッシングをかけにいくも、どこかのタイミングで迫力を持って積極的にハメにいく、ボールを奪いに行く、というよりは基本縦のパスコースを切り、相手のミスを誘発するという守備だったことです。
シティがGKのエデルソンにボールを下げた場合もGKにプレッシャーをかけるシーンはほとんどなかったので、GKに戻されれば、攻撃をまた組み立てられてしまいましたし、
4-3-3と前線に人数をかけたわりに高い位置でボールを奪えたシーンが少なかったのです。
また奪った後も、シティの切り替えは当然早いのですが、フラムは攻め急がない、ボール保持を大事にしている印象がありました。そのため今回の試合でカウンターアタックの局面はほとんどなく、守備から攻撃の流れをスムーズに行えていなかった印象です。
やはりシティとの戦力差、また、シティ、ディフェンスラインが攻撃時にハーフウェアラインより高い、異次元のハイラインを形成することを考えると、奪った後、ミスになったとしてもリスクを冒して攻め入ることは必須なのかなと感じました。
ジャイアントキリングのための教訓
・相手のミスを誘発するだけでなく、チームとして奪い所を作って、ボールを奪いに行く守備の必要性
・リスクを恐れず、奪ったら、前方へスプリントし、人数をかける。ボール保持にこだわりすぎない。割り切ることも大事。
・WGにつられすぎてCB-SB間のスペースを空けない。5バックの検討もあり。
次回は代表ウィークでプレミアはお休みです。
頑張れ日本代表!!