この掲載から1年が経過し、あらためて2018年を振り返るために自分自身で読み返してみました。ここに書いたことは2030年にはすべて実現していると思いますし、それに向けて行動をしていくつもりです!

 

「ワインの街 小樽」への夢

(2018年1月1日 『月刊おたる』掲載)

ワインクラスター北海道 阿部眞久

 

 明治初期からの北海道の黎明期を支えてきた小樽。特に色内近辺は歴史的建造物を活用した小樽バインや小樽芸術村、ワイナリーや洒落たレストランが多くあり、私どもが運営する「北海道・ワインセンター」も含めて芸術や文化、ワインと食の魅力に満ちたエリアになってきたように感じています。

 いま、私は、小樽が「ワインの街」としての認知が広がり、国内外から訪れる大勢の人々が小樽のレストランで地元食材を使った料理と地元のワインのペアリングを楽しんでいる姿。そして、小樽から発着するワインツーリズムに参加している様子を夢見ています。

 

 日本のワイン産地と言えばこれまでは山梨県が圧倒的に有名であり、国内最多のワイナリー数を誇りますが、その数は81であり、ここ数年で大きな変化はありません。一方で、近年は1年に5つのペースで増加を続けており現在は34のワイナリーが存在するまでになった北海道が長野県と第2位の座を競り合っている状況です。北海道のなかでも後志管内は16のワイナリーがあり、小樽市には「北海道ワイン株式会社」と「オサワイナリー」があります。

 さすがにまだ誰も言い出してはおりませんが、私はいまから12年後の2030年までには北海道が山梨を抜いて日本一のワイン産地になることが確実と考えています。そしてまた、札幌や新千歳空港とワイナリー地帯のあいだにあり、食と観光の資源や施設にも恵まれた小樽が、北海道のなかで「ワインの街」となっていくことも確実と考えています。

 

 さて、私は1974年に宮城県仙台市で生まれ、23歳のときにソムリエの資格を取得。1999年にまったくの偶然で北海道のワインに出会い、そのワインの高い品質と知名度の低さに驚き、未来への可能性に惹かれて北海道ワイン株式会社に入社をさせていただきました。

 技術とマーケティングは両輪と言われますが、既に高い技術と設備から高品質なワインが生み出されているなかで、私はマーケティング活動によって北海道のワインの知名度と消費シーンの拡大を行っていきたいと考えるようになります。

 海外ではワイン産地ごとにその地域のワインの歴史やブドウ品種、食文化などを伝えていく半官半民のマーケティング組織があり、自らの地域全体のワインのPRとブランド力の向上を手掛けています。ワイン産地として「北海道」がきちんと認識されることと原産地表示の信用性は極めて重要であり、その上で個々のワイナリーの特徴や個性が打ち出されていくことが、ワインというグローバル商品が世界と競争していくなかで必要不可欠です。

 北海道のワインのマーケティング組織を創るため、小樽商科大学と大学院にて組織推薦学生として学び、MBA学位を取得。「ワインクラスター北海道」を設立し、独立起業したのは2013年4月のこと。私どもは業界団体のPR組織として北海道のワインのプロモーションを手掛けるとともに、「ワインツーリズム」の推進と「ワインと食のペアリング」開発に力を入れています。

 

 ワインツーリズムとは、簡単に言えばワインをテーマにした旅です。観光旅行のついでにワイナリーに立ち寄って試飲をすることとの違いは、ワインツーリズムは旅の主たる目的がワインということです。ワイナリーで造り手や専門家の説明を聞きながら専用のグラスでワインをテイスティングする。ブドウ畑のなかで品種や栽培管理の説明を聞きながら、どのような土地でワインがつくられているのかを体験する。地域の旬の食材をつかった食事とワインを楽しみ、地域の産品やワインを買って帰る。これがワインツーリズムの真髄です。

 私どものワインツーリズムは後志や空知、十勝、道南など各方面に日帰りのバスツアーを運行。充実した食事やテイスティングも含めているので料金は1万2千円からとなりますが、ワイン以外にも地域の魅力あるチーズ工房や野菜直売所、スイーツや水産加工品のお店への立ち寄りなど、参加者は平均で1万円以上の現地消費をしています。こうしたワインツーリズムはその地域を知り、地域のファンを生み出し、ワイン産地としての広がりを支える仕組みにもなっていることを実感しています。

 

 そして、ワインツーリズムの推進に欠かせないものが、ワインと食のペアリング開発です。

小樽などワイナリー周辺の都市部には地域のワインに合った、その土地らしい食事の提供のできるレストランや飲食店がもっと必要です。地域の食材を使い、地元のワインに合うように調理や調味の工夫を行うことで、料理のジャンルに関わらずワインと食のペアリング開発は可能であり、たとえば「しりべしコトリアード」は全日本司厨士協会小樽支部が開発したメニューですが、後志の食材を使い、後志産の白ワインに見事に合うものとなりました。また、「握り寿司」はネタによってすべて違うワインを合わせて楽しむことも可能です。

 そのためには、私どもがレストラン等と提携して協業し、自信を持って地元産ワインと食を提供する店舗を増やしていくことも重要なことだと考えています。

 

 小樽をワインの街にという夢は壮大な構想ですが、法人名の「ワインクラスター北海道」はブドウの房(クラスター)のようにさまざまな業種や人々が隣接していることを意味します。賛同や協力をしてくださる方々の存在は欠かせず、ご興味や関心がありましたらワインセンターにお越しいただくことや、ホームページ、Facebookなどからご連絡をいただければ幸いです。