えぞふじ連載第5回

真夏のアンコウ

 アンコウと言えば茨城県のイメージや冬の魚という印象が強いかもしれないが、北海道の日本海沿岸はアンコウの漁獲量が多く、夏場は特に価格も安くておいしいことに驚かされる。市場や鮮魚店で1匹のままやぶつ切りにしたものが並ぶと私はどうしてもこれを食べたくなる。みそ汁や鍋物ではなく、後志産のトマトとともに蒸し煮にするのがいい。


 さっと湯通ししたアンコウの切り身を鍋に入れ、白ワインを少し振りかけ、濃厚なトマトジュースを注いで火にかける。すると、アンコウからの水分とトマトジュースのうまみ十分のスープのなかで「七つ道具」と呼ばれるさまざまな部位が煮えてくる。塩で味を調え、バターを入れてからひと煮立ちさせるとトマトとバターと魚のスープの豊かな香りに満ちた洋風の魚料理があっという間に完成。ミュラー・トゥルガウなど、ほんのりと甘みと果実の香りのある後志産の白ワインにも大変よく合い、暑気払いにも適した料理は箸が進むこと請け合いだ。
 

 後志の魅力を鍋に封じ込めたこの料理はトマトジュースにもこだわりたい。トマトに水を極限まで与えず、原産地の南米の環境を再現した永田農法の畑で、日本海に沈む夕日を浴びて育った余市町の農家のトマトジュースを使うのが私のこだわりである。
 

 材料にはこだわるが、鍋一つで作ることのできる簡単な料理なので、海辺でのアウトドアにも最適でないかと思う。海水浴や海辺のキャンプなどの際に、試してみてはいかがだろうか?
(シニアソムリエ・小樽)