金曜日の子供の弁当にツナマヨ巻きを入れる為、木曜の午後に仕込んだ。
この金曜日にした理由、それは息子が金曜日に学校で一緒にランチを共にするクラスメイトS君が来ると分かっているからである。

Sの姉は娘のクラスで最も問題を起こす女子。
長らくこのブログを読んでおられる方にはピンと来る女子で、娘が3歳の時にトイレに閉じ込められたり、去年はクラスメイトのカバンから物を盗んだりと、幼稚園から今に至るまで、クラスの女子間で問題を起こさなかった月はない女子である。

以前、うちの娘が寿司を弁当に持って行った際、クラスメイトだけでなく、下の学年、上の学年の生徒からも「気持ち悪い」「まずそう」などと言われ、娘が持って行った弁当に手を付けずに帰って来るようになった。
この時、当時いた校長が即座に対応して下さったおかげで、今も1人2人は言う生徒もいるが、娘は堂々と弁当箱を開けて食べるようになった経緯がある。

しかしながら、唯一娘の弁当を否定することなく「羨ましい」「人が何を持って来ようが勝手」だと娘を守ってくれたのが、この問題女子でもあった。
彼女の弁当も又、人から「変だ」と言われる弁当である。
それは母親が丸ごとメロンを1つ入れたり、グレープフルーツ1個だけだったり、缶詰1個だけ、ある日は食パン1枚とポテトチップス1袋をランチに持たせるばっかりに、生徒から軽蔑の目で見られたり、言われたりする事が頻繁にあった。
その経験もあると思うし、また本人が「スーパーで買った事しかないけど寿司が大好物」だと言っていたという事もあり、娘に「気にするな」と言ってくれた。

しかしながら、この女子の弟Sが、以前私の作ったケーキを「あなたのケーキはケーキじゃないよ、食べれたもんじゃないから僕は食べなかった。次はちゃんとしたものを作って。まあ、今回はおじいちゃんにあげたけど、やはりおじいちゃんもアナタはケーキの作り方を知らない人だと言っていたよ」と私に直接言って来た事がある。
張り倒してやろうかと思う程、憎悪に似た気持ちが一瞬芽生えたのを今も記憶している。

それは忘れもしない一昨年の息子の誕生日の事。
巨大トランポリン場でクラスメイトを招きパーティをした際、息子に作ったピカチュウのケーキを息子やクラスメイト達は喜んでくれた。
スポンジは息子の好きなチョコスポンジで、外側はイギリス人が食べ慣れているバタークリームで仕上げたが、チョコスポンジは重すぎず日本のケーキ程軽すぎない中間の生地に仕上げた。
このフワフワしっとりスポンジが今日まで私の周囲では好評だったから、それにしたのである。

ところが、このスポンジを気に召さなかったSは「スポンジが柔らかすぎる」と翌日私に言って来た。
またバタークリームも「誰もあんなの食べないよ」と言って来た。
私は腹の中で、既製品のパサパサしたスポンジにセメントのような固さのバタークリームケーキしか食べて来なかった君に言われてもね‥と思うよう勤めたが、しかしやはり傷付いたのも事実である。

しかし私がやり切れない思いになったのは、この翌年の事である。
それは今年の4月の息子の誕生日会を2月前半に予定していた時の事。
息子から「お母さんのケーキは僕大好きだよ。世界一美味しいと思う。でも僕の友達が嫌いなんだ、お母さんのケーキ・・だからもうあのチョコスポンジは作らないで。そして固いバタークリームでまたピカチュウを作って欲しいんだ。Sがピカチュウが好きだから」と言われたのである。

全身から熱い汗が出るのが分かった。
怒りなのか何なのか自分でも分からなかったが、間違いなくSが息子に私のケーキを否定する言葉を言ったのは違いなかった。
大好きな母親のケーキを否定された時の息子はどんな気持ちだったろうか・・・それを思うとたまらなかった。
一生懸命、息子なりに「世界一美味しいと思うけど」という言葉を付けくわえ、私を傷付けぬようにしたのだと思うと、心底自分のやっている事が子供達にとって良かったのだろうかと疑う気持ちで一杯になった。

息子はSをベストフレンドだという。
Sが吐く言葉がどういう意味をもたらすのかさえ、まだわかっていない。
複雑な思いでケーキをどうしようかと悩んでいた際、娘から「あの姉弟は可哀想やからね。サンドイッチさえ既製品で弁当に持って来る、つまりお母さんがパン2枚をハムで挟む事もしないという事。手作りケーキの味など知らず、スーパーで買った1か月も2か月も日持ちするケーキを本当のケーキだと思っている。お母さんが気にする事はない」と私に言った。
そうこうしてロックダウンに入り、結局パーティは中止になった。

そんな流れで今に至る。
であるから、もしも息子が懇願するツナマヨ寿司を弁当に持って行き、娘が言われたような言葉を言われるとするならば、Sだろうと私は読んだ。
母として、私はあえてSのいる日を選んだ。
息子には私からも娘からも「もしも寿司を持って行って、嫌な気持ちになる事、悲しい気持ちになる事を言われたら、その場で先生に言いなさい」と言い聞かせてある。
息子は何も知らず「オッケー!!」と嬉し気に言う。

何も言われないかもしれない。
だったらそれで良い。
しかし言われるなら今のうちに解決しておかねばならない。
9月からは毎日、お弁当を持って行く生活が再び始まる。
その前に、今この少人数での学校生活(まだ一部の生徒しか学校に戻れない為)において、立ち向かうべき事を少しでもやっておきたい。

しかしながら私にとって嬉しい事もあった。
それは息子の友人ジョージ君が息子に「君のマミーが作ったチョコスポンジがあまりに柔らかくてビックリした。大好きだよ、君のマミーのケーキ」と言ってくれた事である。
私のやり方でエエ・・そう思わせてくれたのが、若干6歳のジョージ君でもあったのである。
たかがケーキと巻き寿司、しかし私にとって想定しなかった海外暮らしの試練なのである。
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