デザート事件

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日曜日の事。 いつもは私が仕事に行っているため、義母は我が息子(私の夫)を終日独占出来るはずなのであるが、私が休みでうちの息子の学校のお友達を招いた誕生日パーティがあったため、義母はいつものようにスーパーにもガーデンセンターにもランチにも1人で行かねばならなかった。 そもそも、ここから義母の不機嫌さは始まっていたのかも知れないが、「良いわね、あなた達には予定があって。さぞかし疲れているでしょうに」と嫌味を言ってきたため、私と夫は義母の孤独を思い、日曜日の夜は義母と共に食事をしようという事にした。 カーライルから外れた田舎の村にポツンとあるパブがある。 1703年に建てられたパブは当時のままの雰囲気を残し、料理もパブというよりはビストロのような感じである。 最近そこの料理が美味しくて月2程度で通っている。 メニューもパブ料理は1割程度で、後はヨーロッパ料理を美味しく作れるシェフがおり、最近行くのが楽しみになっている。 さてメイン料理も終わる頃、娘が食べていたマカロニグラタンを1割残して「もう要らん。さあ、デザート何にしようかな~」とフォークを置いた。 私は「アカン。マカロニ全部食べなさい。それが食べられへんのにデザートが食べれるってオカシイやろ?いつも言うように、皿のもの全部食べてから次や。それが食べられへんのにデザートは許さん」と言った。 娘は義母の皿を見ながら「じゃあ聞くけど、おばあちゃんはつもこんなに残しててデザート食べてるやん。それは良いわけ?オカシイやん」と言い返して来た。 遂にこの日が来たかと思った。 いつか娘が気が付くと思っていた。 前にも記事に書いた事があるが、義母はどこでどんな料理を食べる時も、前菜を頼み3分の1だけ手を付けて皿を下げさせる。 メインも同じく、3分の1だけ食べ、後は食べない。 そしてデザートも同じく、半分程度食べて残す。 「私は牛じゃあないんだから、あなたのように全部が全部、綺麗に食べないわ」と過去14年間、義母は私に言い続けてきた。 そんな問題ちゃうねん・・・と私は腹の中で思っている。 金を払うのだから、どんな食べ方をしようと勝手・・客がそう言うのならそうかもしれない。 しかし、この14年間、義母と共に外食をしてきた中で、どれだけ店員が不安な顔付きで「何か問題がありましたでしょうか?気に入らない内容でしたか?良ければシェフに伝えますので、お教え願いませんか?」などと言って来た事か。 問題があろうがなかろうが、義母はこういう物の食べ方をする人である。 それを勿体ないとか、食材の無駄だとは思わない人なのである。 料理にほんの少し手を付け、「結構よ」と店員に皿を下げさせる。 どんな美味の料理であっても、「美味しい」とは言わず、店員には不愛想に「FINE」と言うだけ。 日曜日もそうであった。 私は娘の目だけを見て「おばあちゃんが、どう料理を食べようと、どんなに料理を残そうと私にはどうでも良い。何故なら、私には責任は無いから。しかし、あなたは私の娘。私はあなたのお母さんである以上、食べ物を食べる時、それを有難く頂き、全部食べて食事を終えるのが作ってくれた人への礼儀だと教えてきたはず。自分が作って出したものをほとんど残されたらどんな気持ちになるかと聞いた時、あなたは悲しいと言ったわね。そう、まさにそういう事。デザートが食べられるのに、なぜ目の前の料理のたったそれだけが食べられない?自分で食べたいとオーダーしたのだから、感謝の気持ちを持って食べなさい。それが出来ないならデザートを食べるのはルール違反」と言った。 義母の気まずそうな顔が視界に入った。 私は9歳まで祖母と暮らして育った。 祖母から「米粒1つ残すな。お百姓さんの苦労を想え」と言われ育った。 だから自分の皿の食べ物は今も絶対に残さない。 娘にも「感謝して食べる事」を教えたいが故、失礼なまでの量を残し、次々に料理に手を付けさせる事だけは絶対にさせたくない。 娘はわたしにいつも言われている内容だけあって、すぐに残りのマカロニ4つを食べた。 娘はデザートをオーダー、完食した息子もオーダーしたが、義母は14年間で初めて「私はデザートは要らないわ」と言った。 きっと私が言った手前、頼みにくかったのだと思う。 顔見知りのウエイトレスさんが皿を下げに来た時、義母に「まあ・・こんなに残されて・・何か気に召さなかった内容でも?」といつものように聞いた。 義母は「別に。しいて言うなら野菜が気に入らない」と言ったが、私は気分が悪くなり、トイレに逃げた。 ゲロを吐きに行ったわけではない。 こういう食べ方をする義母の言い訳を聞くのが嫌だったのである。 何故に初めから完食できないと分かっていて、前菜やら肉料理やらをガッツリ頼むのか・・。 私がシェフなら落ち込むレベルの残量である。 義母だけではない。 イギリスの飲食店では、ご飯を大量に残して平気な文化が当り前にあると暮らしていてそう思う。 この食べ物を大切に食べない文化だけは、我が子に継承して欲しくない。 日本で育った私の唯一のコダワリかもしれない。 人気ブログランキングへ