それの無いもの

うちの職場は女子が圧倒的に多いため、喧嘩や仲たがい、人から聞いた悪口を本人に告げ口するビッチ系まであらゆるジャンルが揃っている。
40代を過ぎているのは3人、後は皆10代20代であるヤング世代であるから、私は職場において必要な事だけを話す事が多いのであるが、そんな中、20代の女の子で私が唯一信頼し腹を割って話せる女の子がいる。

3年ほど前に入って来た女の子であるが、恐ろしく美人で大人しい、しかし仕事を覚えるのが驚異的に早くしかも真面目で几帳面、職場で私のスピードに付いて私の補佐が出来るのはこの子だけであるから、私は彼女の仕事ぶりもかなり認めている。
私の偏った偏見ともいえる意見をも笑い飛ばし、いつも笑いながら仕事が出来る唯一の同僚である。

彼女はエホバの証人を信仰しているため、職場のクリスマスパーティには来ないのであるが、毎年クリスマスパーティの翌日に「昨日どうやったー?!」と目をキラキラさせながら毎年起こるパーティでの事件を聞いて来る。
パーティには必ず泥酔者がおり、失態が付きものであるから、珍事件が必ず起こるのである。
今回は普段ハニワかと思う程に無表情のスタッフがアバの「ダンシングクイーン」がかかった瞬間、壊れたように手を広げ踊った事、何故か私と2人で会話することなく永遠に踊っていた事、そして無表情で「楽しかった」と言った事、とあるスタッフが若者男性とダンスフロアで目を覆うキスを始めそのまま消えた事、45歳のスタッフが21歳の男子を逆ナンパし消えた事などなど、今回も盛りだくさんであった。
私のロボットダンス、店長のマカレナ、誰々のステップ・・そんな話をしながら爆笑するのが毎年の恒例となっている。

私は「私の場合これをクリスマスパーティとは思った事がなく、年末の忘年会としてスタッフ皆でローストビーフやターキーを食べに行ってる感覚でしかないから、年に1回皆で飲んで踊りに行ってるねんけどな」と付け加えた。
すると彼女は「クリスマスの曲がかからず、クリスマスの飾りつけが無ければ行けるねんけどな・・楽しそうやもんな、毎年」と言った。

ハロウィンが終ると、どこもかしこもクリスマスの飾りつけが上がる。
うちの職場は本社からの通達でクリスマスを皆が祝うわけでは無いから・・という理由で、今年から店内のBGMも普通、店内の飾りつけも無し、店員がクリスマスにちなんだアクセサリーを付けるなりセーターを着るのは自由とした。
見たくなくとも目に入るから、この時期はクリスマスを見たくない人には目が疲れるであろう。
今回、私達が行ったクリスマスパーティの会場はパブの宴会場であるから、去年や一昨年やったホテルでの会場のように豪華絢爛な飾り付けが無かった。

子供会で見るような金銀のビロビロの付いた(何て言う名前か知らん)長いやつが入り口にあるだけであった。
ただ、テーブルにクリスマスに欠かせないクラッカー(食べ物やないで)が置いてあるので、それはクリスマスらしいものになるであろう。

私は「ほんじゃ、例えばクリスマスソングがかからなくて、飾りつけがクリスマスクリスマスせずにキラキラだけしてたら大丈夫って事?」と彼女に聞いてみた。
彼女は「ううーん・・・かな、行ってみたいなとは思うねんけど、そこが問題」だと言ったので、早速、翌年のクリスマスを決定する宴会隊長に話してみた。
「せっかくなら、全員参加で今年も頑張った会を皆ではっちゃけてやれたら楽しいと思うねん。何とかあの子も参加できるように考えたいねんけど、その辺、この前やった会場でちょっとその日だけクリスマスに関わる曲はかけないで下さい的な事お願いでけへんやろか?実際、この前はクリスマスソングが一切かからなかったやろ?無理かな?」と提案してみた。
宴会隊長のMは「いや、それエエやん!私もあの子に参加して欲しいもん。交渉してみるわ。その日の夜だけ曲はかけない、クラッカーはうちのテーブルのみ無しで、会場の飾りはキラキラだけで、とかな」と言ってくれた。

日本の忘年会シーズンはイギリスにおいて、どうしてもクリスマスパーティになってしまう。それは会場となる店側がそういう曲と飾りつけをしてしまっているから、クリスマスを祝わない人には参加さえ阻まれてしまう事になるのは、あまりにも不公平かなと彼女と働き始めて気が付いた。
それでも職場には「クリスマスパーティに来ないなんて、あの子ヘン」と話す未熟なスタッフも数人いるのが現状。
しかし来年それが実現すれば楽しいなと思う。
そうすれば私のスーパーロボットダンスも見せてあげよう。
「見たい」とも言われていないが・・
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