鈴虫の鳴く声が烏羽玉の夜の空隙に木霊する
空虚感の離脱と
昭昭たる覚醒を促す
夏の終わりのハーモニーが心地よく耳奥にゆらめき
囁くが如くそしてつぶやいてくる
秋が来た 清けしの秋が来た
白帝が鎮座する季節がやってきたと
実りの秋 収穫の秋
晴れた空は濃青に澄み渡り
天高く馬肥ゆる季節がやってきた
豊穣をもたらす至福のときの到来により
私の心は天を仰ぎ 揚揚とした展望を促す
ただそれと同時に
一抹の不安と焦燥感がふと心の片隅(脳裏)をよぎる
そんな季節の訪れでもある
人生の
浮きと沈みは
四季に似て
曇らば晴れる
止まぬ雨なし
