今回は、「疲れリセット」即効マニュアル(梶本修身著、三笠書房)の書評を書きたいと思います。
著者の梶本さんは、「東京疲労・睡眠クリニック」という、
「疲労」という言葉が付く都内唯一のクリニックを立ち上げています。
現代人で疲労に悩まされたことがない人は、まずいないと言ってもいいでしょう。
本書は梶本さんが日頃様々な方に接する中で、元気な人と疲れやすい人は何が違うのかを、医学的な理由とともに解説しています。
特に印象に残った箇所は、
過労死した人の遺族に話を伺ったところ、本人は過労死する直前まで責任感と意欲を持って働いていたと話していた
というところで、これは意欲や達成感が疲労感を消し去っていたためであると解説しています。
このように、「疲れていても疲労感を感じないので気付かない」ということがあり、それによって突然死してしまうことがあるようです。
これを読むと、「やはりきちんと休まなければいけない」と危機感が湧きます。
終盤には、疲れやすい人と疲れない人の考え方の違いが紹介されています。
特に印象に残った箇所は、
疲れやすい人は、自分の「武勇伝」を語る
疲れない人は、自分の「失敗談」を語る
という項目です。
梶本さんは医院を訪れた方に、「自分がいかにいい加減で、弱いか」を話しているそうで、本書でも過去の失敗談を述べており、意外な一面を知りました。
「医者がいい加減なところを見せたら患者から信用されなくなる」というのが今までの私の考えでしたが、ここを読んで、その常識が打ち砕かれました。
梶本さんの「完璧な医者は尊敬されるが、そうなると完璧に憧れて患者も頑張り過ぎてしまい、症状がよくならない」という考え方はすごく説得力がありました。
やはり人は弱さを見せられた方が警戒心が解けて親しみが湧くのでしょう。
本書は、「疲れたときの休み方」のような対処法的なことだけでなく、
日頃からできる考え方なども具体的に述べられており、読むと少し気が楽になる本です。