私は誰?私は愚か者。
私のことは誰も覚えていない。それが、すべて。
分別が無い幼少期~青春時代
悪戯をして補導されたことはあっても犯罪歴は無く
罪悪に値するが必要悪として力を行使したことはあれど
それなりに自分が信じる義に殉じて人間として生きてた
けれど
生年より名前を呼ばれたことは無く
記憶は忘れ去られた
私はいったいダレなのか?
それから、どうなろうと、私にとって、私の終りは私の死だ。
私は遺書などは残さぬ。
生きているほかには何もない。
私は誰。私は愚か者。私は私を知らない。それが、すべて。
(坂口安吾「私は誰?」)