八叉組がデモンズの手に落ちたことは瞬く間に裏社会に伝わった。そしてその情報は、裏社会にまでも情報網を張っていたSWORDの情報部にも届いた。
幸浩「何?吾妻派が八叉組事務所を占拠しただと?」
情報部隊員「はい。なんでも、武闘派の幹部を倒されたことで八叉組長が折れたと……」
幸浩「八叉組か……至急八叉組事務所の構造図を……」
さくら「それなら既に入手済です。」
司令室に叶人川と明智が姿を見せる。既に情報部から八叉組の件を聞かされていたようだ。
真澄「八叉組はここら辺だと1番大きな拠点になると思うよ。敷地の広さや建物の構造、まさに要塞にもなり得る建物だよ。」
幸浩「要塞…… 何が言いたい?」
真澄「近いうち、デモンズがSWORD本部へ襲撃をかけてくるかもしれない。 隊長会議の時に受けた襲撃とは、比にならないくらいの軍勢を率いてさ。」
幸浩「……やはりお前もそう考えるか。 現状動ける隊長達を召集してくれ。こちらも手を打たせてもらう。」
真澄「と、言うと?」
幸浩「向こうが仕掛けてくる気なら……こちらが先手を打つだけだ。」
一方、八叉組事務所には続々と人が入っていた。彼らは八叉組構成員ではない。吾妻派が配下につけた半グレ組織の人間達だ。デモンズの構成員も加わり、八叉組事務所内はかなりの人数となった。
叫平「ヒュー!圧巻だねぇ! 俺らの頑張りがこうやって目の前でかたちになって分かるっていいなぁ!」
宵「当然吾妻様の影響力もあるけどね。」
戒亡「おー、偉いくらい賑わってんなぁ。」
2人の目の前に紫色の炎が立ち上り、その中から戒亡が現れる。
叫平「ん?お前ワープできるのって来たことある場所だけだよな?ここ来たことあるのか?」
戒亡「あぁ。この街でのドラッグ売買に1つ噛ませてもらったときがある。 関わった構成員は粛清されたけどな。」
宵「……そう。仁義を重んじる組織だとは聞いてたけど、全員がそうでもないのね。」
戒亡「それにしてもよ、こんなに派手に動くなんてボスらしくねぇんじゃねぇの? SWORDの情報部隊は無駄に優秀だからなぁ。すぐに気づかれると思うぜ?」
宵「それに関しては問題ないわ。 〔目立つように〕動いているからね。」
戒亡「……あぁ、そういうことな。」
そしてSWORDでも隊長達が召集されていた。雲雀と葵はまだ重傷により復帰はできていない。コキュートスを守る福園も含めた3人を除いた隊長達全員が集まった。
蒼一郎「猿子、ケガはもういいのか?」
烈火「いよいよ総力戦なんだ。いつまでも寝てられるかよ。」
草津「連中、いよいよ隠す気も無くなったということか。」
幸浩「全員揃ったな。 それでは作戦会議を始めさせてもらう。」
目の前のスクリーンに八叉組事務所の構造図が映し出される。
幸浩「お前達も知っての通り、八叉組がデモンズによって制圧された。情報部の情報によると、現在八叉組事務所には大勢の人間が出入りしてると聞いている。」
ミチル「相手もやる気満々だぁ……!」
幸浩「八叉組の出入り口は正門と裏門の2つ、我々はここを塞ぎ、退路を断つ。そして中にいるであろう吾妻や幹部達を一網打尽にする。」
蘭世「周辺地域への影響は?」
幸浩「当然それも考慮している。ヤツらは監視兼戦力の分散を狙って街に構成員を一定配置するだろう。 無論街の方にも戦力は割くが、最低限の人数にするつもりだ。」
蒼一郎「……。」
この闘いが最終決戦になるだろうと西蛇は睨んでいた。しかし、西蛇は何か違和感を感じていた。ここまで尻尾を掴ませなかった急に目立つような動きを始めたことを不審に思った。するとそれを見抜いたように西園寺が口を開いた。
幸浩「それに加えてだが……SWORD本部に一定、戦力を残そうと思っている。」
一同「「!」」