ズリバイ

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随分と休憩してましたが、ブログを再開します^ ^

通院日記もきちんとラストまで書きます^ ^


うちの息子が、ハイハイもどきを始めました。

ズリバイというやつですね。


テーブルの角などに頭をゴッチンすると危ないので、こういうものを取り付けてます。



今週末は、この作業に追われるな^^;


なお、次は、まっしろパンダの通院日記⑧を公開しますので、よろしくお願いますm(_ _)m

そうたいせいりろん

まっしろぱんだの通院日記を書こうと思ってましたが、なかなかその気力が^^;


もう、⑦で完結にしようかな、とか考え始めてます。


診断結果は、今すぐどうこうというわけではないのですが、これから毎月、検査を受けることに。


今後の数値の変化を注意深く見る必要があるとのこと。


それは、僕の状態だと、毎年一定の割合で発病するからで、それなりのリスクがあるのだとか^^;


つまり、そんなにいい状態ではないのでしょうね。


僕、早々に時限爆弾を抱えてしまいました^^;


スタンドか何かで、攻撃されたんかなw


だったら、だれか解除してよw





今週末はゆっくりと、好きな海外ドラマとかアニメを見まくって、あとは寝まくって、ゆるゆるな生活を送りました^ ^


でも、気は晴れませんね。


やはり、力強く前に進んでこそ、心の疲れは癒えるのだと実感しました^^;


でも、今はもう少しだけ、無意味だとしても、何も考えずに、何もせずにいたいのです^^;


僕は弱いなー^^;



ひとつ新たな目標ができました。



息子が成人するまで生きるために、体に気をつけて生きること。


体に気をつけてどうこうなるもんじゃないと思うけど、僅かでも長生きできる可能性があるのであれば、健康第一に生きるべきかと。


そして欲を言えば、『おじいちゃん』と呼ばれるまで生きたいな^ ^


僕は欲張りだな^^;


人によって、時間の価値は違う。


流れ方も違うんだろうな。


しかし、時は戻らないし、逆行しない。


なんだか相対性理論みたいだ^ ^

まっしろぱんだの通院日記⑦

まっしろぱんだの通院日記を再開しますm(_ _)m

〜〜〜〜以下本編です〜〜〜〜

帝都大学病院の検査結果で、か細い一筋の光に過ぎないが、希望が出てきた。


パンダは考える。


これから先、残された寿命が4年とした場合、自分はどのように生きるべきなのかと。


息子、妻、そして両親とどのように接し、病気とどのように向き合っていくのか。



多発性骨髄腫という病気は、他のガンと違って治療法がない代わりに、ゆっくりと進行する病気だ。


そして、残された時間に目を向けると、最期の時に備えて準備をする時間が十分にある、と考えることもできる。


これは、時間の価値が飛躍的に高くなることを意味する。


そして、その時間に意識を向けることで、時をより価値あるものにできるのではないか。


さらにパンダは考える。


もし、1日を10日分の価値がある生き方をしたならば、単純計算で40年と同価値の時間を生きたことになる。


1日で100日分の価値のある生き方をしたならば、400年を生きたことになる。


このように前向きに考えることができるようになったのは、ここ数週間に繰り返した希望と絶望が生み出した、なんらかの耐性や免疫のためではないか、とパンダは考える。


草木や鳥などの生き物を見て、その生命の素晴らしさを感じることができるようにもなった。


今回のことがなければ、到底到達できない精神領域である。


生命は、危機に陥ったとき、飛躍的な進化を遂げるというが、人の心も同じではないだろうか。


生命は生きる道を模索する。


人生も同様である。


パンダは、今自分が置かれている状況が、それほど悪くない、と思い始めている。


この先、これまで以上に絶望するかもしれない。


涙するかもしれない。


しかし、今を生きることを放棄した者に、明日は来ない。


明日を生きるためには、絶望の淵に立たされようと、一生懸命、今日を生きるしかない。


生きるということは、そういうことなのだ、とパンダは少しづつではあるが理解し始めている。
さて、ここ1か月の間、時々、微熱が出たりするんですね。


ホント、夏風邪は治りにくい(>_<)


とまあ、こんな状況なので、基本的に土日は家で寝てます。


体の芯から、外に出たい!バイクに乗りたい!ロードバイクにも乗りたい!というエネルギーが溢れ出てくるのですが、体調が戻るまではガマンです^ ^


で、ただ寝てるだけかというと、そんなことはなく、これまで書いた『まっしろぱんだの通院日記』の誤植などを確認し、訂正などをしました。


ちゃんと見直してるんですけど、何箇所か誤記載がありましたm(_ _)m


感情のままに、書き殴るような筆運びだったので、やはり誤植がポツポツと、、、^^;


読みづらいところが多々ありましたことをお詫び申し上げます。


さて、話が変わりますが、ちょっと前まで、ロードバイクのツーリングで、こんがりと日に焼けた男らしい健康的な肌になってました。


しかし、夏風邪のせいで外に出ることがなくなったため、またまた肌の色があせてきました(>_<)



例年よりも、幾分か日に焼けてはいますが、、、


日に焼けない原因はこれかと、、、



少し爪が伸びてますが、、、


爪元の白い部分が赤ちゃん爪らしく、ここの部分が広いほど代謝が良いとネットでありました。


代謝が良いので、日焼けが長続きしないのではないかという仮説を立てました^^;


ということは、これまで無駄な努力でたということか?!


それに、、、代謝が早いと、ガンの進行も早い?!


なんていうことは、考えないようにしています^ ^


それよりも、はやく夏風邪を撃退しないと^^;
少しの間、まっしろぱんだの通院日記をひと休みし、最近あったことをひと休み編として書いてみました^ ^


ひと休み編が終るのは、来週の通院日くらいになると思いますので、そこから、通院日記を再開しますので、また、よろしくお願いますm(_ _)m


ひと休みできるくらいに、メンタル的に余裕ができてきたんだと思います^ ^


これはすべて皆様のおかげですm(_ _)m



さて、僕は健康面で爆弾を抱えてしまったのですが、僕の愛車RCZにも異変が、、、


大学病院からの帰り道、高速道路を走行中、愛車のRCZが突然パワーダウンしました(>_<)


5速と6速に入れると、ガタガタというエンジンからの顕著な振動が発生します。


つまり、トルクが落ちている証拠です。


エンジンの警告灯を点灯していました。


検査でヘトヘトなのに、エンジントラブルって(>_<)サイアク〜


まさに泣きっ面にハチ🐝チクッ


今回、僕が通院することとなった多発性骨髄腫の件と同じで、車も人間と同様に壊れるときは突然デス^^;


同じようなトラブルが以前、僕が乗っていたアウディT T(8N)にもありました。


イグニッションコイルの一つが逝っていたのです。


アウディのディーラーでは、コンピューター診断が5万円、全てのイグニッションコイルのASSY交換で5万円、工賃は確か5万円でした。


一つのイグニッションコイルが故障してるだけなのに、全てのイグニッションコイルを交換する?


コンピュータ診断が、ご、、5万円?


工賃が5万円?


なんというマハラジャぶりw


アウディ恐るべし、、、デスw


途中、エンジンが止まってもいけないと思い、高速道路から降りて、近くのコンビニへ寄りました。


プジョーは国産車並みに安いと聞いてるけど、本当かな、、、などと思いながら、自宅近くのプジョーのディーラーに、コンビニの駐車場から電話をしたところ、すぐに対応可能ということだったので、自宅に戻ることなくディーラーへ直接向いました。


プジョーのショールームは、アウディっぽい感じでした。


そして、サービスで出てくるコーヒーとクッキーの出し方までアウディとそっくりだった。
ただし、アウディの方が高級感において優ってましたけど。


プジョーのCMもアウディっぽいし、プジョーはかなり意識してますね、アウディを。


ただし、ショールームの壁に掲げられたメチャでかいプジョーのマークの演出はアウディより優ってました。
これは、とても良い演出ですね。


さて、愛車をコンピューター診断してもらったところ、故障箇所は、やっぱりイグニッションコイルでした。


工賃が高ければDIYでやろうかな、とも思ったのですが、この時は、大学病院での検査の疲労や不安から、そんな気力が湧かなかったので、ディーラーにお願いすることにしました。


お、、、おいくら万円ですか?


見積もりを出してもらうと、、、


費用は、初回コンピューター診断とイグニッションコイル1個、工賃で1万6000円とのこと。


アウディのように、全て交換というわけでもなく、コンピュータ診断も工賃も安い。


めちゃ安いですね。


国産車並みの安さだ。


この程度のコストであれば、今後、僕がRCZに乗れなくなったとしても、それほどのダメージにはならない。


待っている間、208、308、3008、5008を見ましたが、なかなかいいですね。


値段も抑えてますし。


これらの最新車種を舐めるようにして見ていると、あっという間に1時間が経過し、イグニッションコイルの交換の完了しました。


人間も車も、いずれは故障をするんですけど、今回の僕の通院費用の方がうんと高かったですね^^;

まっしろぱんだの通院日記⑥

マルク(骨髄穿刺)という検査を受けるため、再び帝都大学病院に行くことになったパンダだったが、どんよりと曇っている空模様のように、パンダの心は晴れなかった。


中待合で待っていると、パンダの順番はすぐにやってきた。


"もう順番がきたのか、、、"


まるで学校で受ける予防接種の順番が来た時のようだった。


パンダは診察室に入り、神田医師から検査の手順などの説明を受けた。


「痛いんですか?」


と、パンダは率直に聞いた。


医師は「最初の麻酔の時と、最後に骨髄を抜く時が痛いだけで、その他は痛くないですよ。」と答えた。


「それでは、処置室にご案内します。」


40代半ばの女性看護師がパンダを恐怖の処置室へと案内した。


「大丈夫よ。私が手を握っててあげるよ。」


「はあ、、、」


看護師は、とてもフレンドリーに話しかけてきた。


不安を取り除こうとしているのかもしれない。


しかし、まてよ、とパンダは思った。


手を握っててくれなければ耐えることができないほどの痛みなのか、と。


処置室に入ると検査着に着替えて、ベッドに横たわった。


しばらくすると、神田医師は、屈強な男性看護師2人を伴ってやってきた。


「横向いてくださいね。」


言われたとおりに横向きに寝たが、2人の男の存在が気になった。


"その2人は何をする人?"


パンダは嫌な予感がした。


また、パンダの嫌な予感は当たってしまった。


男性看護師達はパンダの体をガッチリと動かないよう押さえ込んだのだ。


"押さえ込まないと暴れるくらいに痛いのか?!"


女性看護師はパンダの手を両手で握り、笑顔で「大丈夫だからね。」と言っている。


パンダは笑顔にはなれなかった。


むしろ、泣きそうになっていた。


「麻酔を打ちますよ。」


腰のあたりがヒヤリとした。


おそらく消毒液を塗っているのだろう。


背中に塗られた液体が下に流れ落ち、尻とベッドの間に溜まっているのがわかった。


神田医師は「少しだけチクっとしますね。」とパンダに伝えた。


チクっと、、、


パンダは医師の言葉を信じたのだが、かなりの激痛だった。


しかし、すぐに感覚がなくなり、注射針がブスブスと背中に刺されまくっている感じだけが伝わってきた。


背中に針を刺してかき回されているような、とても気持ちの悪い感覚だった。


麻酔注射が終わってホッとしていたのもつかの間、医師が信じられないほど大きな注射器を手に取っていることに気づいた。


"次はそれ?!そんなの無理!"


見たこともない巨大な円筒状の注射器の先端に、針というよりもパイプと言っていいほどに太い注射針が取り付けられていた。


さらに注射針の先端は、無機質なノコギリ刃のようにギザギザになっており、パンダを恐怖させた。


注射針が、照明によって冷たく光る。


「まだ刺してないよ。もう泣いてるの?」


女性看護師が、心配そうにパンダの顔を覗き込む。


パンダは顔を背ける。


「泣いても、叫んでもいいからね。その方が楽だから。」


"やっぱり叫ぶほどに痛いんじゃないか!"


パンダ、騙された、と思った。


「では、刺しますので動かないでくださいね。」


と、2人の男性看護師に押さえ込まれて身動き一つできないパンダに医師は言った。


よほどパンダが情けない表情をしているのか、パンダの手を握っている女性看護師は「大丈夫だからね。」を連呼している。


ザクッという音はしなかったが、そんな音が聞こえてきそうなほどに強い振動を腰に感じた。


"あれ?痛くない、、、楽勝じゃん".


そう思ったパンダは調子に乗って、女性看護師に「全然痛くないよ。」と余裕さをアピールした。


女性看護師は、菩薩様のような表情で、パンダを見続けている。


しかし、そんな余裕はすぐに打ち消された。


ゴツっという体の中で感じる振動で、背骨に太い注射針の先端が当たったのがわかった。


パンダの目に涙が滲む。


再び女性看護師が「大丈夫だよ。」を連呼し始める。


「これから先は暴れると本当に危ないですよ。」


屈強な男2人にガッチリと押さえ込まれているので、暴れたくても暴れることはできない。


ゴリゴリゴリ


医師は、注射器を工具のドライバーのように回し始めた。


ゴリゴリゴリ


注射針先端の刃が、無慈悲にパンダの背骨を削り、切り刻む音を奏でた。


ゴリゴリゴリ


体の中から感じる振動と、耳からも聞こえる不快感な音は、パンダの心を深く削った。


「大丈夫だからね。」


"全然大丈夫じゃないよ!"


注射針はパンダの背骨に穴を穿ちながら、前へ前へと突き進んだ。


永遠に続くかのように感じた注射針の進撃は、スッと抜けるような感覚とともに終わった。


注射針が骨髄に到達したのだ。


「ここからは痛いですよ。一瞬ですが堪えてください。」


骨髄の部分には麻酔が効かないと聞いている。


つまり、ここから先は、麻酔なしの恐怖と激痛が、パンダを襲うのだ。


ズリズリズリ


医師が巨大な注射器のピストンを引くと、背中の中にある何かが抜かれる感じがした。


「あっあぁ、、、」


と、同時に、なんとも形容のし難い、これまで経験したことがない痛みがパンダを襲った。


ズリズリズリ


背骨の中を通る神経に、荒い砂を擦り込んでいるような、尋常ではない痛みだった。


ズリズリズリ


「痛い!痛いよ!!」


パンダは子供のように痛がり、そして叫んだ。


男性看護師達は、さらに力を入れてパンダを抑え込む。


女性看護師はもう「大丈夫だよ。」とは言わず、「もうすぐ終わるよ。」と言っていた。


確かに大丈夫な痛みではない。


医師はピストンを引くのを止めた。


「終わりましたから、注射針を抜きますね。」


"やっと終わった、、、全然大丈夫じゃない、、、"


パンダは放心状態だった。


顔は涙と汗でくちゃくちゃになっていた。


女性看護師から「よく頑張ったね。」と褒めてくれた。


女性看護師に言われなくても、僕は頑張ったんだ!とパンダは思った。


その後、注射針を刺した部分にガーゼを当てるなどの処置を終え、診察室に通された。


まだ麻酔が効いているからか、背中の痛みは感じない。


「検査結果は来週にお伝えします。今回、骨が硬くて、なかなか骨が削れなかったので、骨には異常がないのかな、と思います。それに、骨髄の色も綺麗なピンクだったので、MGUSの可能性も出てきました。」


「まだ多発性骨髄腫ではないのですか?」


医師の説明に、パンダは咳き込むように質問をした。


「ベンスジョーンズ蛋白が出ているので、現時点ではSMM(くすぶり型多発性骨髄腫)の可能性の方が高いですが、MGUSの可能性が出てきた、ということです。」


最近は、背中でガン細胞が増殖しているイメージが頭から離れなかったが、今の医師の説明で、少し希望が出てきた。


SMMとMGUSの可能性が10対0だったものが、10対1になったような気がした。


勝手な想像ではあるが、もしSMMであったとしても、多発性骨髄腫の『平均余命4年』などではなく10年は生きることができるのではないか、という希望も出てきた。


「来週は骨シンチ検査をやりたいと思います。お子さんはいらっしゃいますか?」


骨シンチ検査とは、体内に放射性物質を注射して、骨の異常を調べる検査で、放射性物質により、僅かではあるが被曝するので、家に小さな子供がいる場合は、被曝を防ぐために、検査後1日間は、抱っこなどの接触は避けなければならないとも言われた。


厄介な検査があるんだな、と思った。


しかし、MGUSの可能性もある、という医師の言葉に、パンダは神様に救いの手を差し伸べられたような気がした。


パンダは、病院を出て空を見た。


今朝とは打って変わり、ほとんど雲のない青空になっていた。


【あとがき】
マルク(骨髄穿刺)は、ものすごく痛かったです。

女性看護師が手を握っててくれなかったらこころが折れていたかもしれません。

あれは大人でも泣けて来ますよ。

まあ、女の人だったら強いので、堪えるかもしれませんけど。


まっしろぱんだの通院日記⑤

神田医師は、多発性骨髄腫についての説明を始めた。


人の体には、いろんな病気に対応するために多種類の抗体が作られており、1つの細胞からは1種類の抗体しか生み出されない。


しかし、抗体を作る細胞がガン化すると、不完全で機能しない同じ型の抗体であるM蛋白が大量に作られる。


抗体の種類と量をグラフ化すると、一つの抗体が突出して表示され、この突出した部分をMピークという。


M蛋白の一部は尿中に漏れ出てくることがあり、これをベンス・ジョーンズ蛋白という。


ベンスジョーンズ蛋白が腎臓の目詰まりを起こして、腎不全などの障害を起こす。


骨髄腫細胞によって刺激された破骨細胞が骨を溶かし、骨折しやすくなる。
そして、骨が溶けることで血液中にカルシウムが溶け出して、高カルシウム血症になる。


更には、悪性の骨髄腫が正常な細胞を圧迫することで、造血機能が阻害され、貧血の症状も出る。


これらの多発性骨髄腫に関する説明に、パンダは震えた。


少し泣いていたかも知らない。


次に、医師はこれからパンダが受ける検査についての説明を始めた。


「まずは血液検査をやりたいと思います。」


多発性骨髄腫の指標となる血中のM蛋白の量と、型を特定するために抗体igG、igM、igAの量を調べるとのことだった。


この3種類の抗体の中で、どの型の抗体が悪性化し、どの正常な抗体を圧迫しているかを確認するための検査だという。


その他に、血中カルシウム量や、貧血の有無、腎機能等についても調べるとのことだった。


そして、他の悪性腫瘍の有無を調べるために、数種類の腫瘍マーカーの検査もやることになった。


また、ベンスジョーンズ蛋白の有無を確認するための尿検査や、骨の病変がないかを確認するためにレントゲン撮影を行うことになった。


今回の検査は、前の大学病院よりも多項目に渡っていたが、事前に医師から説明を受けたことで、前回のような不安は感じなかった。


だだ、レントゲン撮影では、頭からつま先まで、あらゆる角度から撮られたのだが、このようなことは未経験であったため、自分の置かれている状況があまり良くないのだと、改めて思わされた。


全ての検査が終わったのは、約2時間が過ぎた昼ごろだった。


検査が終わって診察前の中待合に戻ると、すでに自分の番号が審査室前のモニターに表示されていた。


表示された番号は、緊急の場合を意味する赤色に反転していた。


パンダは、悪い検査結果が出たのではないかと不安に慄きながら、ドアを開けた。


神妙な面持ちで、パンダは医師の前の椅子に座った。


医師によると、Mピークの頂点はやや緩やかで、抗体量も、それほどまで高くなってないとのことだった。


しかし、尿中からベンスジョーンズ蛋白が検出されたとも言われた。


「現時点においては、我々がSMMと呼んでいる多発性骨髄腫のくすぶり型である可能性があります。」


パンダは思った。


"あぁ、僕は長くは生きられないんだ"


"子供が生まれたばかりなのに!"


"小説家になりたいのに!"


"まだやりたいことがたくさんあるのに!!"


"この先、子供の成長を見たいのに!!!"



もうパンダは、心の中の、やり場のない怒りと悲しみ、そして膨れ上がる不安を消化することができなくなっていた。


パンダは咽び泣いた。


そして、前の大学病院で、若い人のガンの進行が早いという説明を受けたことを医師に伝え、多発性骨髄腫の場合も進行が早いのかと聞いた。


医師は、しばらく黙っていた。


パンダは、余計なことを言ったことで怒らせてしまったと思い、顔を伏せた。


「その医師は勉強不足です。若い人のガンの進行が早いというのは間違ってません。しかし、多発性骨髄腫に関しては、体力と気力の有無が大事なのです。若い方が体力や気力がある場合が多いのに、それをガンという一括りで説明し、患者に不要な不安を与えるなど、まともな医師のやるとこではないです。」


パンダは、顔を上げて、神田という医師の顔を見た。


医師は、穏やかな表情でパンダの目を見ていた。


「同じ医師として恥ずかしいです。病院は違いますが、医師としてお詫びします。」


自分の落ち度でもないに、医師は頭を下げていた。


パンダの頰に一筋の涙が流れた。


少し前の、絶望にも似た感情で流した涙とは違う。


それにしても、医師で、これほどの違いがあるものなのか、、、


「我々がMGUSと呼んでいる単クローン性高ガンマグロブリン血症という、多発性骨髄腫には至っていない、良性の状態である可能性も十分に残されています。」


これまで何度か聞いたMGUSという単語だった。


血中にM蛋白が認められるがSMMよりも少量で、何も病変がない状態をMGUSと言う。


パンダは、ネットで調べるなどして、多発性骨髄腫について勉強をしていた。


今度は、パンダの方から医師に質問をした。


「ベンスジョーンズ蛋白が出ていると、多発性骨髄腫なんですよね。」


医師は、すぐにパンダの質問に答えた。


「確かに、ベンスジョーンズ蛋白は、多発性骨髄腫だと診断する決め手になる場合が多いですが、例外があります。」


パンダは、医師が次に発する言葉を全身を耳にして聞いた。



「ベンスジョーンズ蛋白が出ていても、MGUSであることがあるのです。」


"まだ希望はある"


"まだ死ぬと決まったわけではない"


パンダは小躍りしそうなほど嬉しかった。


しかし、次の瞬間、再び、奈落の底に落とされた。


「骨髄穿刺という検査をしようと思います。骨髄細胞を直接採取して、多発性骨髄腫なのか、MGUSなのかを確認する必要があります。」


今、医師が言った『骨髄細胞を直接採取』という言葉が気になった。


"骨髄細胞は、背骨の中にあるはずだけど、、、それを直接?!"


嫌な予感がした。


そして、パンダの予感は当たっていた。


背骨に太い注射針を刺して骨髄細胞を抽出する検査であるとのことだった。


正確にいうと骨盤と背骨の中間あたりに注射針を刺すとのことだったが、パンダにとっては、背骨も骨盤も同じようなものだった。


痛みを伴う検査だという。


検査は来週の金曜日に行うことになった。


喜びもつかの間、再び、パンダは強い不安に襲われた。




【あとがき】7/26
いつものように、この通院日記シリーズに関しては、「自己いいね」をしますので、悪しからず^ ^

さて、明日7月27日(金)に、骨髄穿刺という恐ろしい検査を受けに行ってきます_:(´ཀ`」

めちゃ痛いんだろうなー。

ぎゃーって叫ぶんかな、、、

(´;Д;`)エーンと泣くのかなw

両方かなwww

ま、腹をくくって行ってきまーす^ ^

【追記】7/27
行ってきました_:(´ཀ`」
痛かったー。
この世のものとは思えんほど痛かったー。

詳しくは⑥にて書きますが、あんな検査は2度と受けたくない。

だけど、受けるこのになるんだろうなー。

慣れるんかなー_:(´ཀ`」 




まっしろぱんだの通院日記④

また朝が来た。


早朝だというのに、すでに気温は30度を超えていた。


風は生暖かく、朝の清々しさとは程遠い。


額に滲んだ汗を手の甲で拭い、愛車のRCZに乗り込んだ。


車内は日に焼かれた砂漠のようだった。


エンジンを始動させる。


普段は、すぐに涼しくなるのだが、エアコンの効果を感じるまでしばらく時間を要した。


自宅から帝都大学病院までは、車で約1時間くらいの距離だ。


最初は電車で行くことを考えたが、これから受ける検査の詳細がわかっておらず、体力の温存を考えると通勤ラッシュ時の満員電車で揉みくちゃになることは避けたかった。


仕方がなく、渋滞を覚悟の上で、車で行くことにした。


このところ、パンダは検査とその結果に振り回されている。


2度にわたる結果の先送りで、精神的な負担は、時間的なロスよりも大きかった。


"また今日も結論の先送りかな"


つい、そんなことを考える。


気も滅入る。


パンダの気持ちは一向に晴れずにいたが、空は雲ひとつなく、怖いくらいに青かった。


気がつくと、車の中に冷たい風が流れていた。


「さて、行くか。」


望まない戦場に赴く、雑兵のような気持ちだった。


思ったような渋滞はなかった。


大学病院へは、思ったより早く着いたため、駐車場での混雑もなく、大学病院の入口近くの良い場所に止めることができた。


ただ、パンダが運転するRCZは、左ハンドルであったため、駐車券を取るために、一旦、下車しなければならなかったことに、普段は感じない面倒さを覚えた。


受付開始まで、まだ少し時間があったので、車内でブログ記事を書くことした。


生身の感情をそのまま、文章という形にするといえば簡単だが、その実は、荒れ狂う感情を堰き止め、或いは方向付ける治水工事にも似た過酷な作業だった。


気がつくと、30分ほどが経っていた。


パンダは車から降り、受付へと向かった。


今日は、血液検査があるため、朝食を抜いている。


そのため、少し気だるさを感じているが、不思議と空腹感はなかった。


受付を済ませて、血液内科の待合へ行くと、看護師に名前を呼ばれた。


緊張しているパンダは、小学生のように「はい!」と手を上げて答えてしまった。


「診察室にご案内します。」


看護師の柔らかい表情が、パンダの緊張感を幾分かほぐした。


診察室の入口まで来たところで、ドアが開いた。


40代半ばの温厚そうな男性医師が立っていた。


「暑い中、大変だったでしょう。どうぞお入りください。」


医師はパンダの目を見て話した。


それまで知っている医師とは違っていた。


これまでの医師は、機械的に検査し、診察をしている感が否めなかった。


しかし、この医師は違った。


「はじめまして。神田と申します。」


医師はペコリと頭を下げた。


パンダもつられて頭を下げる。


「紹介状は読みました。」


紹介状を見ながら医師は続けた。


「たしかに、現段階においては、多発性骨髄腫である可能性がありますが、まだ確定ではありません。それに、もし多発性骨髄腫であっても延命治療法はかなり進んでますので、心配しないでください。」


とてもわかりやすい言葉で説明が続く。


「これからいろんな検査をすることになると思いますが、どういう検査をどういった理由でやるかは事前に説明をします。また、検査結果についても、納得がいくまで説明をします。表現も含めて分からないことがあれば、遠慮なく聞いてください。」


これまでの医師は、難解な専門用語ばかりを使うため、説明が説明になっていないことが多かったが、神田という医師は、全く違った。


「不安なことがあれば、なんでも話してください。不安を少しでも取り除くことが、検査や治療の大前提ですので。」


パンダは、不意に目頭が熱くなった。


目の前にいる医師は、血の通った言葉で話す、紛れもない人間であった。


パンダは、「この医師に全てお任せしよう」と思った。

まっしろぱんだの通院日記③

燦々と照りつける太陽の下、パンダは車を運転しながら、病院での出来事を思い返していた。


中待合で待っていた時、診察室のドアが少し開いていたため、話し声が漏れ聞こえてきた。


「この人、私が診ないといけないの?無理だって!町医者は簡単に紹介状を書いて終わりだからいいよな!」


少し怒った口調の男性の声が漏れ聞こえてきた。


診察室に入ると、その声の主はパンダを診察する医師だった。


死の宣告に等しいことを言われた後、他の病院を紹介されて行くことになった。


"大学病院の医者に見捨てられた、、、"


パンダは、そう思った。


"たらい回し、、、"


"次も、また同じかも、、、"


"次の病院で、また死の宣告を受けるのかもしれない、、、"


いろんなことが頭をよぎる。


"息子の成長を見ることができない"


"なんて残酷な病気なんだ"


今考えなくても良いことを考えてしまう。


"いろんな検査もあるだろうし、、、入院することになるのかな、、、"


気が滅入りそうだった。


パンダはむしゃくしゃした気持ちを落ち着かせるために、頭に手をやり、髪を触った。


"けっこう髪が伸びてるな、、、"


最近、仕事や風邪、そして今回の件で、しばらく髪を切ってない。


"そうだ、髪を切りに行こう"


気分転換が必要だと思った。


それに、入院となると、髪が長いと不都合があるかもしれない。


通勤途中に見かける、気になっているお洒落な美容院があった。


「次、いつ行けるかわからないし、、、行ってみるか。」


喉も渇いていたのでコンビニに立ち寄り、アイスコーヒーを購入して車に戻った。


アイスコーヒーを一つしかないRCZのドリンクホルダーに置き、スマートフォンをポケットから取り出して、美容院に電話をした。


しばらくコールした後、女性が出た。


平日であったため、予約が入ってないとのことだったので、今から行く旨を伝えた。


美容院までは、約30分ほどで着いた。


6台の駐車スペースが店の前にあったが、1台も止まってなかった。


駐車場の隅にRCZを止めた。


店の前の花壇は、綺麗に整えられている。


ドアを開けると、カランというドアベルの乾いた音が鳴った。


「いらっしゃいませ。どうぞお座りください。」


パンダは姿見の前の椅子に座った。


大きな鏡に、自分の姿が映し出される。



最近、ロードバイクで長距離ライドに行ったばかりなので、顔はやや赤く日に焼けている。


健康を絵に描いたような血色で、とても病人には見えない。


「部活動ですか?」


カットを担当する40代半ばの女性の美容師は、覗き込むように顔の日焼けを見た。


「いえ、ロードバイクで日に焼けちゃいました。少しやけど気味でヒリヒリしてるんですよ。」


パンダは特に日に焼けている頰をさすりながら、美容師に答えた。


「肌が白い方は赤くなりますよね。でもすぐに引きますよ。私は地黒なので羨ましいわ。」


そんな他愛のない会話の後、どんなヘアスタイルするか、という話になった。


入院の可能性があることから、少し短めにカットしてもらうことにした。


当然ながら、入院云々ということについては言わなかった。


カット中、パンダは姿見に映った自分の顔を見ながら、思った。


"何度見ても、これは病人の顔じゃない"


"もしかすると、日に焼けたことで血液検査でおかしな結果が出たのではないか"


"絶対に何かの間違いだ"


しかし、自分は病気じゃないと否定すればするほど、辛くなった。


かといって、簡単に認める気は、さらさらない。


「まだお若いから、日焼けしてても、肌にシミひとつなくて羨ましいわ。」


美容師のこの一言が、うっとおしく感じた。


その『若さ』が恨めしかった。


"あなたの歳まで生きることができないんだぞ"


"歳を取りたくても取ることもできない"


そんな悶々とした気持ちの中で、カットは終わった。


1時間ほどが経っていた。


とても長く感じ、疲れを覚えた。


「コーヒーかお茶、紅茶をサービスでお出ししてますが。」


パンダはアイスコーヒーを選んだ。


「うちで出しているアイスコーヒーは、本格的な水出しコーヒーなんですよ。」


出てきたアイスコーヒーは、香りが良く、濁りはなく、透明感があった。


一口飲んで、美味しいと思った。


エグ味がなく、スッキリとした苦味が口の中に広がり、コーヒーの香りで心が癒される感じがした。


僕には、美味しいと思う余裕がまだある!


まだ諦めてはいない!


なんだか勇気と活力が、心の芯から湧き上がってくるのを感じた。


まだ僕の運は尽きてない!


「ありがとうございました。」


パンダは、美容師に謝意を告げて外に出た。


美容院の花壇にアサガオが植えられていることに気づいた。


アサガオは、まだ花開いてはなかったが、上へ上へと、空に向かって力強く蔓を伸ばしていた。


葉は青々とし、脈打つ生命を肌で感じた。


"生きている"


"命を感じる"


今まで感じたことがない感覚だった。


小さな虫が飛び交い、草々は風になびいている。


みんな生きている!


パンダは、愛車に滑るように乗り込んだ。


僕も生きている!


「こういう経験も悪くはない、、、」


ハンドルを強く握りしめた。


気のせいかもしれないが、少しだけ希望の光が、か細くはあるけれど、見えたような気がした。


心の奥底から込み上げてくる何かを感じながら、アクセルを踏んだ。


RCZは、心地よい排気音とともに軽快に走り出した。



【あとがき】
皆様の、優しい、暖かいコメントで、本当に助かっています。

人の繋がりというものの大切さを身をもって知ることができました。

本当に、ありがとうございます。

さて、今回は、私立大学病院に行った後の、悶々とした気持ちとその後の心の移り変わりを記憶が新鮮なうちに、ありのままを書き記しました。

実況中継的なノンフィクション短編小説なので、この後、結果によっては、メンタル面において暗転するかもしれませんが、今回、『命』というものをダイレクトに肌で感じ取ることができるようになったのは、この経験のおかげだと感謝もしています。

このシリーズに関しては、自己肯定の意味からも、自分の小説に『いいね』をポチります^ ^

今回のことで、他の人にはない、特殊な能力を得ることができたと思っています。

この経験がなければ、一生、または死の間際まで感じることはなかったでしょう。

まあ、近いうちに『死の間際』というやつが僕のところに、「はじめましてー」と言いながらやってくるかもしれませんが^^;

その時は、また違った感覚を得ることができるのでしょうか。

それとも、そんな余裕はなくなってるのでしょうかね^^;

少なくとも、現時点においては、まだ、自分の心が研ぎ澄まされていく感覚を感じることができる『心の余裕』があります。

これは、皆様の支えがあってのことです。

心から感謝しています。

【訂正】7/22
「まっしろぱんだの通院日記②」において、1回目の大学病院への通院が抜けてましたので、加筆訂正させていただきましたm(_ _)m

やはり、少なからず動揺してるんでしょうかね^^;

まっしろぱんだの通院日記②

パンダが愛車のRCZに乗り込んだ時、車内は、容赦なく照りつける日差しでサウナのような暑さだった。


紹介状が入ったバッグを助手席に置き、エンジンキーを回した。


ブォンというスポーツカー特有の排気音と共にエンジンが目を覚ました。


エアコンの吹き出し口から出る冷たい空気が頰に当たって心地良い。


アイドリング状態のまま、パンダはしばらくハンドルを握り、だだ呆然と前方を眺めた。


そして、おもむろに後方へと視線を移す。


後部座席には、チャイルドシートが取り付けてある。


今、パンダには生後6か月の息子がいる。


そして妻がいる。


"自分は長く生きられない、、、"


"自分がいなくなった後の二人は、、、"


昨日までは、どこかちがう世界の別人の出来事のように感じていたことが、急に現実味を帯びてきた。


パンダは怖くなった。


"まだ死ぬと決まったわけではない"


と、自分に言い聞かせるように、アクセルを踏み、車を発進させた。


「エアコンの効きが悪いな。」


すでに車内の温度は下がっていたが、それでもパンダには不快に感じ、エアコンの温度をさらに下げた。


パンダが向かったのは、富士畑大学病院である。


広大な敷地にスーパーやコンビニ、ファミレスなどがある、小さな町を形成する国内有数のマンモス私立大学病院である。


大学病院までは約40分ほどの距離である。


大学病院の駐車場は広く、すぐに車を止めることができた。



初診窓口で紹介状を提出して受付を済ませると、86と書かれた診察番号票を渡された。


パンダは、血液内科を案内され、8番診察室前の外待合で待つことになった。


病院独特のにおいがする外待合には、各診察室ごとに大きなモニターが設置されており、その前に7列ほど長椅子が並んでいる。


モニターに自分の診察番号が表示されると中待合に移動し、診察番号が、マイクで呼ばれるか、中待合前のモニターに表示されると、診察室に入るという流れである。


パンダは、外待合の長椅子に座って、自分の診察番号がモニターに表示されるのを待った。


パンダと同じようにイスに座って待っている人達が多くいた。



診察番号が表示される40インチほどのモニターをじぃっと見入っている人や、スマートフォンをいじっている人、そして本を読んでいる人など様々であった。



高齢な人や、いかにも病人という痩せ細り、顔色の悪い人ばかりだった。



パンダは、携帯型ゲーム機を持って来ていたが、とてもゲームで時間つぶしをする気にはならなかったので、バッグの中に入れたままだった。


パンダは、自分が場違いなところにいるような、落ち着かない気分になった。


そして、周りの人達から自分が見られているようにも感じたが「気のせいだ」と思い、あれこれと考えるのをやめた。


パンダの名前が呼ばれた。


待合に来て20分くらいが過ぎていた。


通された8番診察室には、50代半ばの医師が、やや大きめのイスに深く座っていた。


「どうぞ、お座りください。」


パンダは医師の指示に従って医師の前にある丸椅子に座った。


「紹介状は読ませてもらいました。これから血液検査と尿検査をします。結果はすぐに出ます。」


医師は、コホンと小さく咳払いをした。


「おそらく多発性骨髄腫だと思われます。その場合、平均余命は4年です。詳しい話は、検査結果が出た後にします。」


"いきなり死の宣告かよ、、、"


平均余命という言葉に、パンダは震えた。


現実味のない言葉だった。


"風邪の時と違って、体調のことなんかは聞かないんだな、、、"


そんなことを思いながら、診察室の隣にある処置室へと案内された。


7種類のガラス管に血液が採取された。


これほど多く血液を取られたことがないパンダは驚くと同時に、本当にまずい病気が疑われているという実感がさらに強くなった。



採尿もあった。


再び医師のところへ戻ると、電気泳動解析という検査で、骨髄腫細胞から出るM蛋白が検出されたことを告げられた。


そして、尿からはベンスジョーンズ蛋白が検出されたことも伝えられた。


「先ほどは多発性骨髄腫だと申しましたが、もしかすると少し違うかもしれません。」


"ドンマイ、ドンマイ。医者でも間違いはあるさ"

そんなことをパンダが思っていると、少し間を置いて、医師は続けた。


「M蛋白の量が少ないのです。Mピークも、やや緩やかです。」


聞きなれない単語ばかりだったので、パンダは医師の説明を遮る形で、質問をした。



「先生、Mピークというのはなんですか?」


パンダの質問に医師は、「Mピークの先鋭度が強ければ強いほど、悪性が高いのです。」


と医師は答えたが、パンダには、質問の答えになってないと思った。


医師は説明を続け、そして結論づけた。


「今言えることは、あなたは多発性骨髄腫のくすぶり型の可能性が高いということです。」


くすぶり型というのは、悪性腫瘍であることに変わりはないが、休眠状態にあるもので、眠っている間は、進行速度が遅いというものだった。


しかし、いずれは目覚める悪性腫瘍であり、命を落とす不治の病であることに違いはなかった。


「MGUSという良性腫瘍の段階である可能性は、わずかにあります。しかし、ベンスジョーンズ蛋白が出ているので、その可能性はないかと思われます。全ての検査結果が出るのは後日になります。」


結論は、来週に持ち越された。


その後の1週間はとても長く感じた。


将来のこと。


子供のこと。


妻のこと。


いろんなことを考えた。


意外と1日、1週間が長く感じるものだと感じた。


そして1週間が過ぎた。


診察室に通されると、パンダは医師の説明を待つことなく質問した。

「僕、死ぬんですか?あとどれくらいなんですか?治せないんですか?」


すがるような思いだった。


「やはり、多発性骨髄腫のくすぶり型だと思われます。良性腫瘍の可能性は低いです。」

パンダは目の前が真っ暗になる思いだった。


「手を見せてもらえますか。」


医師は突然、パンダの手を取った。


そして、医師は自分の手をパンダに見せた。


「あなたの手は、シミもシワもない。それに比べて私の手はシミだらけのシワだらけです。」


パンダは医師の言っている意味がわからなかったが、そんなパンダに構わずに医師は続けた。


「これは、あなたが若年齢なので代謝が活発だからなんです。私は高齢なため代謝が遅い。悪性腫瘍の細胞分裂は、正常な細胞よりも早いのです。そして悪性腫瘍が大きくなる速度は、老人に比べて若い人の方が早いのです。つまり、若ければ若いほど悪性腫瘍、つまりガンの進行は早いのです。」


それまでの説明とは異なり、極めてわかりやすい、具体例を交えた説明だった。


ただ、だからどうするという対処法に関する説明は一切なかった。


"言いっ放しかよ、、、"


医師の説明は、パンダを不安にさせただけだった。


「この病気の専門医はとても少ない。そして、私も専門ではありません。帝都大学に、その道の権威と言える有名な医師がいますので、そちらで診てもらってください。紹介状は書きます。」


帝都大学というのは、戦前、帝国大学と呼ばれ、現在は旧帝大と言われる、権威を形にしたような大学病院である。


簡単に言うと、自分では結論が出せないので、他の医師におまかせ、ということになった。


有名な大学病院に2回も来て、結果が出ない。


たらい回しという感じが拭えなかった。


しかし、それ以上に、権威のある有名な医師にかからなければならない状況なのだ、という事実が、パンダに衝撃を与えた。


「先生、大丈夫なんでしょうか?」


「今、私の口からお答えすることはできません。」


医師は、近所の診療所の医師と同じようなことを言った。


会計を済ませ、病院から出た。


空には、カリフラワーのような形をした大きな積乱雲が沸き立っていた。


せわしなく鳴く蝉が夏の到来を告げていた。



【あとがき】
事実は非情です^^;

結論の先送りです。

来週の月曜日、その道の権威とされる医師に診てもらいます。

流石に、少しビビってます^^;

ただ、まだ良性の可能性が残ってるので、希望は捨ててません^ ^

【訂正】7/22
「まっしろぱんだの通院日記②」において、1回目の大学病院への通院が抜けてましたので、加筆訂正させていただきましたm(_ _)m

やはり、少なからず動揺してるんでしょうかね^^;