「Remembrance。。。」 | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。

 





少年時代

家の近くの公園の池に

プラモデルの船を

浮かべたことがあった




船は池の底の排水溝に

吸い込まれ

二度と浮かんで

こなかった


大人になり

公園そばを通り掛かる度

その船を思い出す



何故

思い出すのだろうと

考える


何故そのことを

思い出すのか

理由が

浮かばない




プラモデルの船を

失ったという

思いだけが

立ち上がるのだ



特に

悲しかったという

分けでもない



少年時代なら

もっと

楽しい思い出や

悲しくつらい

思い出が

想起されても

いいのに



それしかない


友人と公園で

遊んだこともあっただろう


しかし

遊び戯れる

友達の顔や姿は


全てぼやけ

自分の感情も

薄れていた



何故だろう


 

 
僕は

いつも

どこか遠くを眺めていた


どこか冷めていた


感情を

抑えていたのかも

しれない


公園の西側の

隅にある神社の境内で

一人ぽつん立ったまま

草木が茂る

空の隙間を

いつも見つめていた


足もとに敷き詰められた

玉砂利を

踏みしめ歩きながら

静寂の中に響く石の音に

耳を

澄ましていた



そんな時間が

好きだった


  

 

さして

疑問も持たなかった

役割



こういう生活なのだと

思っていた




親から

何かを

教えてもらった

記憶が

無い




役割は

義務に

なっていた




人は


生きるための

知恵を

どこで

身に着けるのだろう



 
 
矛盾という言葉を

分けも無く

拾い集め

心の中で

屯(たむろ)する

現実を



片っ端から潰そうと

詩を書いた



反逆だった


遠くを見つめる

冷めた自分の

感情への

反逆かも

しれない




"仕方ないんだ"

"どうしようもないんだ"

"これが人間なんだ"

"これが社会なんだ"

"これが自分なんだ"



そう言い聞かせ

足もとに転がる

矛盾を

生きる知恵に

変えようとしたのかも

しれない




 

 
 
   
 

矛盾は

潰れることなく

決して消えることも

無い




池の底に消えた

プラモデルの船を

思い出す

理由が少し分った

気がする




矛盾は消えない






その池に

もう水は無い



 
 

役割も義務も

僕にとって

全て

矛盾だったのか



消えないのだ