必ずしも迷路に 分かれ道が あるとは 限らない
どこまでも続く一本道の先に自分の背を眺め
前無き明日と後無き過去の隙間に人は落ちるもの
砂浜で麦わら帽を水平にかぶり朝日に向かって立っている
そんな前後の分らぬ人の足跡ほど妙に頷くこともあり
誰もが眺める海の青に深い悲しみを感じ咽(むせ)び
人は眠る
眺め続けてきた風景を捨てるかのように消えゆく棲家こそ
世の中で最も人の心を裸にし人の心を誰よりも覚えている
恋とはそういうもの愛とはそういうもの
こうして人は心から切り離され現の渦に巻き込まれ
幻想を見る者達が幻想に復讐を受け無情に伏すだけと
人は嘯(うそぶ)く
見上げた夜空に見るものは電線にぶら下がるOrionか
くゆる灯りを吸い込む無常観と付き合うほど
人は肌を頼る
雨が降るかと思えば提灯(ちょうちん)のような月が上がり
水に溶けるような月夜に浸され舳先を失う漁師のように
ただ人の流れに身を委ねるには露一白喉に流し込み
人は目を閉じる
ひまわり 恋し 月の夜の夢




