67. The human being who continues being troubled | 我ここに在りてここに無し

我ここに在りてここに無し

青きBOUGAの果て

ひとりごとのように

詩と小説を書き綴ります。

何か心に響くものがあれば

それだけで。






 ヒマちゃんの返事を待っていたが、そのうち缶ビールも飲み干しベッドへと。錬太郎は目を閉じ暫く眠れないまま横たわっていた。






 こんな時は、決まって神話の本に目を走らせることになる。



 装丁も無く真っ白な表紙。いつからここにあるのかも錬太郎自身知らなかった。



 彼の心の中にはいつも問いかける言葉がある。自分は何者なのかと。


 ヒマちゃんの言った言葉だけが、ただ心の中を漂っている。




 その言葉に手を伸ばそうとするとが、手が届きそうで届かないのだ。




“Invisible man”。。。”目に見えない男”。。。





 透明人間か?。。。そんなバカな答えで済まされるものじゃないはずだ。仮にも彼らは創造主。


 やっと自分に会えたと言ったヒマちゃんは何も語ろうとしない。



 こうやって、いつも彼らは何かを自分に考えさせる。


 悩ませるのだ。しかし、彼らが言わなくても不思議なことは確かにあった。それは錬太郎自身も気が付いていた。しかし、口には出来なかった。。。




 人は、生まれたときから悩む。何を、どう悩み続けているのか?悩みって何だろう?何故、どうして人は悩むのだろう?


 どうして人は幸せになりと思うのか?だから悩むのか?



 幸せってなんだろう?毎日の生活が平穏無事であることなのだろうか?今の錬太郎の平穏ともいえる生活が幸せだとしたなら、自分が創りだした世界での出来事の中にいた時の自分は幸せを感じなかったのだろうか?


 いや、確かに日々何かが起きていたが心は満たされていた。言い知れぬ心の潤いと充実感があった。悲しい出来事も確かにあったが、一方で幸せっだったと感じていた。


 

 何故、自分が今こんなことを考え始めているのだろうと、錬太郎は自問自答を繰り返していた。




 確かに、幸せなんて定義できるものじゃないだろう。


 人それぞれ捉え方が異なる。定義できないものだから人は悩むのだろうか?


 定義などできない幸せを望むから、悩んだり迷ったりするのだろうか?



 錬太郎は、自分の幸福感が、今。。。何故か感じ取れないでいることに気が付いていた。



 平穏な生活を継続していくことこそ、人間にとっては難しいことなのかもしれない。



 しいて言うなら、誰もが平等に感じ取れる幸せとは何だろうか?。。。それだけは錬太郎の心の中に確固たる不動のものとして、いや、人間の性(サガ)とでも言えばいいのだろうか。。。


 人に活かされることでしか、人は幸せを感じないということ。


 金を儲けることが目的になった商人は軈て、その人生に萎え哀れな末路を辿る。たとへ、金が無くとも信念を持つ人間は萎えない。


 人は、人生を生きて得た物の大きさで幸せを決めるものではなく、何のために生きたのかということが最も幸せに近づく道となる。


 自分の創りだした物語を通して錬太郎は感じたのだった。



 悩むのが仕事みたいな人間だから、答えなんかないのかもしれないが、天国なんてところにいるよりは、地獄の方が学ぶことができるのだろう。


 そこが人類社会であろうと、天国よりは生きていることを、幸せを求める続けるという人間の性を感じ取れる。


 確かな死を目の前にしても。。。それは錬太郎自身が最も理解していることかもしれなかった。




 もしかすると。。。ヒマちゃんが見せてくれた世界は。。。。もう少しで。。。



 すると。。。自分が。。。それを。。。そうなのか?。。。



 世界を動かすのは人間の愛より、悩みかもしれない。


 それを解決することが生き続けることなのか。。。人は日々それを背負い続けている。しかし、明日には消え新たな悩みを背負い、それを幸せに繋げるために生きていく。


 それを知ることが出来なかった。。。この社会でしか学べないんだ。。。だから彼らは。。。そうか。。。そうなんだ。。。


 天国じゃなくこの世の地獄ほど愛しいものはない。。。そう錬太郎は思った。



 少しずつ自分の存在の意味と、ヒマちゃんたちの世界が今どうなりつつあるのかを理解し始めていた。。。


 神話に目を走らせる夜は繰り返し考え続け、悩むことを諦めない生き物となっていった錬太郎だった。



 それが人間という生き物であると。錬太郎は今、その自分の力を感じつつあった。




 人間は自分のために生き、自分で人生を”生きている”と感じている。



 しかし、自分のために生きているのだろうか。活かされていると感じなくなる時、人は幸せを感じなくなる。


 彼らは。。。それに気付かなかった。。。その愛に。。。





つづく