胎内で健康素因形成 | ウィメンズクリニック本町

ウィメンズクリニック本町

大阪中心の本町で不妊治療を専門とし、一般婦人科の治療をしています
治療に役立つ情報を、随時更新していきます♫

 

 

2019年11月26日(火)

毎日新聞朝刊に、藤野院長の記事が掲載されましたので

ご紹介させていただきますウインク

 

 

 

『胎内で健康素因形成』

生まれる前からの先制医療

 

 メタボリックシンドロームと呼ばれる生活習慣病は、遺伝的素因と食習慣などの生活習慣素因との相互作用で発症すると言われています。そうしたなかで、生活習慣病の発症を防ぐことを目指した『先制医療』という考え方が注目されています。

 生活習慣病の一つとして『胎児プログラミング説』という概念が1980年代に発表されており、最近になって注目を浴びています。それは、『疾病及び健康の素因は人生の極めて初期に形成される』という考え方です。胎児期に偏った栄養環境にさらされると、胎児は厳しい環境のなかで生き抜くために、少ない栄養を効率的に利用するために、両親から受け継いだ遺伝素因を調整して、胎内環境に適応しようとします。ところが、出生後は十分すぎる栄養環境で育つため、生活環境と遺伝子制御機構とのアンバランスが生じて成人病の引き金になるというものです。具体的にはDNA配列は同じですが、DNAメチル化という遺伝子制御機構に変異が起こるエピジェネティクス変化として知られています。DNAメチル化に影響する葉酸、ビタミンB12などの不足が、この変化を引き起こす可能性があります。

 2500グラム以下の低体重出生児は、30年以上先の将来的な冠動脈疾患高血圧、糖尿病などの発症リスクが高くなることと関係があると言われています一方ポリ塩化ビニルダイオキシンなど、さまざまな環境化学物質が遺伝子制御機構を介して胎児へ影響を与える事も忘れてはなりません。

 先制医療の一環として、妊娠する前や妊娠中からの栄養や環境への配慮は生まれてくる子供の

将来の健康を考える上でも大切なことだと思います。以前から広く言われていた、妊娠中の母体体重増加を抑え『小さく産んで、大きく育てる』という考え方は、生まれてくる子供達にとって、将来的な発育には好ましいことではないかもしれません。