ダイエットを始めたのは高校2年生の冬休み頃だった。

それ程自分の体型を気にしていた訳ではなかったが、何となく「ダイエットでもしてみようかな・・・」と思い始めた。

ダイエットといっても決して過激なものではなく、「1日3食食べ、間食はしない」というものだった。

初めてダイエットをする私の身体は面白いほどに反応し、順調に体重は落ちていった。

半年位すると、ダイエット前は60㎏近くあった体重は50㎏まで減り、Lサイズがきつきつだった洋服もMサイズが余裕で着られるようになった。

おしゃれも楽しくなり、周囲からも「痩せたね」と言われ、気分は良くなるばかり。

「痩せてよかった!もう二度と太らないぞ!!」と自分に誓った。

自分の体型に自信がつくと同時に、自分よりも細い体型の女性に目が行くようになった。

洋服を買うときも、Mサイズの横に並んでいるSサイズが気になるようになった。


「世の中には細い人がたくさんいる。私もMサイズじゃなくてSサイズを着られるようになりたい。」


そんな風に考えるようになっていた。

だから私はMサイズになってもダイエットを続けた。

この頃からお菓子は私の敵になった。

菓子パンもケーキも、高カロリーの洋食も、カロリーのある飲み物も、ドレッシングも・・・

ダイエットに良くないとされる食品はすべて、私の敵になった。


食事は私にとって「何を食べたいか。何がおいしいか。」ではなく、「何が太らないか。」が最も重要になっていった。

ファミリーレストランのメニューで一番最初に見るのは、料理でも金額でもなく、料理名の横に小さく記入されているカロリーだった。

たまにお菓子を食べるときも、パッケージの裏のカロリーを欠かさずチェックした。

そして、次の食事でその分のカロリーを減らすようにした。

私の食品カロリーに関する知識はどんどん増えていった。


そんな生活を一年半近く続けた。

不思議と辛くはなかった。

むしろ充実感や達成感があった。

体重は大きくは変わらなかったけれど、食事や生活、体重をコントロールしているという満足感があった。


学校生活では、受験も無事終わり、希望していた短大への入学も決まった。

短大入学後も変わらずダイエットは続けていた。

そして、短大に入学して初めての夏休みがやってきた。

この頃、私の心と身体は少しずつ壊れ始めていた。

・・・しかし私はまだ自分の変化に気付いていなかった。