それが縁だと | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

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この界隈で捨て猫野良猫をなくそうと活動している奥さんが、昨日夕方話があると家に来る。
じつは、うちにきた3匹はみな、その方が確保したのだ。
 里子を募集してくれている獣医さんのところでは、子猫たちはみな血液検査はなしで里親にだされる、血液検査でエイズや白血病と判明したとしても、子猫はいきところがない。エイズキャリアだと分かれば里親にもらってもらえない可能性が高い、つまりある意味しらない顔で里子にだしてしまうのだ。私が彼等を引き取る時に獣医の先生は「そう言う病気の可能性もあるということは頭に入れておいてください」 と、話した。で、私もある程度は承知していたのだが、その奥さんはもっときちんと具体的な話をしにこられたのだ。
 もかはちがうのだが、くっきーと虎は、無神経に餌だけやりどんどん野良猫を増やしてしまうひとの家のあたりでみつかり、そこの地区の親猫はエイズキャリアが多いと言う。
 一緒に確保された虎の母親はエイズキャリアだったそうだ。
 ちょっとこれはショックだった。
 親がキャリアだから子どもがキャリアとはかぎらないが、可能性はある。
 今後、子猫たちがエイズになる可能性はある。
 避妊手術のさいに血液検査で陰性か陽性かはわかるそうだが、ではそこでエイズキャリアとわかって、どうするか。捨てるのか、獣医さんにもどすのか。もう飼い続けるしかないではないか。
 エイズキャリアでも家の中できちんと飼っていると、発病しないまま天寿をまっとうするものもいるという。

 その奥さんは
「私のところには行き場のない年寄りのエイズ猫が何匹もいまして、最後は口内炎がひどくなり食べる物も食べられなくてそりゃ可哀想に死んでいくの。看病も治療費も大変なの。だからもし万が一子猫ちゃんたちに病気がでて、おたくで手に負えなくなったらいってください、うちでひきとりますから」
 奥さんは自分の確保した猫は最後まで責任を持つ覚悟で、近所の野良猫撲滅にもう10年以上も活動しているのだ。
  
 氏素性の分からない捨て猫を飼うのだ。
 すでに家に来てしまった猫たち、いきどころのない子猫たち、家に来たのも運命だ。
 たとえエイズキャリアだったとしても、発病までに五年くらいはかかるという。その五年、うちで幸せに暮らさせよう。それが子猫達の天寿だ。