うさぎと亀 | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。


テーマ:

亀

   我が家には、9才になる30センチの大きさのミドリガメがいる。
 夜店でよくすくっている、あの、ちっこいミドリガメである。
 あれが30センチになるのである……
 彼女は(メス)養女である。
 あるコミュで、「ミドリガメの里親募集!」と、出ていて、飼い主が留学するために飼えなくなった亀をひきとって欲しいということだったのだが、いかんせん、30センチ!の大きさである、亀好きな人々の集まりのコミュでも、みな、心配しつつ手をこまねいていた。
 私も息子が夜店ですくってきたミドリガメがもう1匹いて、順調に?成長しているところに、30センチはきついよなぁ、と、思っていたのだが、「引き取り手がないと、生態系を壊すから池や河に放すわけにも行かず、もう、安楽死しかない」と、悲鳴のような飼い主の書き込みを見て、うむ、義を見てせざるは勇なきなり、と、武士道精神で、名乗りを上げてしまったのである。
 しかし、いざ、引き取る、ということで飼い主さんとお会いしたら、現物を目の当たりにして、やっぱり「で、でかい!」と、びびった。しかし、ここまできて、引き下がれない。当日は雨、プラスチックの小さな水槽に押し込めて紙袋に突っ込んで、大急ぎで受け取って家路を急いだのだが、亀、怪力なのだ。歩いている途中で大暴れ、水槽から飛び出しばりばりと紙袋が破れてしまった。私はしょうがなくて、亀をこわきに抱えてダッシュ。雨の中、いい年した女がでかい亀をこわきに抱えて走っている。ちょうど小学校の下校時刻で、子供たちが「あ、でかい亀!」と、口々にいいながら後をついてくる、それをしっしっと追い払いつつ、わぎわぎ暴れる亀をラグビーボールのように抱えて走る。
 大きな水槽を用意し、やっと新居に入れたのだが、亀とて、長年慣れ親しんだ環境と飼い主を失い、ショックですっかり引きこもり状態。首も手足もちじめて、向こうをむいたまま、何日もハンストされてしまった。ときどきうかがうように首を出すのだが、こちらがのぞき込むと、「しゅっ」と、鼻息をあらくして、さっと引っ込んでしまう。
 こちらも慣れさせようと必死
 鳥のささみなどのごちそうでつったりして、受け入れてもらおうといろいろ試みる。
 次第に餌も食べるようになり、むこうむきのままだった姿勢から、じょじょにこちらを向き始めた。
 日当たりのいい日には、手足を伸ばして日光浴もし始めた。
 そして。  暖かくなった昨日、
 水槽から出して、部屋の中を散歩させると、わしわし力強くそして、すごいスピードで歩き始める。子供たちがさわいでも、もう、平気だ。犬がわんわん吠えても気にしない。
 亀子さんは(息子が命名)、やっと、我が家の一員となったのである。
 しかし、ずんずん歩いている亀子さんを見ていた娘は「うさぎさんはどこ?」と、言い始める。
 我が家の生き物、犬2匹、亀2匹(うち1匹30センチ)、金魚20匹、ウーパールーパー4匹、ハムスター1匹、子供2匹もとい2人……もう、かんべん、かんにんして。

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