過去の失敗が心に引っかかり、なかなか新しい1歩を踏み出せない。未来に対して前向きな気持ちになれない。こんなふうに、失敗体験が夢を描くことの妨げになっているケースも少なくないと思います。


気持ちはわかります。世の中に失敗を恐れない人などいません。しかも手痛い失敗を重ねれば、新しいことへの挑戦に臆病になるのも当然です。ただ、考え方一つで、失敗を「単なる失敗」に終わらせないことはできます。


どうしても過去のことが気になるとしたら、それは「失敗」とか「挫折」という言葉自体に囚われている可能性が高い。あなた自身がそう思うから、せっかくの「成功への布石」が失敗や挫折になるのです。


失敗を振り返って、よく検証してみてください。きっとうまくいかなかった理由が浮かび上がってくるはずです。


「ちょっと寄り道をしたけど、その教訓を次に生かそう」


そう考えれば、失敗は失敗でなくなり、挫折は挫折でなくなります。客観的事実は変わりませんが、あなた自身の解釈は180度変えることができるのです。そのためには、まず


「人生にはムダなことなんて一つもない。全部いいことだ」


と考えること。これがベースです。そして、今の自分をしっかりと肯定してあげる。今というこの瞬間を「前提」として受け入れるのです。不平や不満を言っても仕方がないし、ましてや過去の事にこだわったとしていいことは一つもありません。


もちろん、人間ですから過ちを犯すことだってあります。孔子はこう言っています。
「過ちをごまかして改めないことを、『本当の過ち』というのですよ(過ちて改めざる、これを過ちと謂う)」


私自身、「失敗から多くを学んだ」「起こったことはすべて良いことだ」と言い切れるのは、過ちに気づき、それをすぐに改めたからです。過ちを犯すことそれ自体はたしかに失敗ですが、それを改めるならば、成功や成長への足がかりとなるのです。


もし、過去の失敗体験をしっかりと検証しないまま放っているのだとしたら、「夢を描けない」理由はそこにあります。今からでも遅いということはありません。どこが悪かったのかを分析して、それを改善ポイントにすればいいのです。


「あの時は、あのスキルがなかったから失敗した。まずはその点を集中して学ぼう」「考え方自体に問題があった。もっと人間力を高めなければ」といった改善ポイント、


それはそのまま「夢」になります。


失敗や挫折は、実は夢の入り口なのです。どうか過去の失敗に囚われないでください。そして、失敗を恐れないでください。