タイトル: やかまし村の子どもたち

やかまし村は、北欧の美しい自然に囲まれた小さな村。全部で3件しかない家の6人の子どもたちはいつも一緒、みんな兄弟のように仲良しだ。夏休み、子どもたちはボートをこいで島へ宝探しに行ったり、干し草のなかで眠ったり、小さいけれどわくわくするようなひと夏の冒険の思い出をつくってゆく。
「長靴下のピッピ」や「ロッタちゃん」で知られるスウェーデンの童話作家、アストリッド・リンドグレーンの代表作の映画化。

ラッセ・ハルストレムは大好きな監督の1人だ。代表作に「ギルバート・グレイプ」や「サイダー・ハウスルール」、いちばん新しいものでは「シッピング・ニュース」があるが、どれを見ても、ひとに対する眼差しの温かいひとだなぁと思う。それはどんなに過酷な状況に追い込まれ、またどんなに絶望のそこにいるひとを描いていても変わらない。きっとひとが好きで、ひとを信じる強い気持ちを持っているひとなんじゃないかって想像しまうくらい。

このやかまし村の主人公は、6人の子どもたち。ハルストレムは彼らにそっと寄り添うように、その持ち前の温かな眼差しをひとりひとりに等しく注いでゆく。太陽の下を元気いっぱいに走り回り、お母さんのおつかいや畑の草むしりの手伝いでさえ、ほんの少しの想像力でたのしんでしまう子どもたち。彼らの輝くような表情を見ていると、日差しの温かさや青々とした草の感触、湖の水の澄んだにおいまでも伝わってくるようでたのしい。
とくに事件が起こるわけでもなく淡々としていながら、とても豊かな映画。大人が見ても充分に楽しめる。いや、むしろ一見何もないことのなかにこそ、豊かさがあることを知っている大人のほうが楽しめる映画かもしれない。

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「やかまし村の子どもたち」

【作品データ】
1986年/スウェーデン/90分
staff*
監督:ラッセ・ハルストレム
製作:ウ゛ァルマル・ベルイェンダール
原作・脚本:アストリッド・リンドグレーン
cast*
リンダ・ベリーストレム/アンナ・サリーン /エレン・デメリュース/ハーランド・レンブルー/ヘンリク・ラーション/クリストピン・ディクソン・ウ゛ェンデニウス 他

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