一見さんから電話で

 

「大きい40センチくらいの剣型の熨斗(のし)って売ってますか?」

 

というお問い合わせがありました。

 

「熨斗というものは定型の金封や、のし紙に貼る小さいもの以外は品物や行事ごとにあわせて全て別注ですので、うちでは販売しておりません。」

 

そのお客様は寺院関係の仕事をされているそうなのですが、誰もが知るような有名寺院からの依頼で

 

「捜してほしい、もしなければ作ってほしい」

 

 

と頼まれて安請け合いしてしまったらしく、かなりお困りのご様子でした。


無論寺院からサンプルを預かりご自分で折って見たらしいのですが、うまく行かなかったみたいで、弊社で出来るか見てほしいとお持ち込みになりました。

 

どこへ行っても”お断り”だったらしいのです。


サンプルを拝見しましたが、これ簡単に見えて相当難しい物です。技術と言うより熟練さが必要な”折”です、単純な巻き折なのですが相当な回数こなしてこそはじめてまともな物ができるレベルの品物でした。


「出来るか即答できませんので一日お預かりして”折り手”(カミサン)に聞いてからお返事します」

 

と預かりました。


その後カミサンが


「紅柾と糊入紙か?やるだけやって見る、出来んかったら断るけどいい?」


と取りあえず微妙な完成サンプルを作成、再度ご来店いただき見てもらい了承の上、作成に入りました。


和紙(糊入紙)の微妙な厚さの為、当然の如く内輪差が発生します、折りの長さがドンピシャ決まりません。


「なんでへりが合わないんだろう?」


何度やってもづれが出ました、原点にもどり預かりサンプルの精査したところ原因が判明。


持ち込みサンプルは断裁そのものがズレており直角が出ていませんでした、逆に言えば正確に直角を出した紙では折っても合わなくてズレる。


なーんだ、ってことで最初の紙の断裁自体手切りで”ずらし切り”で調整しなんとか完成しました。
僅か30折作るのに、50枚以上の”ヤレ”廃棄品をだしました。最終の利用者がどこまでこだわるか知る由もありませんが、


「紙質以外はまったく同じ寸法で」

 


との事でしたから...これじゃどこも断るわな~て程の超絶技巧品。

 

本当の安請け合いは弊社の方でした。(笑)