難敵・駒大相手に無失点勝利 天皇杯予選学生代表の座をつかむ! | 早スポオフィシャルブログ

早スポオフィシャルブログ

早稲田大学でスポーツ新聞を製作する「早稲田スポーツ新聞会」、通称早スポの公式ブログです。創刊から64年を迎え、600号も発行。ブログでは取材の裏話、新聞制作の秘話、現役大学生記者の苦悩を掲載‥これを読めば早スポ通になれる!

 

 3月28日に第29回東京都サッカートーナメント(天皇杯予選学生系の部)の1回戦にて国士舘大に勝利したア式蹴球部(ア式)。東京都の学生代表の座をつかむべく臨んだ代表決定戦の相手は難敵・駒大となった。ロングボールをうまく使いながらア式ゴールに迫ってくる駒大に対して、DF神橋良汰(スポ4=川崎フロンターレU18)、DF笹木大史(商3=東京・早大学院)を中心とした守備陣が堅実な守備を見せてピンチをしのぐと、18分にMF伊勢航主将(社4=ガンバ大阪ユース)の左足で先制点を奪う。さらに25分にはFW駒沢直哉副将(スポ4=ツエーゲン金沢U18)のクロスにDF佐々木奈琉(社3=新潟・帝京長岡)が合わせ追加点を獲得する。その後は追加点が奪えなかったが、GKヒル袈依廉(スポ4=鹿児島城西)の好セーブもあり無失点で試合を終えたア式。見事に2―0の勝利で、天皇杯予選の次の舞台に駒を進めた。

 

2点目を決めた佐々木

 

 立ち上がりからロングボール主体で攻めてくる相手18分、DF西凜誓(社2=名古屋グランパスU18)からの縦パスを左サイドの高い位置で受けたFW鈴木大翔(スポ2=ガンバ大阪ユース)。受けたボールをMF山市秀翔(スポ3=神奈川・桐光学園)に落とすと、山市はボールを逆サイドへ展開する。右サイドでボールを受けた佐々木がクロスを上げると中で待っていたのは駒沢。身体の向きが後ろになっていたこともあり、ここはシュートではなくパスを選択する。ペナルティーエリアの外でボールを受けた伊勢、左足を振るとコントロールされたボールはゴール左上に吸い込まれていき先制に成功する。追加点を奪いたいア式は23分、自陣中央で伊勢が相手からのプレッシャーをいなす好ターンを見せると、そのまま前線へロングパスを送る。ボールを受けたのは左サイドのMF本保奏希(スポ3=JFAアカデミー福島U18)、そのまま持ち上がっていくとオーバーラップしてきた西へボールを渡す。西がクロスを上げると合わせたのはMF東廉(スポ4=清水エスパルスユース)、しかしここはうまく枠を捉えることができず絶好のチャンスを逃してしまう。それでも続く25分、伊勢の縦パスに駒沢が反応して右サイドで抜け出すと、エリア内に走り込んできたのは右サイドバック佐々木。駒沢のクロスを冷静に合わせて早い時間に追加点を獲得した。29分には本保のクロスに東がボレーで合わせるも、これも枠を捉えることはできず。前半終盤は相手に攻め込まれる展開となった。それでもヒルが好セーブを連発し、相手に得点を許さず、前半を2点リードで折り返す。

 

攻守に渡って活躍を見せた笹木

 

 後半、追加点を奪い勝利を確実なものにしたいア式にいきなりチャンスが訪れる。笹木のするどい縦パスに反応した鈴木が裏に抜け出してループシュートを狙ったが、このシュートは枠を超えてしまう。さらに58分には、相手ゴール前に攻め込み計4本のシュートを放つも全て枠と相手のブロックに阻まれてしまい、またも追加点を奪うことができず。終盤なかなかチャンスを作れなかったア式。前半からの度重なるロングボール対応、さらにはこの日の気温が高かったこともあり、終盤にかけてさらに苦しい時間が続いた。それでも笹木、神橋両センターバック中心の集中した守備、さらにはヒルのセーブもあり相手に得点を許さず。難敵駒大相手に2―0と無失点での勝利をつかんだ。

 

パスを捌く伊勢

 

 「苦手意識を持っていた」駒大相手に対して勝利。今季ア式が特に力を入れている守備面ではディフェンスやキーパーを中心に終始高い集中力を保ち無失点という結果を残すと、攻撃ではデザインされた攻撃でチャンスを作るシーンが多く見られた。今季兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)監督が理想とするのは「3―0勝利」。この試合はそのスコアにこそ届かなかったが、それでもシーズン始動からプレシーズンを通して積み上げてきたものが要所でしっかりと発揮されており、リーグ戦への期待も高まる試合となった。開幕前最後の試合を白星で飾ったア式、いよいよ今週末リーグ開幕戦を迎える。リーグ優勝、1部昇格、さらには天皇杯の本戦出場に向けて。チーム一丸となって前に進み続けてほしい。

(記事 和田昇也、写真 髙田凛太郎)

 

 

試合後インタビュー
兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)
ーー駒大相手にどういった意識で試合に入りましたか

5年間ぐらい多分勝ってないっていう中で、苦手意識が、「また駒澤か」みたいな雰囲気がこっちにあるような状況だったので、 それを払拭させるようなゲームをしたかったというとこと、 そこに対する準備はもう去年から含めてずっと積み上げてきたというところもあったので。ただ、こういうことやるから、こういう風に自分たちがもっと予測と準備を早くすれば、 相手のやりたいことをやらせないこと、こっち側が相手のサッカーに付き合わなくてよくなるっていうところを、しっかりと学生たちが自分たちで表現してくれたのかなっていう風に思います。

ーーロングボール主体で攻めてくるところは想定内の部分でしたか
高いボールで、ヘディングのクリアが遠くに飛ばないようなボールを相手が選択してくるっていうところでは、 じゃあそのボールに対してどこまでヘディングで飛ぶのかだったり、状況でもしかしたらっていうところのポジションの修正は、こまめにしっかり予測を持ってやるというところは伝えた中で、しっかり自分たちの中でフリーな時間を作れて、それで相手のプレスを心地いいぐらいのプレスに感じるぐらいの準備ができてるところはいい時間帯になったのかなっていう風には思いますけど、まだまだバタバタしたりだとか、ちょっとしたポジションのサボりで失ったりというところはあったので、そこはまだまだ改善しないといけないなと思います。

ーー攻撃が形になってきてるなという実感はありますか
押し込んだ展開からああいうシュート(伊勢の得点)っていうとこだったり、2点目はもう狙い通りで、相手の嫌なところをついていくというところ。それは配置がいいから、相手のポジションバランスが崩れたところしっかりとつけたっていうところだったり、ゴール前に入ってあそこにいたのがやっぱりサイドバック(佐々木)っていうのは、まさに自分たちが超攻撃にやりたいというのが出たのかなっていう風に思います。

ーー後ろの選手の縦パスからチャンスが生まれるシーンが多くあったと思いますが、いかがでしたか
ボールの置き方と動き出すタイミングが合ってたりとか、選択肢が3つ4つある中で、相手を迷わせたポジションを取ってるからこそ1発が通るっていうところがあると思うので、当然パスの質も良かったのかなとは思うんですけど、その前の全員の準備っていうのがやっぱりいいからこそ生まれると思うので、 パスの質は個人をフォーカスして良かったっていうところだし、全体見るとそれができる準備を全員が整えてたっていうところでは、チームとしてもいい準備ができたのかなという風に思います。

ーー2ー0でハーフタイムとなりましたがどのような指示を送りましたか
2ー0が1番逆転される可能性が高いとサッカーでは言われてる中で、そういうところは総監督からプレシーズンの時に過去の経験を含めたところを伝えてもらったりはしていたので、選手自身も2ー0というところでの慢心をしないというところは危機感ちゃんと持っていましたし、 そこに対して3点目取るだったり、0で終わるっていうとこに対して、どういうことを積み上げていくかというのをしっかりハーフタイムで全員がしっかり整理した、整理して送り出したっていうところでは、しっかりとやりきってくれたかなというところです。 ただ、イレギュラーがあったっていうところの交代(西の負傷交代)とかも含めて、もっとこう隙のない交代だったり(足が)つりそうというところをしっかりと自分たちの中で情報をちゃんと入れながら、交代が3回しかできないって中では、イレギュラーで1枚使って、2枚目使ったら3枚目が使いにくいというところがあるんで、そういうところはもう1個隙のない交代もしたいっていうところでは、 今後は残り20分、25分ぐらいでちょっとなんかありそう(足がつりそうなど)だなという選手に対しては、情報共有をうまく、逆サイドからでも回ってくるような状況をしっかりと作るっていうところはやりたいなっていうとこですか。

ーー最終スコアの2ー0はどう振り返られますか
相手がハーフタイムでしっかり気合を入れ直してくるっていうのは想定内だったので、 あそこの入りのところで相手の心折れたところがあったので(46分、鈴木の決定機)、あれをしっかり決め切るというところだったり、 自分たちの時間含めて相手が絶対に前がかりになる中での相手の矢印の折り方というところではもっともっとできた部分も当然あるのかなと思うので、そういうところをまた一つ一つ改善して、今年のチームは3ー0で勝つっていうのを目標にしてるので、そこに近づけるように今日1点足りなかったところにフォーカスして、またトレーニングしたいなと思います。

ーー天皇杯予選ここからの相手は社会人、JFLのチームになりますがいかがですか
学生よりしっかりとサッカーのツボを抑えてるようなチームが圧倒的に多いと思うので、 その中で自分たちがしっかりとしたものを提示しないとより勝てないと思いますし、 ちょっとした隙でやられるっていうところは大学生とやるよりは絶対に多くなると思うので、そういうちょっとした隙すら作らないだったり今日みたいなところで2ー0から3ー0にできるっていうとこだったりっていう、その1点のところにもう少しこだわるようなトレーニングをしっかり積み上げていければ、 社会人でもいいゲームができるのかなとは思います。

ーーチームの仕上がりはいかがですか
メンタリティー含め、戦う準備、姿勢っていうところは確実に積み上がってきてるので。 リーグってなるとまた初戦というところで固さとかが出てくると思うんですけど、 そこに対してもしっかりと想定内というところを踏まえながら、いい準備をまたやっていければいいのかなと思っています。

ーー来週以降への意気込みをお願いします
去年昇格がミッションで、それを達成できなかったというところで、もう少し手を伸ばせば届いたっていうところから、そのもう少しを日頃のトレーニングからやっていこうという4年生の行動で、みんなまとまり始めてはいるので、 そういうところでしっかりといい準備をして、常に勝てるチームっていうのを目指しながら、1つ1つ積み上げていきたいなと思います。

ヒル袈依廉(スポ4=鹿児島城西)
ーー試合振り返っていかがですか

駒大相手に結構勝ててない状況で、今年はどんなチームかなっていうのを研究することができない中で、自分たちのやるべきサッカーを、前半立ち上がりとかは特にやり通した中での早い段階での先制点だったので、それが試合を楽にしてくれて。最後らへんバタついたところあるんですけど、 その2点のおかげで無事勝ち切ることができたっていう感じですね。

ーー好セーブも多く見られました

止められたのはよかったんですけど実質打たれてるので、そこをまず打たれないようにというとこで、打たれた後の最後の砦として自分が取ってるだけなので。その仕事、役割を発揮しただけなので。 それが結果的にチームの流れを変えれたかなとは思うんですけど。

ーー無失点での勝利となりましたがいかがですか
駒澤に対しての無失点っていうのは、 去年の後期も無失点でしたけど引き続き、0でいけたっていうのは、本当に駒澤に限らず、これからの開幕戦に向けて自信につながると思うので、結果的によかったと思います。

ーーリーグ戦開幕に向けての意気込みをお願いします
ほんといい流れで、遠征から続いてこういう風に公式戦でも結果を出してるので、1週間いい準備をして自分たちのサッカーをやり続けるだけだと思うので、それがうまく結果につながればいいと思ってるので。引き続きやっていきたいと思います。

佐々木奈琉(社3=新潟・帝京長岡)
ーー駒大相手にどういった意識で試合に入りましたか

やることは去年、一昨年から見ていて分かってたので、 そこを最終ラインとして。みんなでセカンドボールだったりの意識をいつも以上にもっと強く持って臨みました。

ーーご自身の得点を振り返ってください
最近結構サイドハーフが張って、自分が中にいるみたいな、位置関係が多くなってきて、 その中で直哉くん(駒沢副将)がサイドに流れたので、空いてるスペース走ったら素晴らしいボールくれたのでという感じです。

ーー守備陣として無失点勝利で終えることができましたがそこはいかがでしたか
国士舘も0で抑えて、今日も駒澤に勝つの久しぶり、しかも無失点でっていうところで、これまで蹴ってくる相手に弱い部分があったと思うんですけど、そういう面では1個大きい勝利だったかなと思います。

ーーご自身、チームとしての仕上がりはいかがですか
自分としてはここ数試合試合結構いいパフォーマンスができて、結果も今日出てきたので、 個人としてはいい流れで臨めると思いますし、チームとしても点をとって0で抑えるっていうことはに関してはいい積み上げができていると思うので、それを継続して頑張りたいと思います。

ーー来週以降への意気込みをお願いします
今年こそ2部昇格に向けて1つ1つ大事に 積み上げていきたいと思います。