W杯でのオシム語録 | 大学からJリーグ参入を目指す WASEDA UNITED社長のブログ

W杯でのオシム語録

オシム氏による今大会の総括です。

オランダは欧州のモダンサッカーを創ってきた。その貢献を忘れるべきではない。
しかし、数年先の世界のサッカーを考えると、きょうの試合はスペインが勝ってよかったと思う。
スペインサッカーがモデルの一つとして他の国に広がっていくだろう。

日本もスペインサッカーを目指すという方法はある。
しかし、一晩でスペイン人に生まれ変わることはできない
スペインモデルはあくまでも参考情報だ。

日本は日本サッカーを目指す以外にはない。
大事なことは、スペインサッカーはスペインサッカー独自のメンタリティを持っているということだ。
スペインやドイツやイタリアなどは「自国リーグのサッカー」と「代表のサッカー」を上手くリンクできています。
日本も 「日本サッカーはこれだ」という文化を、Jリーグとどうやってリンクさせながら作るかが大切なのだと思う。

スペイン以外にも幾つかの国は素晴らしいサッカーをしていた。
私の言葉では、マルチカルチャーのサッカーと言いたい。

その一つがドイツだ。
一人の監督に長期間チームを任せて、計画的にチーム作りを進めてきた。

日本サッカー協会も、しかるべき監督に長期間任せて、
日本人のメンタリティ、体格にあったサッカーとはどういうものか、
数年後の世界のサッカーがどういうものかを想像して、
今から準備を始めてほしい。

一番大切なことは忍耐力です。
半年毎、一年毎に方向転換していては、育成はできない。
強みを活かすのは経営戦略においてもとても大切なこと。
正直、「日本人の強み」ではドイツのような「力強いサッカー」で世界一を目指すのは厳しいと思う。

今回のワールドカップでもう一言付け加えたい。
優勝候補とか、ビッグスターのいる国とかが、
実はメディアが作り上げた虚像に過ぎなかったことに触れたい。

選手も人間であることを前提にメディアは扱ってほしい。
人間はミスもするし、心が傷つくこともある。

この世で最も美しい生物である人間の営みとしてのサッカー、
そういうポジティブな世界観をもって、
サッカーという人間の芸術活動に取り組む若者を育んでほしいのです。
そうなんです。
サッカーは芸術になり得るんです。
そのためにも、どれだけ「観客の想像を越えるプレー」ができるか?が大切なのだと思います。

Jリーグで良いプレイをすることだ。
Jリーグでもっとはしる。
Jリーグでもっとリスクを冒す。

そうでなければ代表だけが短期間で勇気を身につけることはできない。
Jリーグのレベルアップをしなければ、代表のレベルアップはない。

サッカーファンも代表だけを応援するのはやめてほしい。
選手たちはJリーグの一つ一つの試合のディテイルにこだわってプレイの質をあげてほしい。

ファンはもっと選手にプレッシャーを与える応援をしてほしい。
お客さんのプレッシャーがサッカーのレベルを向上させるのです。
スタジアムを満員にしようではありませんか。

アマチュアサッカークラブを運営していて感じるのは、Jリーグを盛り上げるための土台作り(例えば、街クラブとJリーグの関係であったり、ジュニア年代のサッカー環境だったり、社会人のサッカー環境であったり)が、まだまだサッカー先進国に比べて質が低いように感じたりします。

もっと、多くの年代のプレイヤーが「サッカーを楽しめる環境」を増やしていかないと、本質的にサッカーファンを増やすことは難しいのでは?と思う今日この頃です。

日本のアマチュアサッカーは、様々なルールやしがらみに縛られ過ぎて、本質的にサッカーを楽しむことができていないような気がするんですよね・・・・・・

ルールを守る >>>> サッカーを楽しむ  の構図。
だから、純粋にサッカーだけを楽しめる人口が減って、サッカーファンも増えない。
要するに、「ルールの遵守」というフィルターが強過ぎる。
W杯やプロリーグならまだしも、プロとは程遠いアマチュアサッカーに同じレベルを求めてどうする・・・・・・

そんな気がします。

(参考)
「きょうのオシムと世界標準」 (田中晃)