関連サイトから第8巻のあらすじをまとめる。

 

◎今ひとつピリッとした感じがない。平蔵ら火付盗賊改方の派手な大立ち回りや、なじみの密偵達の華々しい活躍が乏しく感じられるためだろう。唯一「流星」がスケールを感じる短編である。
◎「流星」で大坂の生駒の仙右衛門と長谷川平蔵宣以が対決する。今まで対決した凶悪な盗賊は、平蔵や平蔵の身内を狙っていたが、今度は部下を狙うという非道の盗賊である。しかし、生駒の仙右衛門が平蔵の前に直接現れることはない。この点が残念である。
◎最後に、「あきらめきれずに」の話(未読)の大筋とは関係ないのだが、岸井左馬之助とお静は夫婦となる。
 

用心棒
◎〔笹や〕のお熊婆さんの前に懐かしい男が現れた。高木軍兵衛といい、仕官していた家中を追い出され、今は用心棒として働いているという。
◎しかし、高木軍兵衛は名前とは異なり腕っ節はさっぱりという侍である。その軍兵衛が絡まれて叩きのめされたのを、昔なじみの馬越の仁兵衛に助けられた。しかし…
◎軍兵衛は仁兵衛に弱みを握られ、荒っぽいぬすみ働きを強要される。

◎同心や部下たちは呼ばず、平蔵一人が盗人に立ち向かう。


あきれた奴
◎小柳安五郎は子供と一緒に身投げをしようとしている女を助けた。その女は小柳が捕まえた鹿留の又八の女房であった。小柳はそのことを又八に告げる。

◎又八と組んでいた相棒の行方が分からず、又八を責め立てていたが口を割らない。小柳は一計を案じ、又八を牢から連れ出す。
◎同心の小柳と又八との男どおしの友情・信頼・約束が話の中心になる人情噺ともいえる、私の好きな1編である。DVDでも観た。


明神の次郎吉
◎明神の次郎吉が看取った老僧・宗円に頼まれた遺品を、岸井左馬之助に届けに来たのである。宗円は岸井左馬之助が再び江戸にでてきて押上村の春慶寺に戻った時にいた僧である。

◎左馬之助は次郎吉を手厚くもてなすが、この次郎吉をみかけた火付盗賊改方の密偵がいた。
◎左馬之助は一本気のよい男だ。盗賊一味が平蔵に召し捕られるが、それを知らない左馬之助はいつまでも次郎吉を待ったのち、みずから宗円の菩提を弔いに宗円の故郷に発つ。


流星
◎平蔵の配下の妻が白昼殺された。緊迫する火付盗賊改方であるが、そのことを嘲笑うかのように今度は押し込みがおきる。平蔵は激怒するが敵が何者なのかも分からない。
◎平蔵宅に忍び込んだ老盗賊の浜崎の友蔵のところに助働きの頼みがきた。しかもこの頼みは断れない。なぜなら人質がいるからである。浜崎の友蔵の舟を使った助働きが必要としたのは生駒の仙右衛門である。鹿山の市之助と組んでの盗みである。
◎一方、敵がわからず焦っている火付盗賊改方。小房の粂八が浜崎の友蔵のところに相談にきたが、友蔵はいなかった。あわてて出て行ったということを聞き、平蔵にすぐさま報告する。ここから敵につながる一筋の糸が見えてきた。
◎ここまで鬼平を読んできたなかで、もっとも読み応えがあり、ハラハラさせられた1編だった。

◎友蔵を死罪にしないで島流しにとどめ、25両という大金を島流しの生活の足しにさせる平蔵に、友蔵は大声で号泣する。