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17世紀イタリアでは長く続いた戦争と経済不振で衰退し文化面で先頭を行くことはなくなります。
唯一ヴェネチアだけが栄華を残していましたルネサンス期ほどではなくなります。
「ピエタ(降架)」パオロ・ヴェロネーゼ1582年
後期ルネサンスを代表するヴェネチアの画家。
劇的で幻想的な色使いが特徴のマニエリスム様式。
キリストが十字架から降ろされる場面。
ピエタの場面では受難の象徴である杭に打たれた手と足にある傷を見せるのは古来からの決まりでした。
背後に聖母マリア、赤い服が最愛の弟子ヨハネ。唯一逃亡せず処刑に立ち会ったので描かれています。
「マグダラのマリア」アンドレア・ヴァカッロ
何度も読み返したであろう聖書と死を意味する骸骨が手元に置かれています。
ナポリで生まれたバロック期の画家で宗教がで大成しスペインで活躍しました。
「リュート弾き」ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ1595年
バロック絵画の先駆者
緻密な静物画と人物、くっきりした明暗法がカラヴァッジョの特徴でこれらがバロック絵画の形成に大きな影響を与えました。
斜めにはしる梁もバロック的。
ルネサンス絵画は基本的にシンメトリーでした。
「聖ペテロの磔刑」リオネッロ・スパーダ
カラヴァッジョを信奉したボローニャ出身の画家
手足に杭を打たれて十字架に逆さ磔されている使徒ペテロ
すでに顔は真っ赤で苦しそうな表情。
光を用いたドラマチックな作品。
「若い高貴な男」ボニファーツィオ・ヴェロネーゼ
ヴェローナで生まれヴェネチアで工房をひらいたルネサンス画家。
柔らかな色彩が特徴でヤコボ・ティントレットに大きな影響を与えました。
まるで男性の手が額縁のこちらまで伸びているかのようです。
「ラケルに会うヤコブ」ボニファジオ・ヴェロネーゼ
ラケルはヤコブの二番目の妻でヨセフとベニヤミンの母
14年間ラケルの父でヤコブの伯父のラバンの下で働き手に入れた愛妻。
ヨセフは11番目の息子ですが長子の権である約束の家系の祖となります。
「聖ヨセフと腕の中の幼子キリスト」グイド・レーニ1620年
ヨセフとキリストだけの絵画は17世紀に増えました。
それまでは旧約聖書で予言されたメシアの生まれる家系なのはヨセフなのですがマリアばかりクローズアップされていました。
愛おしくキリストを世話するヨセフと現世の父ヨセフに終油の秘跡与えるキリストの場面。
後ろで天使たちが祝福しています。
バロック期のボローニャ出身の画家。ルドヴィコ・カラッチの弟子
ラファエロ風の古典主義的であるとともにカラヴァッジョ的な激しい明暗の対比や構図を特徴としています。
「アンドロメダ」フランチェスコ・フリニ
マッテオ・ロッセリの弟子でフィレンチェ派のバロック画家
ルネサンスちっくなのは本人はマニエリスム復興を目指していたからです。
聖書や神話を題材にした柔らかく官能的な絵が特徴でイタリアだけでなくスペインやオーストリアでも成功しました。
ギリシャ神話でエチオピア王女でしたが母カッシオペイアがアンドロメダの美貌が神に勝ると言ったので、怒った神々は怪物への生贄として海辺の岸壁に鎖で縛られている場面です。
それをペルセウスが助けて妻にしました。
「バッカスの祭り」アレッサンドロ・マニャスコ
ミラノとジョノバで活躍したバロック期の画家
幻想的でファンタスティックな風景画を得意としました。
酒の神バッカスのお祭りで酒に酔い乱痴気騒ぎをする人々を描いています
「聖セクンダス」ベルナルド・ストロッツィ
ヴェネチアのバロック絵画の創始者といわれています。
ハドリアヌス帝治世下アスティの貴族であったセクンダスはキリスト教のために迫害にあい殉教しました。
「婦人と息子の肖像」パリス・ボルドーネ
トレヴィーゾで生まれヴェネチアで学んだマニエリスムの画家。
ティッチアーノの下で学んだともいわれています。
フランスやバイエルンにも招聘され活躍しました。
「ヘラクレスの選択」ポンペオ・バトーニ1766年
ヘラクレスはアポロンから神託を受け罪滅ぼしにミュケナイ王に仕えて10の務めを果たすよう言われます。
ヘラクレスの前に悪徳の象徴である甘美な女性が花を差し出して務めを果たさず楽して生きようと誘いますが彼女の衣は死を意味する赤色です。
左には美徳の象徴が務めを果たすよう説いています。彼女の青い衣は生を意味しています・
ポンペオ・バトーニはイタリア最後のオールドマスターと言われた人物でルッカで生まれローマで学んだバロックからロココの画家でオーストリア、イギリス、ポルトガルの王族や貴族に人気の肖像画家でした。
「聖家族と聖エリザベツ、バプテストのヨハネ」1ポンペオ・バトーニ777年
ヨセフとマリア、キリストに加え、マリアの親戚で神の奇跡で高齢妊娠したエルザベツと息子のバプテストのヨハネがいます。
マリアを頂点に三角形の構図はルネサンス期最高の美とされたものですがシンメトリーでないのとマリアとキリストに光の当たる明暗法がバロック的。
「スキピオの自制」ポンペオ・バトーニ1772年
お借りしました
ローマの将軍スキピオが人質女性を身代金を要求せずに婚約者の元に返し民意をひきつけた逸話。
「ピエタ(降架)」ルカ・ジョルダーノ
後期バロックのナポリ派の巨匠。
赤と青のきまりの服の聖母マリア、足元はマグダラのマリア。
「トビアスの家族と別れる天使ラファエル」ジョバンニ・ビリベルティ
旧約聖書外典の逸話
盲目のトビトが遠方の知人に預けたお金を回収するため息子トビアスを旅に出します。
トビアスは天使ラファエルにに守られて無事に帰還します。
ラファエルが言う通り旅の途中で採った魚の胆のうを父の目に塗ると盲目が治り目が見えるようになりました。
ヨーロッパ各地に支店を置いていたフィレンツェとベネチアの銀行家たちは同じように遠方にお金を送る際は身内に行かせたのでこの話を好んでいました。
画家はフィレンツェ生まれでメディチ家の庇護を受けていたためこの絵ではピッティ宮の宝物を拒否する大天使ラファエルとなっています。
「聖ペトロニラの死」シモーヌ・ピニョーニ
フランチェスコ・フリューニの弟子でイタリアのバロック画家
使徒ペテロの召使とも娘ともいわれるペトロニラ
1世紀のキリスト教迫害で殉教します。
「聖家族と洗礼者ヨハネ」ヤコボ・ダ・ポントルモ
マニエリスム期のイタリア人画家
右端がキリストに洗礼をほどこすことを預言されていたいマリアと親戚の洗礼者ヨハネ。
キリストの到来を告げて回りヘロデ・アンティパスに首をはねられます。
「自画像」アンニバレ・カラッチ1590年代
初期バロック様式を確立したボローニャ派の画家
薄汚れた画家のアトリエで絵の具がまだみずみずしいカンバスがイーゼルの上に置かれパレットがかかっています。
画材すべてをなくし自分を理想的男性像として描いたヴァン・ダイクとは対照的です。
「男の肖像」パルマ・イル・ヴェッキオ1512年
ヴェネチア派のルネサンス画家
15世紀末人間のモデルにした写実主義絵画が広がりその中で肖像画というジャンルが独立します。
モデルを理想主義的に描いています。
「聖母子と寄進者夫婦」パルマ・イル・ヴェッキオ1500年代
ヴェネチア派は中央ヨーロッパに近いのでより親しみやすい写実的な手法を用いていました。
キリストに礼拝する寄進者の妻はキリストから祝福を受けマリアは夫を安心させるよう肩に手を置いています。
「紳士の肖像」ドメニコ・カプリオーゾ1512年
ジョルジョーネの影響を大きく受けた画家。
ヴェネチア派らしい色鮮やかさです。
右下の羊のメダルに画家の名前があります
「黄色いドレスの婦人の肖像」レオナルド・ダ・ヴィンチ派15世紀末
「婦人の肖像」アントニオ・アッレグリ・ダ・コレッジョ1519年
モデルはジャンガレアッツオ・ダ・レッジョの未亡人ジネヴラ・ランゴーネだといわれています。
手にもつ杯は古代の生贄用の杯パテラで憂いを取り除く麻薬ネペンテスが入っています。
ヴェネチア派の画家でマニエリスム的な要素が入ってきていてひねった身体、服に重々しさを感じます。
「ピエタ(降架)」セバスティアーノ・デル・ピオンボ
ローマ派のマニエリスム期の画家
ヴェネチア派の明るい配色とローマ派の堂々とした構図を融合させています。
劇的に描かれたピエタ。
聖母マリアは気絶しており遠くにエルサレムの街が見えます。
「聖カエキリア」カルロ・ドルチ1670年ごろ
神に捧げる音楽の守護聖人カエキリア。
高価なシルク製の華やかなドレスを着てポルタティーフ・オルガンを演奏しています。
ローマにいた初期の殉教者はこのように裕福な階層の出身が多かったことを示しています。
カルロ・ドルチは17世紀フィレンツェの画家でトスカーナ大公(メディチ家)の庇護を受けていました。
「エジプト逃避中の休息と聖ユスティナ」ロレンツォ・ロット1530年
ヘロデ大王の男児虐殺から逃れるためエジプトへ向かう途中の聖家族と
6世紀に皇帝マクシミアヌスの軍兵に捕らえられ暴行を恐れ自分の胸を剣で刺し貫かれて殉教した聖人ユスティナ。殉教者の印棕櫚の葉が傍らにあり胸に剣がささっています。
時代が違う組み合わせですがこの時代に好まれ描かれた構成。
鮮やかな色彩と衣服のドレープがロットの特徴です。
「劇場の演技」ピエトロ・ロンギ18世紀
ヴェネチアのロココ画家。
演劇を愛しこのように演劇の場面を多く残しています。
鮮やかな色彩がヴェネチア画家らしいのですが暗さはバロック期の雰囲気を残しています。
現実の場面を描いた絵も演劇的に描きました。
「ダイアナとエンデュミオン」ジョヴァンニ・バッティスタ・ピットーニ
ゆがんだポーズ、やわらかな動きのある画面がバロック的。
山の頂で寝ていたエーリスの王エンデュミオンを見て恋をした月の女神ダイアナ。
ダイアナは老いていくエンデュミオンに耐え切れずゼウスにエンデュミオンを不老不死にしてくれるよう頼むとエンデュミオンは永遠の眠りにつきダイアナは毎夜寄り添いました。
「皇帝アウグストゥスに諸芸術を示すマエケナス」ジョバンニ・バッティスタ・ティエポロ
18世紀のティントレットヤやヴェロネーゼの画風を受け継ぐヴェネチア派最後の巨匠。
色彩鮮やかで装飾的で甘いロココ絵画を描きましたが時代が新古典主義時代になり晩年は人気がなくなりました。
ローマ皇帝アウグストゥスに芸術の庇護者マエケナスが女性に擬人化された絵画、彫刻、建築と盲目のホメロスで表現された詩を紹介している場面。
成し遂げられたことは忘れ去られてしまうが偉大さは天才的な芸術を用いれば永遠に残るということを意味しています。
読んでくださりありがとうございました
皆様が幸せな一日を過ごされますように願っています