高尾山は、いつぞやミシュランの三ツ星をもらった観光地として、ぐんと人気上昇したスポットだ。
東京にあって、生態系の豊富さが日本一とも言われる自然も魅力的。
参拝しに登る途中に見下ろすパノラマも、天狗様の視点を想わせる爽快さ。
そんな高尾山のお腹をトンネルが突き抜ける工事が進行している。
圏央道がつながったら便利になるのはよくわかる。
政権交代してから、八ッ場ダムや、泡瀬の埋め立ての話題はあったが、
高尾山のトンネルのことは、スルー…に感じる。
私は通勤路で毎朝、大垂水峠を越えて高尾山口を抜ける。
排気ガスが申し訳ないけれど、四季を通じて、木々の彩りが運転中にもかかわらず息をのむ。
先日の雪景色の繊細な線で描かれた水墨画のような世界も、幸せをくれる美しさだった。
いっそ、峠の途中でエンジンをとめ、スケッチできるなら…。
でも。
峠を越えるとトンネルと高架が、時代錯誤な近未来を追いかけているようで、悲しくなる。
トンネルを掘り始めた頃、トンネル内に地下水が流れこみ、一旦、工事は中断したらしい。
セメントを注入して水を止め、工事再開したとか。
まるで、人の身体に穴をあけ、血が止まらないから止血剤を注射して、穴をあけ続けるようだ。