２０１４（平成２６）年６月、現上皇・上皇后両陛下が沖縄県那覇市にある慰霊碑に献花され、また記念館で生存者や遺族と懇談されたという報道で、この事件があったことを初めて知った方も多かったと思います。

今からちょうど８０年前の今日、民間人・学童を乗せた

　対馬丸

が、アメリカの潜水艦による魚雷攻撃によって沈められたことを・・・。

日本郵船所有の同船は、英・グラスゴーで建造され１９１４（大正３）年に進水した全長１３５．６４ｍ・全幅１７．６８ｍ・６，７５４トンの貨物船。

第一次大戦中は欧州航路で活躍し、戦後はパナマ運河を経由する横浜～ニューヨーク航路の第１便として出航する栄誉にも輝いた船でした。

しかしその後新型船が建造されると花形ルートからは外され、インドのカルカッタ線に格下げ。

そして大東亜戦争勃発に伴い１９４１年日本陸軍に徴用され南方作戦に投入されると、戦況悪化に伴い制空権を奪われた中、輸送任務に従事。

そして１９４４（昭和１９）年８月２０日、対馬丸は暁空丸・和浦丸とナモ１０３船団を組み、民間人・那覇国民学校の生徒ら約１，７００名と乗員８６名を乗せ、那覇から長崎に向けて出航しました。

しかしこの船団の動きは、無線を傍受し暗号解読をしていたアメリカ軍に筒抜け。

また哨戒機が張り付き強烈なジャミング（レーダー妨害）を発していたことから日本軍の重大任務を帯びた船団と判断し、夜間攻撃を仕掛けることを決定。

そして８月２２日午後１０時過ぎ、同船団を追尾していた米潜水艦ボーフィンが魚雷を発射し、対馬丸にのみ命中。

その僅か１１分後に、同船は大爆発を起こして沈没しました。

　　
　　　　※沈没地点は、地図中央やや下『悪石島』の左海域

その後数日の間に漁船に救助されたリ島に漂着して生き残った方もいましたが、最終的に乗員・乗客合計で１，４７６名が死亡。

生き残れた児童は、僅か５９名だったとか。

戦時中沖縄・奄美近海で事故や米軍の攻撃により沈んだ船は２７隻あったそうですが、学童が犠牲になったのは対馬丸のみ。

現・上皇陛下が強く望んで慰霊碑に献花されたのは、亡くなった学童が陛下と同年代だったからだそうです。

いくら戦時中とはいえ、原爆投下や東京大空襲同様、非戦闘員や女性・子供を無差別殺戮したアメリカには、強い憤りを禁じ得ません。

ちなみに、多くの学童を海に沈めた潜水艦ボーフィンは、１９８１（昭和５６）年以降、オアフ島の戦艦アリゾナ近くに〝真珠湾攻撃の復讐者〟として展示されています。

爆 沈

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