巨 人 | ナベちゃんの徒然草

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還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

・・・と言っても、プロ野球の話ではありません。

19世紀を代表する作曲家・指揮者だったグスタフ・マーラー(1860-1911)は生涯に10曲の交響曲を遺しています(※第10番は未完成)が、その中でも演奏時間が比較的短く、声楽を伴わないことからコンサートでの演奏や録音がもっとも多く、また伊丹十三監督作品の映画『タンポポ』でも使われるなど、そのメロディーが多くの方に知られている第1番


 巨 人

がマーラー自身の指揮、ブタペスト・フィルハーモニー交響楽団によって初演されたのが、今からちょうど130年前の今日・1889年11月20日のことでした。

 

        

                  Gustav Mahler

 

マーラーがこの曲を創作したのは、1884~1888年の間。

1885年8月にプラハのドイツ劇場の第2指揮者に就任し、1888年10月にはブタペスト王立歌劇場の音楽監督に就任。

ワーグナー作品をハンガリーに於いてノーカットで初演して高い評価を受け、更にモーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』に至っては、かのブラームスに

「理想的な 『ドン・ジョヴァンニ』 を聴きたければ、ブタペストに行くべきだ。」

と絶賛されました。

またウェーバーの孫の妻・マリオン・ウェーバーと恋仲になるなど、彼の人生の中では最も充実した時期に書かれた作品といえます。

 

『巨人』 という名は、マーラー自身がつけたもので、これは彼が青春期に愛読していたジャン・パウルの同名長編小説から取ったもの。

曲想そのものとイメージがリンクしているわけではないとのこと。

そのせいか、後にマーラー自身がこの副題を削除しています。

もっとも、現代ではそれをつけたまま演奏されたりCDが発売されていますが・・・。

 

だだこの時の初演は、(よくある話ですが)不評だったそうな。

これを受けてマーラーはその後何度も手直しをして、初演時には5楽章だった 『ブタペスト稿』(現存せず) を4楽章に短縮。

現在演奏されているのは、その4楽章で初めて演奏された場所に因む 『ベルリン稿』 が基準になっているそうな。

さて、この曲で私が持っているCDは、まず人生で『巨人』・・・というよりマーラーの作品として初めて中学生時代にレコードで聴いたのが、こちら。


       

 

指揮者のブルーノ・ワルターは、ハンブルグ歌劇場で音楽監督を務めていたマーラーの下で学んだ愛弟子。

ですからマーラーについて良く知る人物であり、ワルター演奏の録音のために結成されたコロムビア交響楽団の演奏も息がピッタリ。

1961年の録音ながら、リマスター版で音質も良くジャケットもレコードと同じで、私にとっては思い出深い演奏です。

 

またマーラーに傾倒し、その演奏が高い評価を得ているレナード・バーンスタインの録音。

 

 

右が1966年にニューヨーク・フィルの演奏で録音されたもの。

まだ上記ワルターくらいしか演奏していなかったマーラー作品にスポットライトを当てた若きバーンスタインの気迫あふれる演奏。

そして左がバーンスタインが初めて出したマーラー全集の中の1枚で、オケはコンセルトヘボウで、1987年録音。

同じ指揮者でもオケと年代が違うとかなり演奏内容が違うことを実感できます。

さて、ここで我がブログ読者ならお気づきかもしれませんが、私の好きなカラヤンのCDが出てきません。

実はあれだけ多くの楽曲を演奏していたカラヤンなのに、なぜか
マーラーの交響曲第1~3、7、8番は録音していないのです。

この理由については、


◆カラヤンがかつてナチスに入党していたので、ユダヤ系であるマーラーの作品に手を付けたがらなかった。

◆ライバル・バーンスタインがマーラーで売り出したことを妬んだ。

◆初期の作品はまだ粗削りかつ交響曲としては奇形であり、演奏するに値しないと判断した。


等々諸説がありますが、既にカラヤンはこの世にいませんから真相は藪の中。

その理由を皆さんなりに考えつつ、私が最も好きなワルターの演奏を、お聴きください。

 



どこかで、映画 『タンポポ』 で主人公のタンポポがジョギングするシーンを思い出すかもしれませんョ。笑2

 

 

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