超法規 | ナベちゃんの徒然草

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還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

10年余り前、当時航空幕僚長だった田母神俊雄氏が民間企業主催の懸賞論文に応募して最優秀賞を受賞したものの、その内容が政府見解と異なることが問題視され、結局田母神幕僚長は論文公表の事前届けを怠ったという理由で解任される・・・ということがありました。

いわゆる文民統制の立場からそうなったわけですが、実は自衛隊トップの発言が問題視されたのは、これが最初ではありませんでした。

それは今から41年前の今日・1978(昭和53)年7月19日、当時の自衛隊トップだった


  来栖 弘臣  統幕議長

が、2日前に発売された週刊ポストに掲載された

「現行の自衛隊法には穴があり、奇襲侵略を受けた場合、首相の防衛出動命令が出るまで動けない。 第一線部隊指揮官が超法規的行動に出ることは有り得る。」

という記事が自らの発言であることを認め、これが文民統制の原則を犯す〝超法規発言〟として問題視されたのです。


        

 

その後来栖氏は記者会見でも自らの信念を曲げず同様の発言を繰り返したため、当時の防衛庁長官・金丸信氏によって事実上解任されました。

 

しかし一方で、当時の福田赳夫首相は閣議において有事立法・有事法制の研究促進と民間防衛体制の検討を防衛庁に指示。

これによって国防論議のタブーが破られ、以後数多くの国防論議が巻き起こる端緒になりました。

解任された翌年に防衛庁を退官して参院選に出馬・落選した後、新聞社の客員論説委員や大学の客員教授などを務め、2004年に84歳で亡くなった来栖氏としては、自らの信念が認められなかったものの国防に関する関心が国民の間に高まったことで、多少なりとも留飲を下げたのかもしれません。

さて、その自衛隊の位置づけや国防に関しては、来栖氏が持論を公表した40年余り前と現在とでは、かなり違うと言えましょう。

当時は東西冷戦の中、アメリカという世界最強国と安保条約を結んでおり、一方支那はまだ文化大革命の後遺症から立ち直れておらず、国際社会からは半ば孤立していました。

しかし現在の支那はアメリカに次ぐ経済大国となり、急激に軍備を強化し南シナ海を始めその勢力拡大を狙っています。

更には北朝鮮が日本近海だけでなく日本の領土上空を複数回飛び越えるミサイルを発射するなど、40年前より遥かに来栖氏の言う奇襲攻撃を受けるリスクが飛躍的に高まっていると言えましょう。

もし数百の漁船が尖閣諸島に押し寄せたら、またもし北朝鮮のミサイルが領土内に落下すると分かったら・・・そういった緊急時に、悠長に国防会議を招集して対応を検討していて良いのか?

いくら文民統制が原則とは言え、それでは十分な国防は出来ない・・・と私は思うのですが。

私の手元には、来栖氏が残された著作のひとつがあります。


 『日本国防軍を創設せよ』 (小学館・刊)

 

        

 

同著の中で、来栖氏は、

 

「国家安全保障を考える時、自分達の安全と幸福は自然に降って湧いたものではないことに気付く。

自国だけでなく、必ず相手国を意識しなければならず、彼我の関係如何によっては明日にも危険が迫って来る。

その時、自分は争い事は嫌いだからと、列外に出ることが許されるのか。 相手がそれを認めてくれると思うのだろうか。

日米安全保障条約があるから大丈夫だと高をくくっていたり、それに甘えたりする気持ちは、人間として決して褒められるものではなく、国家ともなれば、自主性・自立心のない国民と受け取られる。

国際社会に名誉ある地位を占めよう、と憲法前文にあるが、それは平和憲法を墨守し、上手に相手の顔色をうかがうことなのか。」


と我々に問うていますが、まるで現在の状況を予見したかのよう。

私は来栖氏の主張に概ね賛成であり、自衛隊が現行法制の中で使命を十分果たせるのかどうか・・・40年前の仮定の話ではなく、今そこに危機がある状況の中で、国民は改憲を含め自衛隊(国防軍)の位置づけを真剣に考えるべきだと思いますが、如何でしょうか?

20年前に刊行されたこの著作・・・(防衛・戦争に関する)専門家の論文ですので少々難しい内容ですが、防衛庁(現・防衛省)と自衛隊の実態や法制との矛盾点を的確に教えてくれます。

むしろ出版当時より、有事法制が成立し国防の緊張感が高まっている現在の方が読者の共感を得られるかもしれません。


 

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