今日のお題を見てピンッときた方は、かなりの本好きかもしれません。
A6とは、A4版の1/4の大きさ・・・そう、
文 庫 本
のサイズなんです。
多くの方が手に取っているであろう、この手軽な文庫本が初めて誕生したのが今からちょうど90年前の今日・1927(昭和2)年7月10日のことでした。
出版したのは、岩波書店・・・つまり 『岩波文庫』 が携帯に便利な廉価本を初めて世に出したのです。
この文庫本が誕生する大きな契機となったのは、その2年前のこと。
倒産寸前だった改造社という出版社が、当時3円が一般的な書籍の価格だったところに、『現代日本文学全集』 63巻を予約制ながら1円で発売。
その圧倒的な安さで大人気となり、63万部を売り上げた同社は社員にボーナスを出すまでに業績を回復しました。
これが出版界では 『円本騒動』 と呼ばれ、読者層を大きく広げる結果を招いたのです。
※この『円本』に関する過去記事は、こちら。(↓)
http://ameblo.jp/warmheart2003/entry-12136498412.html
これを見た岩波書店の創業者・岩波茂雄氏が、自身が学生時代に読んだドイツのレクラム文庫を参考に、書物を安価に流通させ多くの人々が手軽に学術的な著作を読めるようにすることを目的として、日本で初めての文庫本シリーズを発刊したのです。
この時の文庫本が現在に至るまで引き継がれ、新潮・角川・文春・講談社そして最近では幻冬舎など様々な出版社が続々と参入。
何度かの文庫本ブームを経て出版業界に大きな収益をもたらしたことを考えれば、実に画期的な新分野開拓でありました。
私も本好きだった父親の影響で小学生の頃から岩波文庫を何冊も買っては読んだ記憶があります。
青・白・赤・黄・緑の帯ごとに整然と並んだ書棚の前に立って、読みたい本を探すのが楽しかったですが・・・おそらく一番最初に手に入れた岩波文庫は、芥川龍之介の短編集と、『ソクラテスの弁明』。
今でも私の書棚に残っていますが・・・小学6年生の頃に背伸びして買ってはみたものの、特にソクラテスの方は読んでもチンプンカンプンだったことだけは憶えています。
ご覧の通り、当時の岩波文庫は薄いパラフィン紙で装丁されており、その高級感も大人になった気分を味あわせてくれました。
そんな文庫本には金欠だった学生時代からサラリーマン時代まで長いことお世話になりました・・・が、今は電車通勤でなくなったことと、視力の衰えにより敬遠するようになってしまいました。
さて皆さんは、通常装丁派? 文庫派? それとも電子書籍派?