今からちょうど140年前の今日、日本初の画期的な実験が東京大学で行われました。
それは、蓄音機を使った録音・再生実験。
その前年に、エジソンが自ら歌った〝メリーさんの羊〟をフォノグラフに録音させ、それを再生する実験に成功。
そして1878(明治11)年10月下旬に、東京大学理学部の教授として招聘・来日したイギリス人物理学者
ジェイムス・アルフレッド・ユーイング
Sir James Alfred Ewing
当時の日本では、この直前に中村正直という方が自ら出版していた 『同人社文学雑誌』 の中で〝蘇言機ノ事〟という記事を紹介しただけで、フォノグラフは一台もありませんでした。
ですからユーイングがこれを手土産に選んだのは大正解・・・日本人の心を鷲掴みにしたのは間違いなかったでしょう。
そして彼が来日したから僅か2週間余りの1878(明治11)年11月16日、〝世紀の実験〟が行われました。
使用したフォノグラフは、ハンドルで回転し徐々にスライドする円筒に錫の箔を貼り付け、円筒に振動する刃を直角に取り付けて、音の振動によって錫箔に傷をつけるというもの。
※ちなみに彼はその後、『ユーイング式水平振子』と呼ばれる地震計を考案し、日本の地震観測学の草分け的存在にもなっています。
振動を記録するというフォノグラフの原理を応用したんでしょうネ。
上の画像は、現在国立科学博物館に所蔵されている復元されたフォノグラフですが、構造はご覧の通り至ってシンプル。
それでも再生された音を聞いた人は、さぞや驚いたことでしょう。
それが如何に衝撃的だったのかは、ユーイングが更に翌年3月に銀座の東京商法会議所(現・商工会議所)でも公開実験を実施した際に立ち会った、東京日日新聞社長・福地桜痴が
「このような機械ができると、新聞屋は困ってしまう」
とフォノグラフに録音したことでも伺えます。
幸いにもこの存亡の危機(?)を乗り越えた新聞業界ですが、今再びネットの普及により再び存続が危うい状況。
当時は音だけでしたが、現在は誰もが簡単に映像を撮影しそれをSNS等で公開できる時代・・・今まで彼らが繰り返してきた偏向・捏造報道は、すぐに露見し糾弾されるのですから。
初めて日本国内で録音実験が成功してから140年でこんな時代が到来するとは、当時の新聞屋さんたちには予想できなかったでしょうネ。