TVのニュース番組や特集で、時々万引きGメンの活躍を取り上げることがありますが、ご覧になった方も多いと思います。
スーパーなどで張り込み、万引きした犯人をマーク。 店外に出たところで声をかけて事務所に連れ戻され、犯行を認めさせる彼らの仕事ぶりを追うワケですが、最近はお年寄りの万引きが多いのが何とも気を重くさせます。
しかし、それにも増してガッカリさせられるのは、捕まった犯人たちの態度。
自分のバックから商品が出てきても惚けたり、ウソ泣きをして許しを請う女性。
あるいは 「だったら金を払えばいいんだろ!」 と開き直る男性や、店側の人間の隙を見て逃げ出そうとする者も。
また子供が捕まって呼び出されたのに、「ウチの子に限って、そんなバカなことするはずありません!」 と頑なに認めようとしない母親もいたりして。
いやはや、「今時の若い者は・・・」 なんて、大人が偉そうに言えないご時世、本当に情けなくなります。
そんな万引き現場に関して、こんな話が月刊 『致知』 2月号に掲載されていました。
インタビューに答えられたのは、(社)日本空手協会七段の瀬戸謙介氏。
◇ ◇ ◇ ◇
小学校4年生の男の子が友達とコンビニに入ったところ、その友達が万引きをやったんです。
それを知った男の子は、「とにかく返そう。 一緒について行ってあげるから。」 と説得して商品を返させた。
ところが、家に帰っても気持ちが落ち着かない。
「大事な友達が悪いことをした」 と胸が潰されそうだったというんです。
とうとう母親に言ったそうです。
「夜寝ていても寝付かれない。 僕の心がこんなに痛んでいるのに、彼はどうして平気なのかな。
〝義を見て為(せ)ざるは勇なきなり〟だよ」 と。
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最後の一文は、論語から引用された文章・・・「人の道として当然行うべき事と知りながら、それを実行しないのは勇気がない」という意味。
実は瀬戸謙介氏は自らが 「瀬戸塾」 という空手道場の師範であり、同時に塾生たちに論語を講じておられ、この小学4年生は同塾の生徒とのこと。
前述の往生際の悪い万引き犯とは、何という違いなのでしょう。
人間性の構築には年齢など関係ない、むしろ如何に幼少時代の教育が大事であるかを如実に示した事例ではないでしょうか。
テストの点数も大事でしょうが、こういう立派な人格を持つ子供を育成する責任は、大人にあるのです。
私たち大人が子供に恥ずかしくない人間にならなければ、彼らに笑われてしまいますょネ。
瀬戸師範曰く、
「武士道とは、人間として如何に美しく気高く立派に生きるか。
そして人間として人々から尊敬されるためには、日々どのような心掛けを以って過ごすかを説くもの」 。
思わず背筋が伸びます。
ところで・・・もし私たちがこの4年生の親だったら、「寝付けない」 と悔しがる我が子に、どのようなアドバイスをすればいいのでしょうネ?