「もう数週間しかもたない。」

ついに祖母が起き上がれなくなってしまった。

昨日、会った時は私が誰かはわからないクセに、ばかみたいに頭をなでてくれたのに。


ばーちゃんが、大好きだった私のことをわからなくなって何年経っただろう。

10年、もっとそれ以上だ。

小さい頃、よくばーちゃんと、じーちゃんと川の字で寝た。

ばーちゃんは、困っている人をほっとけないから
他人の子供にでもご飯や服を与える人だった。

甘い物が大好きで、桃缶の汁が好きだったw

家族を認識できなくなってから「魂が覚えてくれているはず」
そう信じて、それを救いにして、話しかけてきた。


あんなに大好きだった人も、物も自分の名前もわからなくなって
それでも生きる意味。

なぜこんな状態になるんだろう、
人に尽くして、尽くした果てにこのようになるのかと、
この人の人生の幸せとは何だったのかと。

私を私だと認識できない祖母に、私が何をできるだろうか。

正直、私を愛でてくれた祖母と今いる祖母が同じ人間だと信じられない気持ちもある。


ただ、できるだけ会って、祖母がそうしてくれたように
体をさすって、手を握って、話しかけることしかできない。



ばーちゃんに沢山のものを買ってもらって、おいしいもの食べさせてもらって
欲しいものはなんだって買ってくれて、行きたいとこへも連れていってもらったのに。

何にも買ってあげれてないし、何処へも連れていってあげれてない。

ばーちゃんに何をあげれただろう。

迷惑をかけて、心配かけて、お金貰ってただけじゃないだろうか。

ばーちゃん、ごめんなさい。ありがとう。

身体がきっとつらいから、早くラクになった方がいいのかもしれない。

私が1日でも長く生きて欲しいと思うのはきっとエゴだ。

それでもやっぱり少しでも多く同じ時を生きたいと思ってしまう。

私を1番愛してくれたばーちゃん、私もばーちゃんのことが大好きです。
一瞬だけでも、昔のように話がしたい。

少しだけでも、誰でもいいから家族のことをわかってほしい。

ばーちゃんがこれ以上つらくありませんように。

こころが安らかでいられますように。願うことしかできないことを許してください。