この記事は私が音大でやっている授業内容の1部分を
学生の予習、復習の目的でこちらのページに記載しています。
(譜例はクリックすると大きく表示されます)

前回の記事

1音のメロディにたいしてにコード付けをするのは、
可能性が沢山あります。

2音だと可能性が減ります(何故だか解りますか?)
3音だともっと減るでしょう・・・

ジャズ・ハーモニーでよく行われる、
リハモナイズというテクニックでは、
メロディの1音1音に対して各々コード付けをする場合が在ります。
それは、リハモナイズの可能性がその方が自由度を増すからです。

に対して、
「どう意味ですか?」
という質問をいただきましたので。
それにお答えしたいと思います。


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突然ですが!

「コード進行」という物は、
「コード」とは違う・・・


禅問答のような事を言いますが・・・

「コード進行」は、「コード」の為にある、
「コード」とは「メロディ」の為にある・・・


リンカーンのようですが・・・




例えば・・・

「赤とんぼ」という曲が在りますよね

『夕焼小焼の、赤とんぼ
負われて見たのは、いつの日か』

という、例の・・・

この曲を歌うとき、
頭の中に、
おぼろ~げに「伴奏」の様なもの、
あるいは「伴奏的感覚」が流れませんか?

歌をうたうときに何故音程が正確に歌えるか?
というのは、自然と「主音」の感覚を頭の中で構築しながら歌ってるから、
では無いでしょうか。

少し難しい言い方になってしまいましたが、
要するに、人は、歌を歌うとき、
最後に戻るべき音(解決音)を覚えて、歌っているということです。

そして、主音に並び、メロディを支えているのはコード進行です。
メロディを思い浮かべると必ず頭の中に(おぼろげに)流れるもの、
それが、あなたの「歌」を支えているのです
(音痴な方もいらっしゃいますが・・・)

実はこの事はハーモニー(特にジャズ)を考える時に、
非常に大切な事(感覚的に)です。


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レッド・ゼッペリンの、天国への階段!
カッコいい!ですね~(例が古くてすいません)
別に愛しのエリーでもレット・イット・ビーでも良いですが・・・

「あの曲のコード進行は最高だぜ!」
「じゃあ天国の階段のコード進行で赤とんぼやったら最高じゃね?」
「ほんまや~!ほな!!」
という具合には行きませんね・・・

コード進行自体がかっこうよくても、
メロディに合ってないと意味がありません。
すなわちメロディありきでコード進行が決まっていくのです。

もちろんコード進行に合ったメロディを作り出す事も出来ます。
しかし、その結果、作られたメロディも、
もっと他のコード進行を作り出す事が出来ます。

卵が先か・・・?の問題のようですが、
いったんメロディが作られてしまうと、
コードは必ずメロディの僕になってしまうのです。

コード進行には著作権が無い、
というのも、この辺の理由も大きいのかな?
と、思います。

「コード進行とはアレンジの1部」という事なのでしょう。


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コード進行というのは「服」です。
メロディは「女性」です(別に男性でもいいけど・・・)


前述の「赤とんぼ」のコード進行も、
これが正解!
という物は在りません(実は)

「赤とんぼ」という曲の、
「メロディ」という「レディ」を、
ゴージャスに着飾る事も、
フォーマルにも、カジュアルにも、へんてこにも?

リハモとは・・・
コード進行という「服」を、
メロディという「彼女」に着せてあげる事なのです。

*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆

下記は赤とんぼを少しリハモ(コード進行をアレンジする事)してみました。
1コーラス目と2コーラス目は変えてあります。

赤とんぼ
三木露風作詞・山田耕筰作曲
道下和彦 リハモ

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このように赤とんぼのメロディをほんの少し大人っぽくしたり、
かわいくしたり、優しくしたり、怖く?したりする事が出来るのです。

すなわち、メロディにコード付けをするというのは、
いかにメロディを支えるか?
という事をやる行為であって、
コード進行というのはそれをやってできる結果である。

という考え方、なのです。

「コード進行を先に考える」
という方法は後ほど又・・・

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それで・・・

コードの付け方についてですが、

1音のとき
2音のとき
問題について・・・


メロディの音は少ない方がコードを付ける時に、
自由度が増します。

以下の譜例は赤とんぼの
赤と~ん~ぼ~
の部分ですが、

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メロディを拍ごとに分解すると、
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数字はメロディの音数です。

1拍目は2音ですね。
という事はこの1拍目にコードを付ける時は、
この2音(ラとド)がコードに対して意味の在る音でなくてはいけません。

意味の在る音とは、
3和音(トライアド)=1、3、5の1部
4和音の中1、3、5、7の1部
テンション=9、11、13の1部
です。

例1)3和音(トライアド)=1、3、5の1部
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例2)テンション=9、11、13の1部
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メロディの音を、
そのコードのどの位置におこうかな~~~?
って考えるのです。

2音あるので「2回」考えなくてはなりません。


例えば・・・

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これは駄目ですね。
ラの音が合ってるからと安心してしまいました・・・(;^_^A

と、いう具合に、
メロディ2音だと2音ともコードとの関係を考えなくてはいけませんね。

それでは3音だとどうでしょうか?
4音だと、
5音、6音・・・

逆に、1音だと・・・

お分かりいただけましたでしょうか?



下記の例はコード付けの1例です。
弾いてみて下さいね。


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それでは、今回はリハモの鬼達の快(怪)演をお楽しみください。

Bill Evans Trio - Come Rain or Come Shine
この曲のコード進行は諸説ありまして、
みんなどこかしら違います。



Duke Ellington and his orchestra - Sophisticated Lady
彼のバラードはコード付けのお手本です。



Carla Bley and Steve Swallow - Lawns
もういっちょう!
カーラの名曲中の名曲。
シンプル・イズ・ベスト!ならぬ・・・
シンプル・イズ・ビューティフルを地でいく作品!