私が、オウム信仰から脱却できた要因は、いくつかあります。
オウム真理教に入信する以前から、もともと仏教や宗教的なことに関心があり、オウム真理教という団体をどちらかというと客観的に見るような傾向が内在していたということや、自分が属する団体よりも日本のために有益なのかどうかという視点から考える習慣があったことなどがあると思います。
しかし、そうした根本的な性質を基盤としながらも、現実にもたらされた様々な機会や出来事が、オウム信仰からの脱却の直接的な原因となっていったことは間違いなく、そうした貴重な機会の一つが、2008~9年に巡り合って実践した自己反省法「内観」だったのでした。
内観を実践した結果、オウム的な信仰がいかに狂信的で異様であるか実感したばかりでなく、私がオウム入信前から求めていた仏教的な悟りの境地に一歩近づいた気がしました。
そして、20年間家出していた大阪の実家に帰り、両親に受け入れてもらうことができ、それを機に、さらに世界が広がる感覚が日常的に生じるようになりました。
内観の詳細については、こちらのページに書いてありますが、ごく簡単にいえば、内観専門家の指導のもと、自分のこれまでの生涯で、両親・親族・友人知人などの周辺の人物や事物から、
① していただいたこと
② してさしあげたこと
③ ご迷惑をおかけしたこと
を、1つ1つ、一定のルールにのっとって思い出していくという作業のみを、丸1日~1週間ほど集中して行なうというものです。
ここでは、この内観を実践した私の体験や、他の人びとの体験、それがオウム信仰を脱却するにあたって、どのように有益だったかについて、少しずつ書いていきたいと思います。