口を開けると、歯の抜けている部分が見られた。
残っている歯についても、時間をかけて溜まっていった深い汚れがある。
年齢の推定は非常に難しいが、歯の状態を考えると、
5歳前後、あるいはそれ以上かもしれない。
避妊手術の跡は見つからなかったが、
年数が経てば手術跡が消えて分からなくなることもあるので、
手術を行ったのかどうかについては、何ともいえない。
来年春の発情期まで様子を見るのがいいだろう。
院長先生は我々に、現時点で分かる範囲ではありますが、
持ち込んだ三毛猫の状態を説明してくれました。
人間には馴れており、食欲もあり。
外猫でごはんをもらっていたのか。
それとも、棄てられてしまったのか。。
推定年齢の高さもあって、
これまでどうやって生き延びてきたのかという点も、非常に気になります。
三毛猫を連れて、我々は帰宅しました。
あえてドライな表現をするならば、
1頭の猫を、意図せず我が家に迎え入れたことになります。
程なくこの三毛猫は、嫁さんに「胡桃(くるみ)」と命名され、
先住の猫たちとは違う部屋に急遽設営されたケージの中で過ごすこととなりました。
後先を考えることなく、衝動的になってしまった私。
隣にはすっかり冷静さを失っている私を叱咤しながらも、
この先に必要なことをあれこれ話してくれる嫁さんがいました。
抱き上げてから、病院を経て帰宅するまで、
私の記憶は断片的なものがほとんどです。
でも1つだけ、これだけは、強く思い続けていました。
「この子の命をつなぎたい」
周りの人は「命が助かって良かったね」と言ってくれる。
でも「良かったね」だけで、本当にいいのだろうか。
生きる。命をつなぐ。
たしかにこれほど尊いことはない。
でも、もう一歩踏み込んで考えたいのです。
胡桃と名づけられたこの子がウチに来たのには、
必ず理由があり、意味がある。
そしてその理由、そして意味をしっかりと形にするのが、
今、自分がやらねばならないことだという気持ちを胸に。
(プロローグ 4)につづく
※この話はフィクションのように見えて実話です。
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