人間、生きているあいだに、
「後先考えず、勢いで行動する機会」というのは何度あるものなのでしょうか。
午前中の診察時間にはまだ間に合う。
「私は財布持って車で追い掛けるから、先に自転車で運んでしまいなさい」という嫁さんの指示を受け、
三毛猫の入ったキャリーケースを左手に持ったまま、私はひたすら自転車のペダルを漕ぎました。
私はいったい何をされるんだ。。 鳴き続け、暴れる三毛猫。
「もうすぐ着くから! 悪いようにはせんから!」
しかし我慢ならない三毛猫は、キャリーケースのフタを壊して勢いよく突き破り、
いよいよ首から上が飛び出した状態に。
……良かった。布製のキャリーカバーにくるんでおいて良かった。
しかし三毛猫はほぼ半身、キャリーケースから抜け出た窮屈な状態のまま。
「あと少し!それ以上出んじゃないぞ!絶対出んじゃないぞ!てか、動くなもう!!」
予定外の出会いから30分後。
たま胡、胡ぶへいかかりつけのキャットクリニック。
待合室のソファーにヘナヘナと座り込む私の傍らには
キャリーケースに収まった三毛猫が、高らかに鳴き続けています。
……頭の中は完全にテンパっていましたが、
救いの神は、テンパった私に少し落ち着きを与えてくれました。
キャリー片手に待合室に飛び込んで行くや否や、目が合ったのは、
「愛猫の検査結果を聞きに来た」という、いつもお世話になっているキャットシッターIさんご夫婦。
この状況において、身近で最も頼れる人に出会えた、という幸運がここにありました。
三毛猫が突き破ってしまったキャリーのフタを補修して頂き、
まだまだ冷静さを取り戻せていない私にいろんな言葉をかけて頂き、
とにかく、はじめて猫を拾う経験をした私に優しく接して頂き、、、
思えばただただ、頭を下げるしかなかった私。
診察を待つ周りの皆さんも、
息を切らせてこの場に飛び込んできた私の状況を察して頂いたようで、
みんな温かい目で私、そして三毛猫を見つめてくれていました。
嫁さんとも合流し、
そして嫁さんもシッターのIさんを見て大いに驚き、
名前を呼ばれて診察室へ。
取り急ぎ、この日にできる範囲で健康状態をチェックしていきます。
体重は約3kg。
三毛なので、もちろん女。
……我々の想定内は、ここまででした。
(プロローグ 3)につづく
※この話はフィクションのように見えて実話です。
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