安倍氏 中国に「屈したら何回も同じこと起こる」
2012.12.23 21:37

 政権交代を前に自民党の安倍晋三総裁が金融政策や原発事故対策、対中国外交などについて語った。

 --最重要課題のデフレ脱却策は

 「金融政策、財政政策、成長戦略の3本柱だ。今までの伝統的なやり方ではデフレから脱却できない。物価目標を日本銀行に設けてもらう。白川方明(まさあき)日銀総裁とも話をした。次回の金融政策決定会合で検討いただくが、残念ながらそうでなければ、日銀法を改正し政府とのアコード(政策協定)を結んで物価目標を設ける。雇用についても責任を持ってもらう。アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)のように」

 --来年4月が任期の日銀総裁人事は

 「われわれの考え方に賛成してもらえる方になってほしい。みんなの党を含め、われわれと同じ金融政策を持っている党もいるので協力を仰ぐ」

 --原発事故、国民は相当心配している

 「東電福島第1原発事故は何が問題だったかが完全に究明されていない。避けることができなかったのか。人災なのかどうか。もう一度、政権として検証していきたい。その上で再稼働も含めて考えていく」

 --原子力規制委員会の人事は

 「国会承認に向けてもう一度検討したい。基本的に今の人事で行くことになる」

 --対中国外交は

 「尖閣についてはわが国固有の領土だから一切交渉の余地はない。(中国は)海域を含めて取れないという意思を私たちがしっかり示していく」

  --中国には世界一、日本企業が入っているが

 「切っても切れない関係だ。政治的な問題は常に起こるが、中国は日系企業を襲い、邦人に危害を加えようとした。明らかにルール違反で、国際社会で糾弾されてしかるべきだ。日本はそういうことをやっていない。われわれの誇りだ」

 「日本企業も(中国進出の)リスクを考えてもらう必要がある。中国だけに生産現場を頼るべきではない。一番安全なのは日本だ」

 「日系企業が襲われたからといって政治的課題で屈したら何回も同じことが起こる。踏ん張るところは踏ん張らなければいけない。それが戦略的互恵関係だ。互いが利益を得ていることを認識し合うという原点に両国、特に中国が戻っていくことが極めて重要だ」

 --成長戦略は

 「山中伸弥氏がノーベル賞を取ったが、日本では新薬が登場しにくい。例えば私は潰瘍性大腸炎だが、今ここにいられるようになった薬は日本では10年間認可が遅れている。こういう分野は成長分野で、行政上の問題や規制を緩和することで国民はより健康な人生を送れるし、何兆円という富を生み出すことにもつながる」 

 --デフレで将来に不安を抱える若者も多い。リーダーシップが問われる

 「私の場合は、かつて首相を1回やって日本中から『お前はだめだ』と烙印(らくいん)を押された。それでもう一度首相になるのは(現憲法下では)ケースとしては初めてだ。政治家として政治生命をほとんど失い地獄をみてきた。だからこそできることもある。挫折を含めて経験したことを生かしていきたい」