記事入力 : 2012/12/09 06:49

ユ・ヨンウォン軍事専門記者の深層レポート

 中国の航空母艦(空母)の艦載機「J15(殲15)」が、空母「遼寧」の飛行甲板で発着艦に成功したというニュースが、11月25日に中国当局や中国メディアによって正式に確認された。これにより、中国の空母が予想より速く戦力化する可能性が高くなっている。専門家らは、中国の艦載機が発着艦に成功するまで、空母の進水から1-2年程度かかると予想していた。ところが中国は、空母進水からわずか2カ月で艦載機の発着艦に成功した。


 日本も、既存の「ひゅうが」型ヘリ搭載護衛艦(DDH)よりはるかに大きい軽空母クラスの護衛艦(22DDH)の建造に着手しており、韓国周辺の大国は全て空母もしくは軽空母を保有することになった。


 韓国国会の国防委員会も、来年度の国防予算に、韓国軍に空母を配備するかどうかに関する外部委託研究予算(1億ウォン規模=約757万円)を付け、韓国の空母保有は適切かどうか、保有するとしたらいつ、どのような形が望ましいかをめぐる論争が活発になっている。


■空母保有は慎重に進めるという立場の韓国軍


 国会の動きに比べ、韓国軍当局はまだ慎重な立場を示している。国防部(省に相当)の金寛鎮(キム・グァンジン)長官は今年10月、国会の国政監査で「(空母保有の)必要性には共感するが、予算の問題などを総合的に検討すると、今すぐに推進というのは無理がある」と答弁した。


 1990年代半ば以降、空母保有を強く希望してきた韓国海軍も、慎重な姿勢を見せている。韓国海軍は金泳三(キム・ヨンサム)政権時代の96年、極秘裏に大洋海軍建設計画を作り、イージス艦や3000トン級大型潜水艦などと並んで、航空機約10機を搭載できる1万-2万トン級軽空母の建造計画も立てていた。しかし2000年代に入ると、予算の圧迫から事業の優先順位が下がり、空母の保有は中長期の計画へと先延ばしにされた。


 現在も、韓国海軍は空母保有計画を持っているが、少なくとも今後10年以内に保有する計画はないといわれている。韓国軍の消息筋は「予算が限られている中、海軍内部には優先的に解決すべき課題が多数ある。空母の保有は2025年以降の中長期計画に含まれているようだ」と語った。


 韓国海軍は、イージス艦や「独島」型大型揚陸艦などからなる機動戦団を3隊ほど構成し、不足する約3400人の要員確保を最優先にしているという。通常、機動戦団1隊はイージス駆逐艦2隻と韓国型駆逐艦(排水量4500トン級)2隻、次期駆逐艦(KDDX)2隻、作戦ヘリ12機、大型揚陸艦1隻、次期潜水艦(排水量3000トン級)2隻、海上哨戒機(P3C)3機、軍需支援艦1隻などからなる。機動戦団を1隊立ち上げるのに、少なくとも10兆ウォン(約7568億円)前後の資金を要すると推定されている。


 防衛事業庁(防事庁)は10月、国会国防委に外部委託研究の結果を報告した。その結果報告によると、2030年までに機動戦団を3隊創設するには追加予算8兆4000億ウォン(現在のレートで約6357億円、以下同じ)と兵力約3600人の増員を要し、4隊創設するには追加予算22兆ウォン(約1兆6650億円)と兵力約6100人の増員が必要だという。これは、2020年までの既存の戦力増強費に加え、さらにこれだけ金が掛かるという意味だ。韓国海軍は現在、機動戦団を事実上1隊だけ保有している状態だ。

 
■日本が空母を保有した後、韓国は韓国型軽空母を保有か


 本格的な大型空母の保有および建造には巨額の資金が必要なため、周辺国の空母への対応手段としては空母より潜水艦の方が効果的だという主張もあり、こうした主張も「空母慎重論」を後押ししている。世界で最大の米国のニミッツ級原子力空母(排水量9万-10万トン)は、建造費が1隻当たり5兆-8兆ウォン(約3800-6100億円)、年間の運用費が4000億-5000億ウォン(約310億-380億円)に上る。しかし韓国軍が検討している中型もしくは小型空母の場合、費用はこれよりはるかに安い、という反論も少なくない。尹淵(ユン・ヨン)元海軍作戦司令官は「3万-4万トン級の中型空母の建造には2兆-3兆ウォン(約1500億-2300億円)、艦載機の費用を除いた年間の艦艇運用費は500億ウォン(約38億円)程度あれば大丈夫だろう」と語った。また、小型空母の建造に掛かる費用は1兆-2兆ウォン(約760億-1510億円)と分析されている。ただしこれは純粋な艦艇建造費で、艦載機や護衛用の艦艇などが追加される場合、費用の総額は大幅に増えることもあり得る。


 このため、日中の空母建造・保有が本格化し、独島(日本名:竹島)・離於島(中国名:蘇岩礁)などをめぐる韓日・韓中間の紛争がいっそう深刻になった場合、韓国型軽空母または中型空母の保有論が高まると予想されている。韓国軍消息筋は「既存の揚陸艦『独島』の甲板を改造すれば、垂直離着陸機の搭載が可能な軽空母として活用できる。韓国が日本より先に空母を保有するのは困難だが、日本が本格的な空母を保有すれば、「独島」型を改良した軽空母の保有が本格的に検討される可能性が高い」と語った。

 


朝鮮日報/朝鮮日報日本語版