共同通信社 10月17日(水) 配信

 森口尚史(もりぐち・ひさし)氏が人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の治療をしたと主張した問題で、東京医科歯科大(東京都文京区)は16日、森口氏と佐藤千史(さとう・ちふみ)教授(保健衛生学)との共著論文に関する調査委員会の初会合を開いた。

 これまでに計19本の共著論文があることが分かり、佐藤教授から経緯について事情を聴いた。今後も会合を開き、共著の理由や妥当性を調べる。調査委員会の委員長は森田育男(もりた・いくお)同大理事。 佐藤教授は学生時代の森口氏を指導し、米国での虚偽の学会発表のもととなった論文案にも名を連ねている。これまでの取材に「論文に付ける細胞の写真やデータを送ってくるので信じるしかない。ほかの共著者として専門家が付いていると思っていた」などと説明している。

 森口氏は、iPS細胞を使って米国で6件の治療をしたとの主張はうそだと認め、1件だけだったと説明を変えた。だが、実施した証拠や病院名は示していない。

 森口氏の過去の研究をめぐっては、厚生労働省や内閣府、東大病院も調査を進めている。